勇者に憧れた王女


「わたくし、勇者になってみたいんですの。交換しません?」


 俺は勇者として城へ赴いた際、王女の希望により立場を交換することになった。


 城はなかなか護衛が厳しく、用事があるとき以外は王女の部屋から出ることができない。

 その代わり、侍女からはたびたび王女の活躍情報が入ってきた。


「王女様は今レベルが50まで達したようです」

「王女様は今ダンジョンをクリアして最強の装備を手に入れたようです」

「王女様は今最後の砦に向かったそうです」


 俺は来る日も来る日も王女の帰りを待った。

 部屋から出れず、自由に行動することができない俺はとうとう限界に達した。


「おい!王女の帰りはまだか!いつになったらここから出れるんだ!!」


 侍女は言いづらそうに口を開いた。


「それが…王女様はラスボスを倒したあと、捕らわれていた堕天使に一目ぼれをしてそのまま駆け落ちしてしまったようです」






ー完ー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る