第35話「最弱召喚士の魔拳無双」
何とかG班を帰らせた後に部屋割りを決めた。
202号室が直った上にいくつかの部屋が増えたので問題は何もない……はずだったのだが。
「納得いかねぇ……」
「えっち。ヘンタイ。スケベ。ケダモノ」
「風評被害だからな!?」
解放された部屋は高田さんが荷物を放り込んだらしく再び施錠されており、使えるのは201と202の二つだけ。
ならば女子が相部屋になれば解決では、と思ったんだが。
「だっ、駄目よ!」
「……何で?」
なぜかアーシャに反対された。
「どうせ『アーシャを襲うつもりだっただけで事故なんだゲヘヘヘヘ』みたいなこと言いながらヤイロのお風呂も覗くつもりでしょ!?」
「待って。ちょっとツッコミが追いつかない」
そもそもアーシャを襲う前提なのは何でだよ。201でルームシェアをしてて一回もそういうことにはなってないだろ。
「わ、私が涙を呑んでアキラの欲望を受け止めるからヤイロは202を使って……!」
「悲劇のヒロインみたいな表情してるけどおそらく一番悲劇に襲われてるのは俺だからな?」
主に冤罪とか冤罪とか冤罪とか。
まぁ201でルームシェアでも今まで通りなので我慢できないことはないけど、と妥協しようとところで今度はヤイロから待ったが掛かった。
「アキラ、怪我……治すなら、ベッド、近くがいい……同室、でも、良いよ」
「だっ、駄目よ!」
「私、気にしない……よ?」
「気にしなさい! アキラは自己紹介も済んでない私の裸を覗いてハァハァ言ってるようなケダモノなのよ!?」
「おいムッツリ皇女」
「ヤイロみたいに可愛い子が同室になったら翌日には一姫二太郎になってるわよ!?」
「す、スピード出産……?」
翌日に子供が生まれるならむしろ俺は無罪なんじゃないだろうか。
「そ、そういうのは……卒業して、から……かな?」
「ヤイロ!? 駄目よ! アキラは私と――……じゃなくて! ヴァレンタイン皇国のために働かないと目からポップコーンなんだから!」
「目、目からっ!? ……ちょっと、興味、あるかも」
サイコパスが増えた。
付き合ってられないので激マズドリンクを一気飲みして外に駆け出す。
「あっ、待ちなさい!」
「アキラ!? ひ、一人、だめっ!」
背後から追いかけて来る二人を無視して目指すのは迷宮である。
こういう時は何も考えずにモンスターをぶっ飛ばすのが一番良いし、リハビリもしたいからな。
……異世界で2年も修業したのに女の子2人を相手に逃げるってのもかっこ悪いが、俺が鍛えたのは口論とかそういうのじゃないからな。
こういうのは想定してないんだよ。
召喚獣装填と召喚獣育成。
まさか死にかけたところから異世界にまでいくハメになるとは思わなかったが、俺だけが使える切り札と、理不尽を跳ね除けるための力を手に入れた。
『ダンジョン工事団』の皆と、背後から俺を追う二つの気配を感じると、頑張って良かったと思う。
これから先も理不尽はたくさんあるだろう。
世界図絵とかいう連中にも絡まれたし高田さんもちょっと気になる。
モンスターを見つけたので早速拳を握りしめる。
でも、やることは決まっている。
「行くぞ――
立ちはだかる奴は全部ぶっ飛ばす!
誰もが見下す最弱ジョブ、召喚士の戦いが今日も幕を開けた。
★あとがき★
これにて第一部完結!
ここまでで『面白い』と思っていただけましたら『小説のフォロー』や『★で称える』のところから星評価を入れていただけますと執筆のモチベーションになりますので、よければお願いいたします。
今夜からは閑話が始まります。お楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます