三百十八羽 ☆ リュリュエル、一番!

「ふわ! なんだかとっても立派な設備がいっぱいですぅ!」

「楽器やら機械やらいっぱいね?」


「あはは! ここは音楽レーベルの事務所なんだけど、設備がいっぱいだよね!」

「こっちじゃ! 会議室で話をするのじゃ!」




「ああん? デヴィにナユ、それに知らねぇ顔。

なんだお前ら? 会議室でなにやってんだ?」


「ふぃわ! 無精ヒゲで耳長肌黒のやさぐれたお方が登場です!」

「ごていねいな紹介しやがって!

無精ヒゲで、その上やさぐれてて悪かったな!」


「おじさま。はじめまして、勇希と申します。

突然でご迷惑かと思いますが、おじゃまして失礼いたします。

立派なスタジオにレッスン場、アーティストさんにとても素晴らしい環境ですね。

外観は年季が入ってボロボロなのに、運営やスタッフの皆さんの熱意が伝わってきます」


「なかなか、ていねい清楚なおじぎが立派に素敵じゃない!」


「はあ!? わかった風なこと言って、なに上品ぶって……

なんて清純清楚な気品をしてるんだ!?

無敵なオーラがまぶしい!

なんだか隠れた秘密を感じて、スターな魅力にあふれる予感!

うちのレーベルでデビューしないか!」


「ふふ。うれしいお言葉をありがとうございます。

歌も演技も得意なので、機会があればぜひ聴いてください」


「ふわ! さすが容姿端麗! 清純清楚!

頭脳明晰! 運動神経抜群! 芸達者! じゃじゃ馬乙女!

とある世界で国民的小学生アイドルなだけありますね!」


「こほん……ひとつ余計だと思いますが?」


「マシニエルはともかくだけど。

まさか、また女の子勇者がひとり増えるとは思わなかったわ。

しかもまたちびっ子だし。

ね? リュリュエル?」

「ふぃわ!?」


「俺を無視して話をするな!

翼人の娘が三人も……

糸と布の衣装が病んでそうな感じもまあまあ需要が高そうだな?

ツンデレキャラに、ふわふわド天然なイメージも売れそうな予感はするか?

しかし、どいつもこいつもくそかわいいな。

すっかり落ち目になって、ユリ☆ロリでやっと盛り返せそうだと思ってたところだ!

お前らもアイドルデビューしないか!?」


「病んでないさ!?」

「ボク、ド天然で〜す」

「ツンデレって誰のことよ!」


「ふわ! どこから出したのか、両手いっぱいの花束三つを持ってスカウト活動する無精ひげさん!

さすがボクたちの女の子で魔性な魅力を見抜いてますね!

ボクもしっかりはっきり女の子なボディになって、フィスエルもいつもの衣に戻っておきましょうね!」


「ひゃわ!?」


「聖なるエンジェルボイスを披露したいところですが!

ん〜〜〜? ボクにはやらないといけないことがあるので、またの機会にしましょう!」


「リュリュエルのくせに、やりたいことなんて言ってる!?」


「アイドルデビューもいいさ〜♪

微エロな衣は機織りのうちにまかせるさ!

リュリュエルもデザイン、協力するさ!

うちは微エロかわいい天使なアイドルとして誕生さ!」


「微エロ!?

そんなとこ自分でアピールする?

バカじゃないの!?」


「キミも微エロがかなりかわいいさ!

微エロな同志がここにもいたさ!」

「ひう! 同志!? こ、この衣はリュリュエルが!」


「ボクのフィスエルが一番かわいいですよ!」


「ひゃわ!? 一番!?

あ、あの、その。リュリュエル……ほんと?

う、うれしいけど……ひゃ、ひゃう〜」


「むう……わらわ二番でもよいのじゃが……

一番がうらやましいのじゃ!」


「あ、あの! ト、トイレ行ってくる!」

「すっきりしてきてくださ〜〜〜い」


「行っちゃったさ。天使はトイレ必要ないさ」

「アイドルだってほんとは必要ないです!

あのときおトイレがあれば、あんなことには!」


「勇希様、もしかしてです!?」

「悲しい過去には触れないでください!」

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