二百三十羽 ☆ リュリュエル、転生!

「ヨウメ! ヨウメ!

僕の、僕の身代わりになんてならなくてもよかったのに!

死んじゃだめだ!」


「殿下……民を……平和を……

立派な……魔王になってください……

のだ…のだ…なのだ……かく!」


「うそだ! 僕のヨウメ! 僕を残して死なないで!」


「リュリュエル! ここはわたしが食い止める! 行ってあげて!

癒しを!」


「はい! ドピュッとビューン!

エンジェルキュア〜!

……魂がもう……」


「死んじゃったの!? いやだ! なんとか……して!」


「はい! なんとかしちゃいましょう!

無垢なる魂よ 清浄なる清き魂よ 輪廻の輪を別断わかたち 新たな命を授かりたまえ!

エンジェ〜〜〜ル! リ〜ンカ〜ネ〜ション!!!」


降り注ぐ光のシャワー!


「殿下さん、これで無垢なる魂を転生することができます!

何かご希望はありますか?」


「転生? どういうこと?」

「新しく生まれ変わることができます!

条件もつけれますよ?」


「でもそれって、ヨウメなの?」

「ん〜〜〜?

完全に元のヨウメ様ではありません?」


「そんなのはいやだ!

僕にもスキルをくれ!

ヨウメは僕とずっと一緒にいてほしいんだ!」


「大事な人のためですもんね!

エンジェ〜〜〜ルギフト!

頭にスキル名が浮かんでるはず!

さあ! スキル名を叫んでください!」


「スキル<吸えば吸うほど強靭な愛の魂>!

デビルズソウルドレイン!」


「あれれ? どこかで聞いたことがあるような?

ヨウメ様の魂が殿下さんに吸収されちゃいました!

合体しちゃったんです?」


「そんなことはしない……ヨウメの魂はヨウメのままに。

二人でひとつだ。僕の魂と永遠を生きよう……」


「……きっとヨウメ様の魂は、殿下さんといっしょにいられて安らいでいると思います」


「安らいで? そんなことあるものか!

いや……あるものかなのだ!

こんなに心がドス黒いのははじめてなのだ……

神族、人族、無能な魔族……許さないのだ。

例え、魑魅魍魎ちみもうりょうになったとしても!

必ず復讐してやるのだ!

デビルズワールドドレイン!」


「ふぃわ!? ちみもうりょうです!?

そんなのになっちゃダメですよ!?」


「あれって……ユウくんとぽん丸ちゃんが追い込んで、ミャミュウが逃がした魔王の技じゃない!?

しかも暴走してない!? すっごいやばいやつ!

リュリュエル、早く逃げて!!!」


生命を求めて、触手のように伸びる禍々しいオーラ!

天使を! 人族を! 味方の魔族も!

地上に生きるすべてを次々にとらえて、生命力を吸収していきます!


魔族の近衛騎士たち「吸われる!?」

「殿下!? おやめを!」

「お助けください!」


「うるさい! ヨウメを死なせた罪! 貴様ら誰一人残さず、死をもって償え!」


「フィスエル! 捕まらないでください!」

「わかってる! なんて数にスピード! かわすので精一杯じゃない!

敵も味方も捕らえられて、もう戦どころじゃないわ!」

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