百七十二羽 ☆ リュリュエル、出発!

「さっそくですが……女王として最初の責務を果たしたいと思います……

ラルーナは、いえ……ラナは女王を退位しちゃいま〜〜〜す!!!

パパ! あとはよろしく!

それと! 勇者のみんなと魔王討伐パーティーを組んで旅に出ます!

それでユウと結婚するの! みんないいよね!」


ばさっとドレスを脱ぎ捨てて、旅装束なラナ様!

再び沸き起こる大歓声と拍手と大笑いと戸惑う声!


騎士たち「ラナ様ラ〜ブ!」

「おめでと〜!」

「俺と結婚して欲しかった〜!」


「え!? ええ!? どういうこと!?」

「ふぃわわわわわ!?」

「あら! 旅のこと、ユウくんとリュリュエルは知らされてなかったのね!」

「これで結婚できるもな♪」


「ユウ、実はな。幼いお前を連れて城を逃げ出したあの日、ラナの主命があったのさ。王位を継承したとしても、退位できるように根回ししろってな。

到底、無理な話だったが、今回の魔王騒ぎで実現してしまったな」

「そうなの!?」


「ゴブリンに襲われたあの日、村にいられなくてすまなかった。

村で暮らしはじめてからもずっと、近衛騎士隊長としてだいぶ働かされたよ。今日からラナはただの聖女だ。大した手腕なのにもったいない」

「ただの聖女ってどういうこと!?」


「ユウ様! はじめてお会いしたときに、タオルをかけていただいたことが遠い昔のようです!

ボクのはじめての勇者様です!

とっても立派になりましたね!」

「リュリュエル!」


「そうそう、鈍いお前のことだからよく分かっていないんだろうが、お前だって名門貴族の一員。だから婚約も可能だったんだぞ」

「ほんとに!? 俺が!?」


「まったく。かわいい我が娘ときたら……茶番よの」


ラナ様を利用したい、とある有力貴族「女王が乱心された! 騎士隊、女王をお守りするのだ!」


ラナ様に接近する、とある有力貴族に従順な騎士たち!


「「あ〜はっはっはっは!

あ〜はっはっはっは!」」


従順な騎士たち「何者!?」


「元女王の!」

「旅の安全は!」

「ミャウと!」

「ミュウ!」

「「<闇夜に隠れる獣忍の影々>が保証するにゃ!

みんにゃ、よく覚えとくにゃ〜!

獣人忍法! にゃんこの泥棒猫!」」


炸裂するにゃんこな煙玉! ラナ様を抱えて走る双子な姉妹!


とある有力貴族「賊を逃すな!」


「おっと! 近衛騎士隊、前へ! この場の混乱を収めろ!

ユウ! ここはボクたちにまかせてください! 達者でな!」

「親父!? 別れのあいさつが微妙にリュリュエル弁だよ!?」


「旅の支度はできてるもな! みんな出発もな!」

「え!? ほんとに!?

だからきっちり装備をしてたの!?」


「リュリュエルぽん、おいらも行くぽん」

「くすん。ぽん丸様、お別れですね……

魔王の討伐! よろしくお願いいたします!」

「あい!!!」


「ケモナもミャウとミュウについてくもな!」

「クノももちろんお供いたします!」

「俺も行くぞ! 双子にはさまれたい!」

「「獅子のおっちゃんにゃ!?

どこからわいたにゃ!? 来にゃくていいにゃ!」」


「わたしは連絡がとれなくなったラブエルが気になるから天界に戻るわね」


「みんな! 楽しい魔王討伐の旅の始まりよ!

ユウ! 大好きよ! よろしくね!」

「ラナ! 俺もラナのことが大好きだ!」


「「にゃは! 城から逃げるにゃ!

世直し諸国漫遊しょこくまんゆうの旅に!

出発にゃ〜〜〜!!!」」

みんな「お〜〜〜!!!」

「ぽ〜〜〜ん!!!」

「のだ〜〜〜!!!」

「もな〜〜〜!!!」


「ボクの勇者様がいっぱい!

新たな旅のはじまりですね!

皆さん! 行ってらっしゃ〜〜〜い!!!

あれれ? なんだか異世界転移の気配を感じます!

さあ! 次なる勇者様はどんなお方でしょう!?

今からドキドキワクワクで〜〜〜す!!!」



☆☆☆☆第二部完!☆☆☆☆

☆☆☆☆次回紹介!☆☆☆☆

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