百七十一羽 ☆ リュリュエル、式典!

「まったく! なんで投げるかな!?」

「ユウ、そんなに怒らないでもいいじゃない」

「だってラナ! 結局、魔王を逃しちゃったんだぜ!」

「「ごめんなのにゃん♪」」


「かわいく言ってもダメだから!」

「だめなのだ〜」

「「んにゃ〜」」


「ふふ♪」

「ラナ? なんかごきげんだな?」

「そう?」


「リュリュエルぽん。みんなして、パパのお葬式をありがとうぽん!」

「ちゃんとお別れできてよかったですね!」


「ぽん! おいら、パパの遺言守れて、ちゃんとお役に立ったぽん?」

ベベン♪


「それはもう危険なくらいに!!!

ラナがやばすぎた!

今もドレス姿がきれいでやばいけど!」

「もう! やばいだなんて! ユウのえっち!!!」

「えっちなのだ〜」

「しょうがないじゃん!」


「チミちゃん、ラナ様に抱きついてすっかり懐いちゃいましたね!」

「魔王の魂の一部なのに大丈夫かなあ」


「きっと大丈夫よ、ユウ。わたしのスキルで魂改変できちゃったから。

あのね、この子って元々は別の人の魂みたいなの。よくはわからないけど立派な女の子だったみたいよ?

ね、チミちゃん」

「なのだ〜!」


「堕天使二人はいつの間にかいなくなっちゃったわね?」

「そういえば。チミ、どこ行ったか知ってるか?」

「知らないのだ〜!」


「みんな! 用意できた!? 式典はじまるわよ!

今回はわたしたち天使もお呼ばれしてるから行きましょ!」

「もな〜!」


「ところで式典なのに、戦の装備でいいの?」

「いいもな!」




崩れた城を背景に開催される式典。


「勇者たちよ! 魔王軍の侵略からよくぞ王国を救ってくれた!

そなたら勇者をはじめ! 騎士、兵士たちの働きなくして、今回の勝利を成し遂げることは叶わなかったであろう!

そして、天界よりの使者殿らから受けた恩寵はまさに天啓といえよう!

この国の王として感謝の意を表する!」


「なんだか照れちゃいますね!」

「し〜!」

「もな!」


「だがしかし、余の落ち度により魔王の復活を許し、世に放たれてしまった。

今回の魔王軍の侵略で王たる資質が自身にはないと痛感しておる……。

よって! 余は王を退位し! 我が娘でもあり、偉大な先王の正当な後継者でありながら、今回の勝利に多大な貢献をしたラルーナ聖王女に女王となってもらう!」


貴族、騎士、近隣諸国の使者、獣人の使者らから沸き起こる大歓声と拍手!


「あれれ?

ラナ様、王位継承権を放棄して婚約したって言ってませんでした?

ユウ様?」

「ああ……でもこれでいいんだ。元々身分が違いすぎる……」

「ユウくん……」

「ユウがかわいそうもな〜」


「ところでミャウ様とミュウ様はどこに行っちゃったんです?」

「影に忍んでるんでしょ?」


「ラルーナ聖女王、さっそく皆に宣言を」


「はい。幼きころに出奔したわたくしを快く迎え入れていただきますこと、感謝の念に耐えません。

我らが王国と近隣諸国との盟約を交わすため奔走いただいた使者の皆様に謝意を。

また、魔王軍撃退に貢献した獣族に敬意を表し、倭国に同じく獣人を国民とすることを宣言いたします!

わたくしラルーナは女王として、我が国ならびに近隣諸国のさらなる繁栄をお約束いたします!」

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