九十四羽 ☆ リュリュエル、決着!

「ぺっ! ふん! 髪が焦げたわ。乙女の髪になんてことしてくれるのよ。

……かなりやるじゃない。

はは、この感覚、久しぶり。

天拳の幼姫とか聖戦の拳鬼とか。

勇者勇者と呼ばれて、もてはやされたあのころが懐かしいわ」


「何をぶつぶつ言ってやがる!」


「ごめんなさい! 本気って言ったけどさ。ちょっと嫌な思い出があって、本気出せてなかったわ。

今度こそ本気でいくから覚悟なさい!」


「はっは〜! すぐに消滅するってぇのに最後の言葉がそれでいいのかよ!

ねんねがたわごと言ってんじゃねえっ!

やれるものならやってみやがれ!

もう一度あたしの美脚で地べたをなめさせてやるよ!」


再び始まる、拳打と蹴脚の電光石火な攻防!

フィスエルを攻め続けるシューティエルが優勢!

一進一退! そんな攻防を繰り広げながら! フィスエルの眼が光り輝く!


「……我が発する言の葉は 我が力へと昇華するものなり

聖なる大地よ 星の魂よ 我が拳に宿りて 我が天力と成せ!

聖星天崩拳!!!」


流麗な拳技の数々!

まるで瞬間移動な縮地!

突き出される手の拳と羽の拳!

轟音! ほとばしる閃光!


「な!? 煉ご……う! うわああああああああああ!!!」


一瞬の静けさ!


「くっ!? ごふっ! あたしの片羽が弾けた!? か、体が言うことをきかない!?」

「勝負あったわね?」

「くっ! まだまだあ!」

「往生際が悪いわよ? エンジェルフィスト!」


「くっ!? ぐああああっ!?」

「一瞬耐えたシューティエルが吹っ飛んでぴくりとも動きません!」


「ふん! 拳だけなら特級天使にだって匹敵するんだから!」


「決着! さすがボクのフィスエル強い! なびく髪と拳が美しい!」

「ひゃわ!? いつ、わたしがあんたのものになったのよ!?

う、美しいのは知ってるんですからね!

……………………

わ、わわわ、わたしってあんたのものなの!?」


「最後がよく聞き取れませんでした!

ヤミエルもシューティエルも、くっ! が大好きですね!」

「あは! ほんとそうね!」

「この調子で魔軍をやっつけちゃってください!」


「ごっめ〜〜〜ん!

今ので聖力からっぽになっちゃったし、体もガタガタ! それに奥義はしばらく使えないわ! てへぺろ!

わたしもお茶すすっていい?」


「あれれ〜?」

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