七十六羽 ☆ リュリュエル、等級!

「ほら起きて! 人魚姫と王子様はどうしてるの? ラブエル」

「ううん……両国が堅い愛の絆をもって魔王軍の侵攻に備えて軍備を増強している!

愛を守るために!」

「ふ〜ん、軍備の増強ねえ。なんか怪しく感じるのは気のせい?」


「まあいっかな四人組はどうしてるんですか?」

「そう! 聞いてよ! あいつらったら王侯貴族にチヤホヤされすぎてすっかり怠け者になっちゃったのよ! ずっと冒険者として生きてくって言ってたのに!

今は貴族のしきたりに宮廷儀礼、社交界のルールやダンスを教えるのに苦労してるわ」


「フィスエル、社交ダンス踊れるんですね?」

「ふふ〜ん! そこらの公爵令嬢よりもできるわよ!」

「どこで覚えたんですか?」

「……ず〜っと前にちょっとね」


「社交ダンスですか。いいですね! ボクと手取り足取り、くんずほぐれつ踊ってください!」

「てと!? くんず!? ま、ままま、まあいいわよっ!?

なんなら、い、今からでもいいわよ!?

ほら! こんなふうに踊るのよ!」


「フィスエル……綺麗! 踊る姿もとびきりかわいいです!」

「綺麗!? とびきり!? か、顔が熱い!

教えてあげるから、手! 手を出しなさいよ!」


「今はいいで〜す!」

「いいんかい!」


「ところで、下級とか中級ってなんですか?」


「あんた、そんなことも知らなかったの!?

あんたも天使予備校にいたでしょ!?」

「知ってたけど知りませんでした!」


「安定のリュリュエル!

天使に格上げされると10級の見習いからはじまって下級は7級まで。

4級までは中級。1級までが上級。準1級とかもあるけどね。その上は特級とかいろいろ。

他にも特別な呼称で呼ばれることもあるわよ。

まあ、そんな上までいける天使はごくごく、それまたわずかな才能ある天使だけよ。

……リュリュエル、あんたなんでキレッキレのダンス踊ってるの? 聞いてた?」


「聞いてたけど聞いてませんでした!」

「聞け!」

「めんどくさいで〜す!」

「あんたが聞いたんでしょ!? 人がちゃんと話してるのに失礼ね!」


「つまりボクも神様ってことですね!」

「最下級から最上級! だいぶすっ飛ばしたわね!?

あんたが神様になっちゃったら、世界はどうなっちゃうの!?

絶対、わたしが止めるから!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る