「なに訳のわかんないこと言ってるんだ？

そんなことよりその格好のままでいいのかよ？」

「ふぅわっ！　そうでした！

我らが父の御名において、衣の恵みを与えたまえ」

両手を組んで願いを乞うと、白く輝く肌触りの良いワンピースが優しく身体を包みます。

「どうです！　天使の力はすごいでしょう！

ボクは神の使徒、リュリュエル。

この世に災厄を撒き散らす魔王を倒す勇者を見い出すために下界に降りた天使です！

勇者よ！　魔王を倒すスキルを授けます！」

「はぁ？　天使？」

「なんで疑わしそうな目で見るんですか？

どこからどう見ても天使ですよ？

この美しい天使の羽と金色に輝く天使の輪が見えるでしょう！」

「作り物つけて喜んでるかわいそうな子だと思ってた」

「なるほど、目の前の奇跡が信じられないのですね！

ボクがあまりにも神々しくて！」

「神々しいって自分で言う？」

「きゃあああああああ！」

「つんざく婦人の悲鳴！

何か起こりそうな期待感！」

「ゴブリンの襲撃だー！」

「東の門から大勢やってくるぞ！　みんな西へ逃げろっ！」

「大変だ！　なんとかしなきゃ！

でもどうしよう？

そうだ！　この納品しなきゃいけない剣で戦えば……」

「くうぅぅぅぅ！

勇者の始まりの物語って感じで、盛り上がり最高潮ですね！」

「天使のくせにこの状況、楽しんでない！？」

☆次回！　リュリュエル、加護発動！

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