第4話 ミートボール

階段を下った先で俺は感嘆の声を上げた。

スライムがいたフロアはただのむき出しの岩肌フロアといった感じだったが…。

このフロアはなんというか天井はあるが木も生えていれば、草も生えている。

水質はわからないが水場もあるようだった。


そしてこのフロアで最初に遭遇したのはシルバーウルフだった。


銀のたてがみをゆらりとなびかせた柴犬サイズの狼。


こちらの存在を察知すると、グルルと威嚇しつつ距離を詰めてくる。


じりじりと距離を詰めようとしてくるなか、スライムのカードを具現化する。

最初はカードホルダーを意識して出して、カードを取り出してとやっていたが…。

色々試していると、手持ちのカードを意識するだけで具現化することができることを知ったのでカードホルダーを出現させなくても良くなっていた。



シルバーウルフの強さは未知数だが、初手から様子見というわけにはいかない。


シルバーウルフの正面にLv7のスライムを、その左右にLv5、Lv3のスライムを配置し、Lv4のスライムは俺の背後で死角をカバーする。

グルルルと唸るシルバーウルフに物怖じすることなく正面にいるスライムの突撃がシルバーウルフの懐を捉えた。


キャインっと甲高い声を上げると…動かなくなった。


まさか…一撃?

肩透かしを食らったが、シューッと消えたシルバーウルフはカードになった。


試しにLv3のスライムで戦闘してみたが…それでも勝てたので案外弱いのかもしれない。


カードホルダーの能力の影響で倒したモンスターはカードになるが、一般の人は倒したモンスターをどうしているのだろうか?

何もない谷だし、食料も手に入らないから…モンスターを食べたりするのだろうか?

まあ…今のところ人と出会ってないし、そこを気にしても仕方がないか。



俺の場合、カードホルダーの仕組みのせいか、モンスターを倒すとカード化現象が発生する。

そして…何度かモンスターを狩ったところで、カード化が失敗する可能性があることを知った。


スライムの時は必ず何かしらドロップしていたため、ドロップすることが当たり前と思っていたが、シルバーウルフのドロップ率は体感9割といったところ、失敗するとシルバーウルフが消滅するだけに終わった。


手に入ったシルバーウルフのステータスを見ると、スライムとは異なる初期値とスキルを持っていた。


スキル「威嚇」:自分より弱い相手の相手の動きを鈍くする


先ほどの戦闘でグルルルって唸ってた威嚇、あれスキルだったのか…

スライムのほうがレベルが高く効果はなかったようだが…このモンスターのレベルを上げるともしかすると役に立つかもしれない。


そう考えて、このフロアでレベリングを開始した。


ーーー

×スライム LvMAX(10) HP15/15 攻:10 守:5 特攻:1 特守:1 スキル:分裂

×スライム Lv8 HP12/12 攻:8 守:3 特攻:1 特守:1 スキル:なし

×シルバーウルフ Lv5 HP7/7 攻:6 守:1 特攻:1 特守:1 スキル:威嚇

×シルバーウルフ Lv5 HP7/7 攻:6 守:1 特攻:1 特守:1 スキル:威嚇

・シルバーウルフ Lv1 HP2/2 攻:2 守:1 特攻:1 特守:1 スキル:威嚇

・水

・水

・水

・おにぎり

・ミートボール

・ミートボール

・ミートボール

カードホルダー8/10枚

ーーー


手あたり次第シルバーウルフを狩り続けていると、モンスターのカード以外にミートボールと水をドロップした。

数日ぶりの肉…小さいころ弁当に入っていたような懐かしい酸味感じるソースが絡んだミートボール、ここ数日は具無しのおにぎりばかり食べていたので感動するぐらい旨かった。


ミートボール以外ドロップすることがなかったので、モンスターがドロップする食料はモンスター毎に異なるのかもしれない。


もしかしたらほかの食べ物も…?


可能性がわかったとたん、ゴクリっと喉がなった。


気持ちが高ぶり勇み足になりそうだったが…これはゲームではない。

深呼吸を一つ、高ぶった気持ちを落ち着かせ、その後はシルバーウルフとの戦闘をこなして眠りについた。


―――――――――――

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