特別SS 聖女はブルマがお気に入り
王都にて白狼族とエルフ族との結婚式に呼ばれた翌日のことである。
「サトウ様、どうでしょうか」
俺の前に現れたのは、体操服姿のクリス。上は白の半そで体操服なのだが。下は……。
「なんだか、急に恥ずかしくなってしまいました」
黒のブルマをはいたクリスが、両手を後ろに組んで顔を真っ赤にしている。注文していたブルマが出来上がったらしい。
色白のクリスが、顔だけでなく下半身もほんのり桜色に色づいている。
しかし、サイズはこれで適正なのだろうか?
むっちりとした太ももに、黒のブルマがくい込んでいる。うっすら縦に線がついているような気もするのですが……。
「は、はうう……」
王都でたまに見かけるビキニアーマーより露出度は低いのに、なぜかブルマの方がいけないような気がするのはなぜだろうか。
い、いやこれは、断じて世に出すべきものじゃない。この姿を世間にさらすのは危険だ。
「どお? お兄ちゃん」
しばし思考が停止していた俺に、沙樹が話しかけてきた。
「クリスちゃん、とってもよく似合ってるでしょ。ブルマに合わせて、下着も小さくてかわいいやつ新調したんだよね~っ♪」
「さ、沙樹様! 下着のことまで言っちゃダメ‼ 恥ずかしすぎます~」
クリスはそう言うと、両手で顔を覆ってしまった。
「で、お兄ちゃんどうするの? 帰るまで少し時間があるから、クリスちゃんはこのままお買い物に行くって言ってんだけど」
「絶対だめだ!!」
「はは~ん。お兄ちゃんは、クリスちゃんのブルマ姿を自分だけで独占したいんだ。やらしい~♪」
「何言ってんだ。クリスがこの格好で外を出歩いてみろ、この前みたいにさらわれたらどうする」
「お兄ちゃんが守ってあげればいいじゃない。伝説のシャーマン様なんだから」
「い、いや。いろんな視線にさらされるだけで危険かも知れないし……」
「ふうん。要するに他の男には見せたくないわけね。確かにこんな風にガン見されちゃ、クリスちゃんも恥ずかしいかもんね」
「え? 俺ってガン見してた?」
「お兄ちゃん、気付いてないの? 男のチラ見は女のガン見なのよ」
「キュイキュイ~♪」
「よしよし、キュイも女の子だから、わかるよね」
「は、はうう~」
どうやら俺は気付かないうちに、ブルマ姿のクリスをガン見してしまっていたらしく、とうとうクリスは両手で前を隠してしまったのだが……。
「きゃん」
クリスは、急に飛び跳ねてきたスライムのキュイを両手で受け止めた。ちょうど腰の位置のため、クリスの黒のブルマは薄い水色のキュイの体を通して紺色に見える。黒もいいが紺もなかなか……。
い、いやいや。待て待て。俺は二度と失敗しないぞ。
「あ、あの……シャーマン様。どうかされましたか?」
「お兄ちゃんなんでクリスちゃんのこと無視してんのよ」
「……」
俺は、今度こそガン見しないよう目を逸らし続けているのだが、一体どうすればいいのでしょうか……。
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