芸術はアートだ

 えーとね。

 壺かい。

 はあ。

 いや。

 壺ブームなんて来たことないよ。

 あのね。冒険者くん。

 貴族の邸宅には「庭」があるんだ。

 メイドさんが薔薇の手入れしてるよ。

 花を見たくなったら、外に出るの。

 花瓶? 要らねえ。


 +


 なんだよね。

 貴族はカラフルな物が好きなんだよ。

 壺か。渋いな。

 あー。あのね。

 茶器なら売れる。うん。

 だけどね。

 遺跡荒らしに行って、茶器を見つけて大金持ちになった冒険者の話は聞かない。

 うん。

 大体ばっちいし。

 新品の方が喜ばれる。

 はあ。

 壺かい。

 お前、話に聞く東洋の出身なのかな?


 +


 壺か。

 あー。これね。

 食べ物を入れておくんだよな。

 骨董品の壺? はあ。

 魚の塩漬けでも作ってたのかい?

 いやー。あのね。

 貴族様は「毒殺」が怖いんだよ。

 ちゃんと新品を買う。

 お前みたいな馬の骨からでなくて。

 あー。

 魔法の品かい。

 あー。そうだね。

 魔法の剣か。

 お前、見つけたら売る?

 売らないだろ?

 いつかドラゴンを倒すために。

 うん。

 そうなんだよな。

 貴族は魔法の武器を買ってくれない。

 アイツら戦闘は出来ないし。

 魔術師ギルドも買い叩くよ。剣なんて。使える奴いないから。

 そうだねえ。

 魔力増強の杖とかなら高値がつきそうだけど。

 あのね。聞くよ?

 お前のパーティーに魔法使いはいないの?

 あのさあ。

 魔法使いなしでドラゴンを倒すとか無理だからね?

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