ルール「過大評価」でリアル世界のちょっとの努力で異世界無双
tomo
プロローグ 世界はルールでできている
世界はルールで出来ている。
法、掟、不文律。マナー、取り決め、約束事、暗黙の了解。程度はあれど、それらを守る人々で世界は成り立っている。ルールのない世界は、本能や欲望が支配する世界であり、常に危険にさらされるような不安定な世界である。
ルールのあるこの世界は美しい。
知性的で、文化的で、人間の叡智が生み出した芸術とすら思える。
だからこそ、俺はどんな小さなルールでも絶対遵守する。そうすることで、美しい世界の一員として、胸を張って生きることができる。
しかし、ルールを守らない人間もいる。
「守らない」のか「守れない」のかは定かではない。知る由もない。その不愉快な存在は世界の均衡を危うくし、絶妙なバランスで成り立っている社会に不安をもたらし、ルールのもとに成り立つ公平性という絶対的な正義を冒涜するような振る舞いをする。
僕はルールを破る奴が、許せない。
最近では「型破りな人間」と持て囃される風潮すらある。
俺はそれが、どうしても許せない。
だから、俺は警察官になることを、決めた。
法の下、ルールという見えない壁で人々を守る、そして、ルールを破る人間を改心させるために、警察官になろうと決めた。
俺は高校卒業と同時に警察学校へ入学した。法律はもちろん、鑑識技術、体力づくり、武道訓練、逮捕術、どれも好成績を収めた。
なんてことはない。学校内のルールを守り、言われたことを言われた通りに全力で取り組む。それだけだ。パズルのピースを一つ一つはめるように、自分を警察官という型に仕上げていく。それが心地よかった。
学校は規律があり、警察官を目指す者なら当然かもしれないが、それを守る者が集まっていた。食事は栄養管理が行き届き、決められた時間に起床就寝し、乱れのない服装をし、いつも体調は万全に整えられていた。
決して「管理」されているわけではない。自らを安定させるために、自らにルールを課しているのである。
そして、10ヶ月の入校期間を終え、晴れて僕は警察官となった。
初出勤の日は春先のうららかな陽気に包まれていた。風は強かったが、空は青く、何にも阻まれていない爽快な空だった。
前途洋々な俺の行き先を暗示しているようで、何とも心地が良かった。
その日が、俺にとって最低最悪な1日なるとは、ルールを破って知らない世界に飛ばされることになろうとは、まだその時には露ほども思っていなかった。
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