第26話 温泉旅行③

 きょうだい全員でシャワーを浴びた後、軽く食事をとる俺達。夕食は大掃除を頑張ったご褒美として、出前を頼む流れになった。


食事後は再び大掃除に勤しむ。本当に細かいところはホコリがいっぱいだ…。



 そんな風に苦労しながらも、俺達なりの大掃除を終えた。充実感もさることながら、疲労感も半端ない。夜は熟睡できるだろうな。


そして…、3人一緒の夕食を迎える。


「本当に疲れたね~」


体力的に1番不利でありながら、美海は一生懸命やってくれた。


「そうね。美海も大地も頑張ってくれたわ」


「これぐらいは当然だろ。家族なんだから」


「ええ…」


会話が一区切りしたので、食事に集中する事になる。



 全員無事に完食した。腹が膨れたから、眠気はさらにひどくなる…。


「大地。お願いがあるんだけど良い?」


「どうした? 姉ちゃん?」


「朝、私と美海でお風呂と寝る順番についてジャンケンしたじゃない?」


「ああ…」

それがどうしたんだ?


「あれ、2日共一緒に出来ない? お昼のシャワーを一緒に出来たんだから、洗う事だってできるはずよね?」


「あたしもそうしたい! お兄ちゃんお願い!」


2人の願いはなるべく叶えたいが…。


「風呂は大丈夫だろうが、寝るのは無理だろ? ベッドはどう頑張ってもダブルだし、布団はシングル2枚しかないんだぞ? 3人一緒は…」


過去にベッドから落ちた俺と美海の分だ。いつでも布団に乗り換えられるように母さんが買ってくれたが、使われずに押し入れに入っている。


今回一緒に寝るにあたり、その布団が久々に活躍する思っていた。


「その2枚の布団を敷いてダブルっぽくしてから、大地を真ん中に私達が挟み込んで寝るの。抱き着くように寝れば、スペースはそんなにとらないはずよ」


「それ良いね! さすがお姉ちゃん!」


シングル2枚敷くスペースが心許ないが、本棚とかを動かせばギリいけるか?


「どうかしら? 大地?」


「その方向でいこう」


「ありがとう。今日はみんな早く寝るだろうし、すぐ準備しましょう」



 美海が自分の部屋の押し入れから布団を取り出してる間、俺は自室の本棚などを可能な限り動かす。力仕事になるが、姉ちゃんにも少し手伝ってもらった。


それから布団を2枚敷いたところ、何とかスペースを確保できた。


「次は予行練習ね。大地、真ん中に寝てみて」


「わかった」


俺が寝たのに合わせ、姉ちゃんと美海が両側に寝始める。


「ちょっと狭いけど、お兄ちゃんがすぐそばにいて幸せ♡」


「私もよ♡ このまま…」


「このままが何だ?」


「何でもない。とりあえず寝れる事がわかったわね。シャワーの後の大掃除でまた汗かいたし、早めにお風呂に入りましょ」


「そうだな」


俺達は再び一緒に風呂に入る事になった。



 姉ちゃんと美海の裸にテンションは上がるものの、眠気が勢力を増しているせいでイマイチ興奮しきれない。


2人も似たような感じなのか、昼の時みたいな行動は特になかった。背中を洗ってあげる事はしたが、それ以外は黙々と洗い続ける感じだ。


そして風呂を済ませた後、寝るために全員俺の部屋に集結する。


「もうねむ~い」


「私もよ。大地、電気消して良い?」


「もちろん。俺もクタクタだ」


さっきの予行練習同様、俺を真ん中に姉ちゃんと美海は両側で横になる。



 「ねぇ大地。起きてる?」

真っ暗な部屋で、姉ちゃんが小声で訊いてきた。


「起きてるよ」

もうそろそろ限界だが。


「この間芽依から聴いたんだけど、店長さんとでヤったって」


「…マジ?」


須藤さんが店長の家の合鍵を持っているのは以前聴いた。(10話参照)

今も良好な関係なのは見ていてわかるが、まさかそこまでとは…。


「マジよ。私がお風呂の時に大人しくしてたのは、この時のためだったの♡」

姉ちゃんの手が、寝間着越しだが俺のに少し触れる。


「でも…、思ったより疲れたわ。今日は…無理」


それからすぐ、姉ちゃんの寝息が聞こえてくる。美海の寝息は聞こえないが寝てるんだろう。



 眠気がなかったら、姉ちゃんは俺とをする気だったに違いない。俺だって男だから興味はあるし、手を出したくなる。


しかし、いくらなんでもそこまで進むのはどうなんだ? ヤバくないか?


……ダメだ、これ以上起きてられない。明日じっくり考えるとしよう。



―――次回、いよいよ最終回!―――

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