転生したら、欲しがり義妹だった話
山田 勝
序
「私が君のお父さんだよ。今日から一緒に暮らそう」
ある日、私が12歳の時、シルクハットを被ったおっさんが孤児院に迎えに来た。
誰よ?
何でも、メイドの母に手をつけて、私が生まれた。
母は産後の肥立ちが悪くて亡くなり。
父はリーマン伯爵家の婿養子なので、資金援助も出来ずに、私を孤児院に預けた。
先月、夫人が亡くなったので、迎えに来たとな?
ほお、私は貴族の庶子であったか。
12歳の私に生活の術はない。将来の選択肢はない。
あれよ。あれよと屋敷に連れて行かれた。
「さあ、君のお義姉さんになるクリスチーネと、世話をしてくれる使用人達だ。挨拶をしなさい」
「初めまして、リディです。よろしく御願いします」
シーーーーーーン
そうなるであろう。
お義姉様は1歳年上。つまり、生まれて、すぐに、浮気して生まれたのが私だ。
歓迎されないであろう。
しかし、ここでの生活は天国だ。何と三食付く。しかも、肉が出る!
「クスッ、まあ、下町の食べ方は趣深いですわね」
「叔母様、リディは、串焼きの方がいいかもしれませんわ」
とか言われる。
夫人の妹と義姉と父で食事をする。
何でも、嫁ぎ先のお姑さんと仲が悪いので帰ってきたそうだ。
お義姉様と仲が良い。
「ガルド夫人、礼儀は、これから教えるから大目にみてくれ、クリスもそう言わずに、教えてやって欲しい」
「お父様、大丈夫なの~~~」
父は強く言えない。婿養子だ。良く引き取ってくれたな。
私は、馬鹿な話し方をして、警戒心を解くようにした。
何故なら、私は父に溺愛をされて、
しかも、可愛いからだ。
養子にするという手段がある。
分家の支持がなければ出来ないが、
溺愛する父が強行に養子縁組みをして、跡取り娘にしたら、お家騒動が勃発する。
初めて、ドレスを着て、貴族用の大きな姿見をみたら、びっくりしたよ。
可愛い。金髪はフワフワに碧眼、丸顔で小さい。
まるで、妖精のようだ。
お義姉様は、茶髪に、薄い茶色の瞳で平凡、これは、こじれない方がおかしい。
目立たないように暮らそうと決意した。
出る杭は打たれる。だから、出ない!
父はヒラヒラのドレスを買ってくれる。どこで売っているのよ!
「新しいメイドだ。リディ専門だ。話しにくいことでも何でも相談をすればいい」
「お、お初にお目にかかりますっ、ベッキーと申します」
「よろしくなの~~~~」
年は15歳、ニキビがある。赤髪のショートだ。薄い水色の瞳、
多分、私に付くのを皆が嫌がり。急遽、雇ったな。
彼女は、ドレスのお直しも出来るとな?
何でも父が買ってくれるドレスは出来合いで、お直しをしなければいけない。
毎回、お針子ギルドに行くのもあれらしい。
父の買ってくるドレスがあれなので、お義姉からおねだりをした。
これは、謀反を起こす気がないことも示す効果がある。
義姉のお古を喜んで着る義妹!けなげだな。
貴族のドレスのサイクルは短い。
庶子である私に令嬢予算は付かないだろう。父のお小遣いで私のドレスや装飾品を買ってくれているが、
父が買ってくれるヒラヒラのドレスは嫌だ。
「お義姉様!ドレスほし~~~~の。ネックレスもほし~~~の」
「・・・好きなの持って行きなさい」
「ありがとうなの~~~~~~」
おねだりの仁義は、高そうな物や、家宝となっているものには手をつけない。
ゴロン!
メイドに足をかけられた!
「キャア!」
「あら、リディ様、そんなに前が見えないくらい手にドレスを持つからですわ」
「気をつけるの~~~~~」
敵だらけだが、敵をつくるような行為をしてはいけない。
使用人が食事を運ぶ。私の皿に何を盛られるか分からないからだ。
「ベッキーさん。お直し、お願いするの~~~~~」
「はい、畏まりました。でも、また、転ばされたら、大変です。おねだりの時は、私を連れて行って下さい。ドレスを持ちます!」
「そうするの~~~~」
家庭教師はついた。週に3日、
それも、
「リンゴが三つ、オレンジが四つ。合計いくつですか?」
「7つなの~~~~」
「まあ、リディ様、幼児教育は卒業ですかね」
な程度だ。
しかし、マナーとダンスは初めてだ。
「リディ様、お菓子を食べるときは、小鳥がご飯をついばむイメージです!」
「はいなの~~~~」
「ワンツー、ワンツー!」
「ワンツーなの~~~」
これは一生懸命にやった。
カテーシは一生懸命やった。
一日1万回はいかないが、
報恩感謝のカテーシ!
と暇を見つけてやった。
貴族コースではないから、楽だ。貴族の義務はないが、貴族の生活、
暇な時は、庭で蝶蝶でも追いかけろと?
対して、お義姉様は、総領娘として、家庭教師が週6つき、夜は帳簿付けをする。
休みの日は社交パーティに行ったり、慰問に出かけたりもしている。
そこは、素直に尊敬する。
そんな時、生活が一変する事件が起きてしまった。
この家に来てから一年後、13歳の時だ。
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