第19話  演劇部に勧誘された僕

「でもね~~ 我が演劇部には、脚本を書ける才能のある人材がいないの~」


 二ノ宮は、口を尖らせて言った。


「さっきの劇は、どうしたんだよ」


「去年までは、顧問の先生に手を入れてもらってたの。それで全国大会にも行けたわ。でも、先生がおうちの都合で学校を辞めることになったの」


「それで?」


「禁断の手を使ったわ!」


 禁断の手なんて、物騒なことを言うんだな。


「どうしても、『桜散る中』を劇にしたかったから、桜庭くんに連絡を取りたかったのに、受験勉強中は駄目だと『いっちゃんたち』に止められたの。だから、私がシナリオを書いて、プロのママに見てもらったのよ」


 僕は、驚いてしまった。あの小説のどこにそんな魅力があったのか?


「だから何で、僕のノベルなんかが目に留まったんだよ?」


「タイムループモノだと思ったら、タケルの死で物語が終わってるんだもの! 純愛だとは思わなかったわ。最後まで」


「タグは、現代ドラマしたと思うよ」


 変なことを言うなぁ……タイムループってなんだ?

 二ノ宮は、ポカンとしている僕を見て、ニッコリ笑った。


「桜庭君は、純粋なのね。だから、あんな物語が書けたのだと思うわ。私たちは、あなたのような人材が欲しいの」


「はあ!?」


「ぜひ、桜蘭高校の演劇部で、都内大会、いえ全国を目指しましょう!!」


 二ノ宮は、小さな身体に似合わない大きな声で、最後の方は、僕の手を取り言った。


「出きれば、新しい物語を書いて欲しいわ!!それを脚本にして欲しい。あなたの感性はすごいと思うの」


「それはいい過ぎだと思うよ」


 二ノ宮は、僕を買い被りし過ぎている。


「アーリャは、人を見る目だけはあるんだよ」


 麗子さんにまで、後押しされた~


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