第38話 切符を買って新幹線に乗る

 それにしても、新幹線に1人で乗るのは初めてかもしれない。それなのに、突然行って券売機で新幹線の切符を買うなんて、出来るのか?旅行だと、予め指定席を予約して、発券まで済ませておくことが多いではないか。ドラマのように、いきなり決めて飛び乗るなんて、やった事はない。

 最寄り駅の発券機へ。クレジットカードで往復の切符を買った。うん、買えた。意外に難しくなかった。むしろ、とても分かりやすい。だが、一度も新幹線に乗った事がなかったら、ちょっと難しいかもしれない。切符が2枚出てくるのだが、それは乗車券と特急券なのだ。乗車券は都内のJRの駅からで、特急券は品川駅から。そういう事を分かっていないと難しい。私は最初、みどりの窓口だったか、旅行代理店だったかで切符を買い、説明してもらったから分かったのだ。だいぶ昔の話だが。

 2枚の切符の内、乗車券だけを通して改札を通り、少々混んでいる電車で品川駅へ。つかまる所も寄りかかる所もなく、慣れていないので、ふくらはぎがキツイ。昔は散々満員電車に乗ったものだが、ここのところ、この程度の混み具合でさえ慣れていない。

 品川駅の新幹線の改札に行き、乗車券と特急券を2枚重ねて改札機に入れる。2枚出てくるから受け取る。電光掲示板を見ると、自由席は1-3号車と書いてあった。良かった。いつも家族と一緒だから、夫が何号車だと言ってくれるので、自分で分かるのかどうか不安だった。私はいつも書いてあるところを見つけるのが遅いので、家族が一緒だと大抵先に見て教えてくれるのだ。

 ホームに下りて2号車辺りに並ぶ。サラリーマンばかりがいる中で、比較的ラフな格好をした男性2人が並んでいた。すると、前の電光掲示板に「喫煙所近く」と書いてあった。おう、喫煙所は近くない方がいいぞ。

 というわけで、隣の入り口付近へ。そこで待っていると、東京駅からやってきた車両が到着した。

 中に入ると、2人席と3人席が両方とも、全て窓際が埋まっていた。それで、3人席の通路側はほぼ全て空いていた。まあ、綺麗に全部同じように席が空いていること!その空いている通路側の席に、適当に座った。

 いや、適当と言っても、ちょっと考えた。あまり入り口に近いと、ヤバイ人が入ってきた時に真っ先にやられてしまうし、かといって真ん中辺は出口が遠いから、火災とかで逃げ遅れるかもしれない。なので、その中間に。考えすぎだけど。

 3人席で真ん中が空いている状態は快適だった。窓際の人とお互いに、真ん中の席の自分側に荷物を置ける。新幹線の座席ってこんなに広かったのか。いつもスーツケースなどの大きい荷物を持ち込むから、広いとは思っていなかった。

 不思議と眠くならず、スマートフォンにダウンロードしておいた朝刊を読みながら新大阪へ向かった。途中お腹が痛くなり、トイレに行ったりしたけれど、その話は割愛しよう。

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