チュンチュン、朝はこれよね
どもども、チュンチュン聞こえる鳥の声で目を覚ましたテンちゃんでございます。
はて、私は一体どこで何してるんでしょうね?
思い返せば昨日、ギルドの歓迎会に参加して雰囲気に飲まれてどんちゃん騒ぎ。並べた机を舞台にボディビル大会が始まったところでメインさんに怒られて解散……残ってる私含めた数人で二次会が始まって――
「ここどこぉ……?」
柔らかななにかに頭を乗せて、なんか寒さと気持ちのいい感覚を覚えながら寝転がっている。
「あら起きた?」
「わあ綺麗なお姉さん……ここは夢の中?」
「夢じゃないよ、でも夢を見せるお店ではあるわ」
はい現状確認できました。
パンツ一丁で綺麗なお姉さんに膝枕されて、しかも耳かきしてもらってます。さらに言うと耳が前向きについてるので仰向けなわけで、結果目の前に魅惑の下乳がごぜぇますわ。
「あの……あふっ、なんで耳かき……あっそこいい……」
「獣人は人と違って穴が広いし、毛が詰まったりするから綺麗にしなきゃいけないのよ。見たら少し汚れてたからしたくなっちゃって」
「服を着てない理由はなにゆえ?」
「覚えてないの?」
おや、私大人の階段登りました?
三段跳びで駆け上がっちゃいました? 私のはじめてはウタカゼさんに捧げる予定だったのだけど、酔った勢いでやらかしたのでしょうか?
「ここは洗浄屋、平たく言えば個室のお風呂屋さんよ。ちなみに体を洗うだけで他のサービスには別料金がかかるわ」
「つまりそれ以上はしてないってことですか?」
「あなたは洗浄コースだったからなにも。耳かきは個人的なサービスだから気にしないで、それとも昨日の続きを始める?」
「いや手持ちないので今度にします」
「ふふっ、獣人の子は珍しいから楽しみにしておくわ。また来たらサクヤで指名してね」
あっぶねぇー。ウタカゼさんとの約束をほったらかして一度きりの大事な初めてを失うところだった。
あれ、でも私がここにいるってことはギルメンの人たちもいるはずだよな?
「私と一緒にマッチョがいませんでした?」
「ああ、いたけどあの人達は別のコースだったから上の階にいるわよ」
これどういう顔で会えばいいんでしょうか? バルドさん達のスッキリした顔を見てなんて声をかけるのが正解なのか検討もつきません。
「姉さん、そろそろ部屋の掃除を……あっごめんなさい!」
扉が開いて男の子が入ってきたと思ったら、すぐ謝って出ていってしまった。
そういえば私丸出しだぁ、ごめん少年。気にしないから夜にでも使ってくれ。
「今のは?」
「ニーアっていって私の双子の弟、ここで働いてるんだけど慣れてなくてね。インキュバスなのにまだまだ経験不足なのよ」
「弟さんがインキュバスってことは……」
「そう、私はサキュバス。下手に食い荒らせば捕まるけどここなら合法に食事ができるから働いてるのよ」
サキュバス、インキュバス……あれですよ、えってぃな悪魔の代表格。そしてここはそういう事もできるお店。
あらやだ私ったら、ギオンさんに変な店行くなって忠告されてたのに行っちゃってるわ。なにもしてないからノーカンってことにしてくれるかな?
「さ、もう時間だから服を着てね。ふぅー」
「おふっ……!」
耳が大きくて敏感だから仕上げの息がもう……なにここ、天国です。これはまずいですわ、ハマりそう。
こんな世界に飛ばしてくれた女神様本当にありがとう、これは1ポイント入ります。
『私と結婚すれば毎朝してあげますよ?』
耳かきってやりすぎると中耳炎になったりするんですよね、お耳の病気は怖いのよ。
『女神に病気とかわかるわけないじゃないですかー!』
さて、ちゃんと服も着たしバルドさん達と合流してからギルド経由で一回商会に戻ろう。
と、扉を開けたところでさっき部屋に入ろうとしていたインキュバスっ子が待機していた。顔立ちは似てるけどお姉さんは豊満なのにこの子はまだまだ少年に見える。
モップやバケツを持ってるあたり主な仕事は清掃なのかな、それに私の顔見て赤くなってる。くっそかーわいいー!
「さっきはごめんねぇ、寝起きだったから」
「いえすいません、確認もせず開けてしまって……その、見てしまいました……」
「なにを見ちゃったのかな?」
「えっと……その……お、お――」
「はいストップ、あんまり弟をいじめないでね」
可愛くてついついいじってしまいお姉さんに止められた。
「ニーアもインキュバスらしくしないと、仕事取れないよ?」
「ごめん姉さん、まだ緊張しちゃって……」
「お客さん、よかったら今度弟を指名してよ。これでもインキュバスだし味は保証するからね」
「じゃあ今度、もしよかったら」
と言っても次も洗浄までにしよう。弟くんもお姉さんに似て可愛い顔立ちしてるけどさすがにちょっと考えるものがある。
イケそうな気がしなくもないけどね? でもちょっとそこまで癖の方が開発されてないもんで。
ちなみに避妊具はないけど魔法薬で病気予防や避妊を行うらしい。多用は控えたほうがいいけど最後までしても大丈夫だそうだ。
サキュバスやインキュバスはその辺耐性があるんだって、種族柄適任すぎる。
スッキリした耳の感覚を感じながら店前で待っていたバルドさん達に合流して、誰がなにがどうだったかという感想を聞きながら商会まで帰った。
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【あとがき】
予約投稿の日付気を付けてたのになんで間違えてしまうん?
というわけで二話更新になってしまいましたが諦めます、明日からはまた一日一話更新で続けていきますので。
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