第32話 ダンジョンブレイク
「はぁ、街がこんななって」
「お、いたいた!忠野さん!」
「本田さんに幸太君も」
「流石に2人で買い物してたらこんなことになってビックリしましたよ」
「ですね、放置されたり人が死にすぎるとなるみたいですよ」
「スカイツリーだから人は多かったはずなんで後者かな」
幸太君もやるせない気持ちみたいだな。
「お、いたのじゃ!」
「ただいま」
「おかえり」
「これはどうしようもないのか?」
ダンジョンを消すしか手はないのかな。
「この状態を上がどう判断するかじゃないか?」
本田さんが言う。その通りだな。
翌朝のテレビでは死亡者などが告げられ災害ということになっている。人災でもあるよな?ギルド本部がどう判断するかだな。
東京23区にどれだけの数のダンジョンがあるか知らないし日本だけじゃなく世界にもあるのだからな。
話題が変わりダンジョンから取れる魔石がクリーンエネルギーになると発表があったそうだ。これでますますダンジョンが潰せなくなって来たな。
「災害っちゃ災害だな」
「まぁ、どうするかじゃな」
「そっちの世界ではどうだったんだ?」
「何も?今と同じじゃよ」
「私達が生まれな時にはあったからね」
「そうか」
まぁそうなるわな、今から生まれてくる子達はそれが普通になるな。
国の対策はそれからもなかった。
それから一か月が経つ、俺たちは相変わらずいろんなダンジョンに出かけている。
「はい!あ。分かりました。では」
「どうしたのじゃ」
「マジックバッグが完成したらしいよ」
「ほう。それは見に行かねばな」
「興味津々」
車で葛飾ギルドに向かうともう近藤さんは待機していた。
「お待たせして申し訳ないです」
「いや。これはどうしても見せたくてな」
「早速ですがこれですか?」
デカめの旅行用鞄くらいの大きさがある。
「あぁ、自分で言うのもなんだが最高傑作だ」
「そうですか、では」
中を探るとしっかりマジックバックになっているが(小)といったところかな。
「凄いですね!これが自分たちで作れるなんて」
「あぁ!これで発表できるが、材料の方は?」
「これだけあれば大丈夫ですか?」
全部で50枚ある。
「おぉ!これだけあればいろんなバッグが作れるだろうな!」
「それではこれを」
「わかった買い取ろう」
「これからはいちまい五十億でどうだろうか?」
「いいですよ。そこまで守銭奴ではないですから」
「良かった」
「ちなみにどのモンスターの皮なんだ?」
「ミスティックアイというモンスターで麻痺光線を撃ってきますね」
「麻痺対策が必要なのか!」
「そうですね」
「わかったありがとう、それじゃ!」
キラッとさせながらかえると統括は足取りが軽い。まぁ、思った通りにできたと思っているのだろうからまだ行けることは内緒にしておこう。
今野さんたちが駆けつけてきて、
「大丈夫なんですか教えて」
「はい。これ以上マジックバッグで稼ぐのはやめますから」
あまりやると不幸を買うようなもんだ。
「そうですか。なら何階層に出るかを教えてもらえますか?」
「ここなら35階層ですね。新宿だと25階層ですが」
「わ。わかりました」
「麻痺対策が必要ですのでそれだけは必ずお願いしますね」
「はい」
こうして俺の手から離れたマジックバッグは公表はされなかった。たぶんオークションなどで落札されているのか、まだ開発している段階なのかわからないな。
まぁ普通のマジックバッグには敵わないだろうな。
今攻略しているのは足立区の西新井大師ダンジョンである。できればここは潰しておきたいな。
お年寄りが多いしダンジョンにもあまり人がいない。
桑袋ビオトープダンジョンのほうにいっているようでギルド員もやる気が見えない。
ここも50階層っぽいのでさっさと攻略してやろうときたのだ、
「ここを無くしても大丈夫ですか?」
「なに?ダンジョンを潰してくれるわけですか?」
「多分大丈夫だと思います」
「ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします」
よし。そんな訳でこのダンジョンを初めて潰すことになるな!
「いくぞ!」
「任せるのじゃ」
「楽勝」
1階層から順に攻略して行く。ここはアクセサリーが多いな。麻痺耐性の指輪なんかも出てきた。まぁ、今のうちに取れるだけ取っておこう。
流石に二日に分けて50階層まできた、ボスはミスリルゴーレム。何故か仏像の形をしているが鑑定でミスリルゴーレムと出ている!
火遁の術を使い核が出たところで斬り倒すとドロップはスターネックレスだった。
スターネックレス…ステータス異常全耐性
と言ういいものが出た。
進んでいくとダンジョンコアがあったので触ると、
1、ダンジョンを消滅
2、ダンジョンコアを受け取る
3、ダンジョン1階層にもどるとあったので2を選んだらすぐにダンジョンコアをマジックバッグに入れるとギルド前に出た。
ダンジョンがあった場所は何も無くなっておりギルド職員もビックリしているが、俺が攻略しましたと言うと喜んでくれた。
「ありがとうございます」
「いえ。当然のことをしただけです」
「ここはお年寄りも多いですからね」
「そうですね、ダンジョンブレイクなんか起こしたら大変ですからね」
「本当にありがとうございます」
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