第24話 マジックバッグの行方
“ドタドタ”と走る音が聞こえて来る。
「忠野さん!これはどうやってつくったのかね!」
「それはまだ内緒です」
「こ、これはえらいことですよ」
副ギルド長も鼻息が荒い。
「まぁ、とりあえず落ち着きましょう」
「こ、これくれませんか?」
ギルド長が言っちゃダメでしょ。
「それはサンプルですね」
「それは作れると言う事ですか?」
「今改良をお願いしてるところです」
「うおぉぉ!これは売れる!しかも凄い!」
語彙が大変なことになってるよ。
「如何でしょう?許可はもらえそうですか?」
「うーむ。でもこれは戦争の火種になりかねませんね」
「まぁ、そうですよね」
「これの量産は?」
「これを取りに行ける人がいればいけますけど、今のところ俺だけですからね」
「ですよねー」
「とりあえず上に報告して許可は貰いますから、改良が終わったらまた持ってきてくれると言うことで」
「はい!それで良いですよ」
「それまで預かってて良いですか?」
「もちろん」
「「「やったー」」」
この日からとりあえず皮は下ろさずに取っておくことにした。と言うか卸してないしね。
次の日にはギルドに来たら別室に呼ばれた。
「こちらギルド統括の近藤です」
「よろしくお願いします」
と名刺を渡された。
「では、率直に聞きますね、これは量産は?」
「出来ませんね」
「そうですか、で、今改良していると聞いてますが」
「そうですね、鞄の専門家に任せてますが」
1人がすぐに走り出す。
「そうですか、こちらにそれを任せてもらえないでしょうか?」
「んー。いいですが、材料があまりないのでその鞄の専門家にも一枚しか渡してません」
近藤さんは一息ついた。
「これが公になれば凄いことになりますから出来ればこちらにお渡しいただきたく」
「そうですか、この皮はダンジョン産ですので」
と一応鞄に入れてきた皮を出すと、色々と触り出す。
「なぜこれを鞄に?」
「これを内側にして袋状にすると、手を入れてください」
「お、おおー!これは凄い!」
「まぁ。思いつきですが、如何でしょうか?」
「これは世紀の大発見ですよ!後は完成品がこれですか」
昨日持ってきたバッグだ。
「これは量が少ないと言うことですよね?」
「そうですね、専門家から改良出来ると念を押されたんで」
「そうでしたか!なに!川崎鞄専門店ですね?」
黒服が戻ってきてなぜかバレてる。
「あ、バレました?」
「いま店を閉めているみたいですね」
「アァ、それでですか」
そこまでして作りたかったのか!
「わかりました、川崎鞄専門店と共同でこの研究に取り組みましょう」
「あはは、お願いします」
「それで後皮は何枚程お持ちですか?」
「ここに5枚あります」
「一枚100億円で買い取ります」
「100億!!」
6枚で600億円?桁が違うなぁ。いつでも取りに行けるのになぁ。
「それだけの価値があるんですよ!」
「分かりました」
「このプロジェクトは絶対成功させますんで!」
キリッと近藤さんはキメ顔をする。
「じゃあよろしくお願いしますね」
「はい!!」
「それでは!よし!いくぞ!」
「「「「はい!」」」」
黒服がみんな出て行った。
「すいません、忠野さん」
今野さん達が泣きそうな顔をしている。
「良いですよ!儲けたんですから」
「そう言っていただけるとありがたいです」
今野さん達はヘタってしまっている。
多分昨日は寝てないのだろうな。
「まぁ、なるようになりますよ」
「統括がくるなんて思ってもみませんでしたよ」
副ギルド長は伸びをしながら言うと、
「私あの人苦手なんです」
と笑いながら言う。
「あはは、大丈夫ですか?盗聴器なんかあるかもしれませんよ?」
「はっ!嘘です嘘!」
「「「あははは」」」
しかし凄い人だったんだな。
「であの皮って新宿ギルドですか?」
「あぁ。葛飾ダンジョンでも出ましたよ」
「そうですか!やった!」
三人とも安堵の顔だった。
「あと売ってないのってありますか?」
「うーん、ないと思いますが?」
「わかりました」
おっ!信用してくれたみたいだな。
しかしやりにくくなったかな?
「あれは大丈夫なのか?」
「大ジョバないかもね」
「また変な言葉!」
「まぁ、皮のことなんてわかんないからさ」
「まぁそうじゃの」
「納得」
ダンジョンに潜ろうとすると女勇者が待っていた。
「はぁ、今疲れてんだよ」
「昨日のは酷いぞ!私を嫁にしてくれ」
「やだ!すごく嫌だ!」
俺のことを思ってるなら今は引いてくれないかな?
「何故!こんなに愛してるのに」
あ、ダメだな。
「悪いけど好みじゃない」
「………さよなら」
「はいさよなら」
女勇者は去って行った。
「やればできるじゃないか」
「優秀、優秀!」
褒められるようなことはしてないからな。
いや、疲れてそんな気も起きないんだよ。
て言うか今日も休むか!そうだ!そうしよう。
「今日も休みー!決定!」
「お、じゃあ、お好み焼きというものが食べたいのじゃ!」
「賛成」
2人とも乗り気だな。
「じゃあ、お好み焼きを食べに行くぞー!」
「「おー!」」
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