第17話 29階層


 魔力循環はスキルになったようだ。

 こうやってスキルになるものもあるみたいだな。

「なにしてる?いく?」

「あぁ、行くよ行く行く!」

 久しぶりの葛飾ダンジョンだ。

 ギルドに入るとやっぱりこっちが良いな。

 受付に行くとやたら冒険者がいる。

「どうしたんだ?」

「今日は新人講習の日だぜ、あんたもか?」

「いや。俺は違う」

「あぁ。良い防具つけてるもんな」

「あはは、頑張ってくれ」

 そんなこともやり始めたんだな。

 受付に行って入場手続きをしようとすると呼び止められた。

「忠野さん、お久しぶりです」

「あぁ。ひさしぶりだね今野さん」

「今日からこっちですか?」

「あぁ、話はいってるみたいだな」

「そうですよ。新宿ギルドに入り浸ってるって」

 そうでもないんだがな。

「まぁ今日からこっちだからよろしく」

「はい、頑張って下さいね」

「おう!」

 さて。ダンジョンに入る。

 まずは一階層から順に進んでいこうか?

 それとも25階層に行こうか?

「悩んでる?」

「アァ。どちらがいいかなぁとね」

「25階層から行く」

「わかった!それじゃあ行こう」


 25階層から順に上がっていき29階層の赤竜だ。羽ばたく翼をミスティが撃ち落とすと『ガオォォオォォォ!』と咆哮を上げる。

 よし!それじゃあいっちょ試しますか!

 アクセルでスピードを上げて突っ込んでいく、尻尾を躱し背中の翼を削ぎ落とす。

『ガルアァァァァァァァ』

 ふん!なんとでも叫べよ!

 背中にダガーを刺して魔力を全開にすると胸の辺りから魔力の刃が出る。

「ガオォォオォォォ…」

消えて行く赤竜に、やっと辿り着いたな。

「ナイス」

「あぁ!」


 ドロップは赤竜の剛覇剣と、剛腕のブレスレットだった。宝箱には30枚の金貨とガチャが入っていた!

 ガチャを開けるかとミスティに聞くと良いと言うので俺が開けることに。

 よし!ガチャを開けると“スキル魔力量アップ”が入っていた。

 30階層は入るとそこには白竜が佇んでいた。

「行くぞ!最初からトップスピードだ!」

「はい!ーッシ!」

“キユオオコオオオ”

 ミスティの矢が渦を巻いて白竜に突っ込む。

“ドシュルルルルル”

『ギャオォォ』

「今だ!出力全開」

 ダガーを、大剣並みに魔力を放出し二つとも刺し、斬り裂く。

『ガオォォオォォォ』

 そのまま、そこで乱舞していると、尻尾が飛んでくるので避け様に斬り裂くと尻尾は切れて飛んでいく。

「まだまだぁ!」

「ーッシ」

 二人で攻撃を繰り出していると最後の咆哮を残して白竜は倒れて消えていった。

「シャァァァァ!!」

「よし!」

ドロップは白竜の槍とネックレス。宝箱には金貨30枚とガチャが、今度こそミスティに開けるように言うと断ってきた。最後のトドメを刺したのは俺だと言って頑なに譲らないので開けると『スキル 炎舞』だった。

 ネックレスを鑑定すると翼のネックレスで空中での落下速度を落とすことができるらしい。これはミスティに渡した。

 ようやく30階層まで辿り着いた俺たちは少し休憩をとり、ボードに触り帰還する。1階層では初心者講習が行われていて邪魔にならないようにギルドに戻る。

「今野さん。30階層攻略しました」

「本当ですか!おめでとうございます!」

 祝ってくれる今野さんにマッピングしたのを渡して別室に行く。

 赤竜の剛覇剣と白竜の槍は俺たちでは使わないので売ることにした。

 剛腕のブレスレットと翼のネックレスは使うので売らない。

 そう言うことを話しながら査定してもらう。

 合計二千七百万円になったのでよしとしよう。

 赤竜の剛覇剣と白龍の槍は展示品として飾るそうだ。


 ギルドを出て家に帰ると今日は外食でもしようと言うことになった。居酒屋に行き食べたいものを頼んで楽しく呑んでいると、

「忠野さん!」

「本田さん、奇遇ですね」

「今野さんもいますよ」

「あらほんと」

 一緒に合流して飲み始めると、

「今は9階層でレベル上げですよ」

「もう9階層ですか?」

「またまた!うちのトップが何言ってるんですか!」

「あはは。レベル上げに悩んだら他のギルドに行ってみると刺激になりますよ?」

 と言ってみる。

「そうか。そうですね。俺も新宿ギルドにいってみようかな?」

「それも良いかもしれませんね!」

 今野さんも進めている。

「あ。最近の噂を聞いてますか?」

「いえ、久しぶりに葛飾ダンジョンにはいったし」

「6階層で呻き声が聞こえるらしいんですよ」

「え?」

「よくある怪談話ですけどね」

 なーんだ。とは思わなかった。ミスティの件もあるしな。

「6階層のどの辺ですか?」

「左のこの辺りらしいんですけどね」

 マップを広げてこの辺りだと言う。

「そうですか、分かりました。それにしてもそんな噂話も入ってくるんですね」

「仕事柄聞き耳を立てるのが習慣になってしまって」と、バツの悪そうな今野さん。


 それからは取り止めのない話をしながら呑んでお開きとなった。

「また今度飲みましょうね」

「はい!また今度」

「ミスティちゃんもね」

「はい!」

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