レベル04 可憐とジョンは可憐に散ったんだ

 ビチは、本当に名前なのか?


 真っ白インと名付けたココで。静かに目を閉じて落ち着き。


 ある意味で、どうでもいいような事を、ずっと考えている。


 まあ、名は体を表すなんていうし。モブキングに似合わんからこそ。星野アイ。


 というか、星埜銀杏じゃないぞ。間違いなく。


 兎に角。


 生きる為には〔まあ、死んで真っ白インにいるのだから、生きる為に、という表現は、いささか先生にしても〕必要なアイデンティティの問題なんだ。言うまでもないが、満足なんて私の辞書にないとばかりにナポレオン・ヒルが……、


 ナポレオンズになってしまうくらいにしょうもない事なのだが。ビチ問題など。


 つまり、


 思考は実現するの鉄鋼王カーネギー様だぞ、天に向かって唾を吐いた大将軍よ。


 ひれ伏せ。ひれ伏せるのだ。カネが全てだからな。あの世は。次第ではないぞ。


 うむっ。


 ボナパルトよ。吾輩の辞書に不可能の文字はないという思考が実現したと勘違いして不可能がなくなったとでも思ったか? そのあとは不可能だらけで、しまいには島流しの果てヒ素で毒殺だろ? まあ、強がりだったと証明されたな。


 ハハハ。


 まあ、多分だがな。うむっ。


 いや、それともアレか実は思考など実現しないという証明だったのか。アレは。


 逆にだ。


 だったらナポレオン・ヒルの方を笑ってやる。


 フハハ。


 だからこそ、ヒルやボナパルトの本を読むよりもナポレオンズのマジックを愉しんだ方が、人生にとって、この上なく有意義なのだよ。少なくとも俺はだな。だがしかし、ソレは一介のモブ〔まだモブキングじゃないから〕の恣意なのだが。


 遺影ッ!


 と、訳の分からない、哲学なのか、もしくは阿呆の戯れ言で始まった俺の物語。


 そうなのだ。俺はビチについて考えていたのだ。ビチとはやはり名なのかとな。


 むしろ名であってはならないと否定的な考察のソレ。Webの悪癖である、否定的な、ご高察に絞殺されそうになり苦しんでいる方々に希望の光を与えたいからこそ。うむっ。だからこそ俺はモブキングになりたい。死して屍拾うものなしと。


 だぜよ?


 いつの日にか願いが叶えば、その時、初めて俺は笑う。それが、笑えない日々を過ごすの俺の養分。搾取側による扇情的な広告に騙され、欲しくもないものを買わされ、また、はした金を渡され、競争心を煽られ、コンテンツを作らされ、


 不労所得の養分になっている俺がだ。その悔しさを逆に養分にしてやんぜとな。


 無論、元いた世界では、そういった不労所得の養分にはなっていない。うむっ。


 そうなのだ。俺はファンタジーな世界のモブ。モブキングになる男だ。オッケ?


 だからこそ今の謎な主張が繰り広げられるのを目の当たりにした諸君の中で不思議に思った諸兄はいないか? あ、処女でもいいが、童貞はダメだ。帰れ。とにかく不思議に思った諸氏は、まず、レベル02の1回目の転生を読み直して来い。


 話は、それからだ。オッケ?


 Yai yai yai So Freeze.だ。まあ、意味は己で調べろ。


 お前らの世界にはグーグル翻訳というものがあるんだろう?


 それを活用せよ。以上だッ!


 遺影ッ!


 いや、武士のボナパルトの情けだ。一応だが、訳を語ろう。


 ジョンだ。ジョン。うむっ。


 いきりなりジョンとか、何の話か分からないヤツの為、もう少し丁寧に解説だ。


 さっきの英文の訳はジョンだという事だ。つまり、Yai yai yai So Freeze.をお前らの言語に訳すとジョンという超短いものになる。わけわかめなんて言うなよ。それこそわけワケギだから。わきが臭い。ワッキー。


 兎に角だ。話が前に進まん。


 そうなのだ。今はビチの話だな。ビチとはなんなんのかを考察しているわけだ。


 仮にだ。


 名であったとしてビチ・ゴソなどという個性の塊のようなものでいいのか。むしろ、ビチ・グソを外したソレだからこそな。つまり、指輪を外して気づく、また会いたいという気持ち。それほどまでに狂おしい助手席が指定席の君の名はだ。


 むむむ。


 無我ッ!


 自分を消し去り、そして思考する。志向する。


 ビチと。


 ピチピチギャルという言葉が流行ったのはいつだろう。思考は加速する。実現はしない。ピチピチイケメンはいないかと。いや、むしろ、ピチピチな老人がいてもいいのではないかと。言うまでもないが、ピチピチの、ただの屍は? と……。


 びちゃびちゃギャルは、ご免こうむるのだが。


 俺的にはな。ひたひた老人も全く以て嫌だが。


 遺影ッ!


 なんだろうな。モブキングである俺は。なんで、こんな事を考えてしまうのか?


 いや、むしろ、下らない事を考えるからこそのモブキング。モブキングだからこその人間。ただの屍だが生きた人間なのだ。俺の思考は。すました人間の奥底に潜む闇が明るみに出た感じだ。だが、俺は、ただ正直に生きている。それだけの事。


 以上も以下もねぇ。もちろん中間もな。遺影。


「ふふふ」


 ハイトーンボイス。さね魔人の野郎。なんだ?


「ビチについて考えてるんでしょ? でも、どうしても変な事を考えてしまう。それでいいんさね。人間なんて、そんなもんさね。特にモブキングはね。ビチ」


 まあ、お前に言われるまでもなく分かってる。


 うっさい。死ね。伊集院光だ。純情、愛情、過剰に異常、大和撫子七変化だぞ。


 まあ、ヤンデレの走りだな。


 遺影ッ!


「フハハ」


 誰だ。あ、ムキムキ言語か。


「余の名はジョンドット五世だと言ったあったろうが。まあ、よい。今はムキムキ言語でな。それよりもビチについて考えても無駄だ。お前の名なのだからな」


 だからソレが名じゃ嫌なの。


 むしろモブキングという名前の方がいいさね。


 さね魔人の真似っこ。魔女っ子大作戦、だぞ?


「そうだな。その昔、香恋という女賢者がおった。香恋はカレンと読む。女は香恋という名を嫌っておった。香恋の発音は可憐とも思えるからな。分かるか?」


 ビチよ。


 いや、意味が分からん。というか、そんな話、モブキングの物語には似合わん。


 湿っぽくなる感が満載過ぎな、そんな話はな。


 止めろ。


「そして死んだ。魔王の配下に殺されてな。充分に育つ前に」


 ああ、ただの屍同盟の同志の話か。その香恋とかいうヤツのお涙ちょうだい系。


 無駄。無駄。無駄。なりよ、キテレツだわよ。


 遺影ッ!


「可憐に散ったよ。まるで椿の花が墜つるよう。分かるか?」


 その無念さが。苦しさが。切なさがな。ビチ。


 同時に、其処に儚き美しさが、確かに在ったという事をな。


 遺影ッ!


 遺影ッ!


 遺影ッ!


 遺影……、クソう。遺影……、クソう。遺影。


 ジョン。


 だから、そんな話はどうでもいい。むしろ、するな。この場で。これが今年のスタイルなんて、わけない、わけない、わけないよ、と言いたい。……ごめん。本当にごめん。分かった。よく分った。名は大事なんだって。死の間際にも……、


 それは自分を形作るって。記号にすぎないけど、いつの間にかソレに沿うって。


「うむっ。いささか誤解しているようだが、今はソレで良い。それよりも重要なのは名は体を表すという事が分かったようだからな。今はソレでいいのだ。ビチ」


 でもね。


 でもね。


 でもさ。


 モブキングである俺が、ビチ・ゴソ、なんて名でいいのかって、そう思うんだ。


 いや、それも儚き望み。どんな名であろうと、俺は俺。名が全てを形作るわけじゃない。確かに名は体を顕すけども、それは生き様なのであり、人生の全てじゃない。人生を彩るスパイスの一つなんだって。だからこそ俺は、こう言いたい。


 遺影ッ!


 そして、


 ジョン。


 と……。


 嵐が近い。嵐が近い。それは思いがけない俺かもしれない。


 だわよ。

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