【エッセイ_07】心が泣いている状態が続くと、太る?②
初めて会った25年前ほど前からぽっちゃりとした友人がいる。
とてもやさしくて、気遣い上手で、友だちを大切にする人だった。
当時、わたしたちは今ほどは仲良くはなく、
いつも単独行動していたわたしは、その人が友だちと楽しそうに話している姿を
遠くから眺めていることが多かった。
会わなくなってからも、年に1~2度ほどは
メールで連絡を取り合っていた。
そして、なにがきっかけだったか忘れちゃったけど、
10数年ぶりにその人に会うことになった。
かれこれ5~6年前のことだ。
しかし、社会に出ていろいろ揉まれたのだろう。
久しぶりに会ったその人は、やさしくて気遣い上手な部分はそのままに
出てくる言葉の端々からネガティブで自己卑下な日々を送っていることがわかった。
雰囲気もずいぶん変わり、こちら側の使う言葉をいつもの何倍も気をつけないと
思ってもない風に受け取ってしまうこともわかった。
その人になにが起きたのか。
わたしはその人になにができるだろう。
友だちに囲まれて楽しそうに過ごしていた昔のその人の姿は、今のわたしには見えない。
大丈夫かな?、元気かな?
SNSやメールで1~2週間に数回連絡を取り合い、気にかけているが
文面から見えるその人のネガティブさや自己卑下具合は5~6年経っても変わっていないように見える。
ここ数週間のことだが、その人のことをぼんやりと考えていたら
ハッと気づいたことがある。
昔、楽しそうに過ごしているように見えたのは、わたしがきちんと見えてなかっただけで、本当はそのころからすでにネガティブで自己卑下しがちなタイプだったのではないか、と。
あの頃は学校という箱の中で会っていたから、学校ではいつも友だちといたから
誰かと一緒に過ごすことで、相手に気を遣って明るく振る舞っていたのではないかと。
その瞬間、なんで今までこのような考えに及ばなかったのだろうと
自分の人の見る目のなさに、疎さに悲しくなった。
数年前、メールで「うまくいかなくて、週末は食べて食べて、それで太って。
ダイエットしたいのに、続かない」とつぶやいていたことを思い出した。
ヒントはあったのに、わたしはそれに気づかなかった。
心が泣いているから、食に走って一時的に心を満たしていたのだろう。
つらかったのだろう。
一瞬でも現実から目を背けたいのだろう。
そこまで察することができずに、本当にごめん。
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