“普通”の終わり、“日常”のはじまり―5

配膳ロボット:『お待たせしましたニャ~ン♪』


ネコの装飾がされた配膳ロボットがネコ声で注文してきた料理を運んできた。

ミカサはお昼ご飯である天ぷらうどんを受け取る。

そしてミカサの向かい側に座っているマキナの前にも彼女が注文したお昼ご飯が並ぶ。

――――そう、並んでいるのだ。

カツカレーにチャーシュー麵、山盛りのから揚げにギョウザ、牛丼が彼女の前にずらりと置かれている。

明らかに女子高生が食べる量をオーバーしているラインアップ。

はた目から見ていた他の生徒たちもその光景に目を丸くしている者が多数いた。

無論、目の前に座っているミカサも同様だ。


ミカサ:「マ、マキナ。――――全部食べるの?それ」

マキナ:「ええ、問題はないわ」


ミカサの疑問にどこか自信のある返答をするマキナ。

どよめきが起きているがそれを他所に彼女は手を合わせて「いただきます」と言い、手前の料理を食べ始めていく。

まさしくフードファイターとも云えるかもしれないがマキナはよく噛んでゆっくり味わないながら美味しく笑みを浮かべながら注文した料理を徐々に平らげていく。

ミカサは彼女の健啖っぷりに驚きながらも自分もうどんに手を付けて食べ始める。


ミカサ:「ごちそうさまでした」

マキナ:「ごちそうさまでした」


ほぼ同時期に二人は食べ終わった。

ふとミカサはマキナの方を見やる。

口元を軽く押さえながら満足気な表情を浮かべるマキナとその周りには綺麗に食べ終わった皿があった。

お腹周りも見た感じではそんなに膨れてるようには見えないがあの量をどこに入っているのか気になる。


ミカサ:(凄い。あれだけのご飯を特に苦も無く食べ終えてる)

ミカサ:「マキナってよく食べるけど大食い系?」

マキナ:「昔からそうではなかったんだけども事情で中々食べれない時もあったからいつのまにかこうなってた」


ミカサの問いにマキナは少し表情を暗くする。

まずかったかな、と思ったミカサだがそれに気づいたのかマキナは気にしないで、と仕草をする。


マキナ:「それも昔の話だから今は義父(ちち)の元でしっかりと楽しくやれてるからそんなに気にしなくていいよ」

ミカサ:「そうなんだ――――あとこれを直接言うのもどうかなと思ったけども太らないの?」

マキナ:「気にしたことはない。むしろよく身体や思考を働かせているからか気づいたらよくお腹を鳴らしてしまうくらいか」


少し気恥ずかしい様にしながらコップに入った水を口に入れるマキナ。

ミカサも気持ちを切り替える様にコップに残っていた水を飲み干す。

同時に昼休みが終わる予鈴が鳴り始める。

その後は5限目と6限目の授業を終え、マキナとの最初の学校生活は終わりを告げる。

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