16冊目 ドーナツの小さな奇跡

 昔々、小さな町の片隅に「ミラクルドーナツ」という小さなドーナツ屋がありました。


 店の主人、トムは特別なドーナツを作るのが得意で、そのドーナツには人々を幸せにする不思議な力があると言われていました。


 ある日、町に住む少年ジミーが、大切な友達のリリーの誕生日プレゼントを探していました。


 ジミーはリリーがドーナツが大好きなことを思い出し、「ミラクルドーナツ」の店を訪れることにしました。


 店に入ったジミーは、トムにリリーのための特別なドーナツを作ってほしいと頼みました。


 トムは笑顔で快諾し、


「リリーのために、特別なドーナツを作ろう」


 と言いました。



 トムはジミーに、リリーの好きなものや大切にしていることを聞きました。


 ジミーは、リリーが虹の色を愛し、動物をとても大切にしていること、そして、いつも人々に優しくする心の持ち主であることを話しました。


 それを聞いたトムは、丁寧にドーナツを一つ一つ手作りし始めました。


 彼は、虹の色をしたアイシングでドーナツを飾り、中にはリリーが好きなフルーツのジャムをたっぷりと詰めました。


 そして、最後に小さな動物たちの形をしたチョコレートでドーナツをデコレーションしました。



「これが、リリーのためのミラクルドーナツだよ」


 トムが完成したドーナツをジミーに見せると、ジミーの目は驚きと喜びで輝きました。


 ジミーはそのドーナツを持ってリリーの家へと走りました。


 リリーはドーナツを見た瞬間、目を輝かせ、


「こんな素敵なドーナツ、見たことがない!」


 と叫びました。


 二人はドーナツを一緒に味わいながら、その美味しさとトムの心遣いに感動しました。


 その日以来、リリーの誕生日ドーナツは二人にとって忘れられない思い出となり、トムの作る「ミラクルドーナツ」は町中でさらに有名になりました。


 人々は、トムのドーナツには本当に幸せになる魔法があると信じるようになりました。


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