6冊目 月明かりのメロディ

 遠い昔、山あいの小さな村に、音楽を愛する少女ミナが住んでいました。


 ミナには特別な才能があり、彼女が奏でる音楽は人々の心を癒し、村中に喜びを運びました。


 しかし、ミナは自分の音楽が夜空の星々に届くことを夢見ていました。


 ある晩、ミナは村の外れ、静かな丘に一人で座り、大きな満月を見上げながらフルートを吹き始めました。


 彼女のメロディは、月明かりに包まれ、どこか懐かしい旋律を奏でていました。


 その時、不思議なことが起こりました。


 ミナの奏でる音楽が月光に乗って空へと昇っていくのを感じたのです。


 彼女の心は、喜びと驚きでいっぱいになりました。


 その音楽は、まるで夜空を舞う風のように、自由で、輝かしいものでした。




 突然、風が音楽に合わせて吹き始め、周りの木々が踊るように揺れました。


 ミナはその瞬間、自分の音楽が自然と一体になっていることを感じ、心からの喜びに溢れました。




 その夜以降、ミナは毎晩丘に登り、月明かりの下でフルートを吹くことにしました。


 彼女の音楽は次第に村の伝説となり、人々は「月明かりのメロディ」と呼ぶようになりました。


 ミナの音楽を聞きに、近くの村からも人々が集まり始めました。


 彼らはミナの演奏を聞くために、夜ごとに丘へと足を運びました。


 ミナの音楽は、人々の心を一つにし、村の絆を深めていきました。




 ミナ自身も、音楽を通じて自分と世界が繋がっていることを実感しました。


 彼女は、自分の音楽が人々に喜びをもたらすだけでなく、夜空の星々にも届いていると信じていました。




 そして、ミナは理解しました。


 音楽はただの音ではなく、心から心へと伝わる言葉なのだと。


 彼女の音楽は、月明かりの下で、限りなく広がる空に向かって永遠に響き続けるのでした。


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