2023年 4月 4日 17:00



「お嬢さん。」


 え?


「ここでのルールを説明するよ。」


 突然、私に声をかけられた。大きなフードをかぶっている。顔が見えない。

 でも、私はまだ、避難所の状態を理解しきれていない。その声かけはありがたい。


「トイレは奥にあって、配給は1日2回。スペースは自由に取ってくれ。水はその奥。貴重だから、大切に使ってね。以上。」


 かなり、簡素なルールだった。

 ルールの説明はもちろんありがたいのだが、まだ状況が掴めていないので、あまり頭に入らなかった。


「じゃあ、また。」


 質問も受け付けずに、彼は足早にさっていった。



…逃げるように。

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