第12話—鍛える者—
数日後、カレンは祖父の部屋にいた。戦いの傷もあらかた治り、集落の復興も順調に進んでいた。そんなときに祖父から呼び出され、何の話だろうと思っていたが、逆に自分の気持ちをもう一度伝えるいい機会だと思い、祖父が戻ってくるのを待っていた。しばらくすると、いつもよりも厳しい顔をしてやってきた。しばらくともに無言の時間が過ぎていったが、ようやくカレンが口を開いた。
「じっちゃん、話があr—」
「好きにしろ。」
そういい放つと、立ち上がって部屋の隅のタンスまでいき、何かを探し始めた。やがて何かを取り出すと、それを丁寧に持ってきた。
「お前はわしの息子に似ているから、いつかは起こると覚悟していた。」
そういうと、カレンの手に優しく何かを渡した。それは翡翠でできた小物だった。
「お守り代わりに持っておけ。泣き言をいうんじゃないぞ」
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「思ってたよりも長い滞在になったねー」
レオが集落の家を直すのを手伝いながら、近くにいたギルバートに話しかけた。
「まったくだ。ただまぁ今回使ったポーションやら弾丸やらは支給してくれるそうだし、報酬にも多少色を付けるそうだから、黒字にはなりそうだ。」
近くで子供の遊び相手をしていたシルヴィアは、子供をそっちのけにしてパーティ予算の計算を始めてしまった。
―今回の戦利品の総額は・・・3000Gぐらいかなぁ。けっこう手に入った。そのうちこれもどうするのか決めないと―
そんなことを考えていて上の空だと気付いた子供がかまってと言わんばかりに長い髪を引っ張られていると、族長の家からカレンが飛び出してきた。そして無言でピースサインを見せると裏山へ走って行ってしまった。シルヴィアは安心した顔をすると髪を引っ張て来た子供に軽くデコピンし、やめなさいと注意するのであった。
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族長の家の裏庭では、クライドが今回の雇い主であるロナルドに稽古をしてあげていた。
—こいつは戦士としての筋がいい。このまま商人にさせるのは惜しいな。
クライドは彼の戦士としての才能に舌を巻いていた。このまま修練を重ねていけば強い戦士になるだろう。そう確信した。そのことは本人にも話してみたが、自分は商売がしたい。そのための護衛術としてやれる程度で十分です・・・と言われてしまい、クライドもそこまで無理強いするつもりがなかったのでその話はなかったことになったが・・・やっぱり自分のどこかで勿体ないと思ってしまっているらしい。
—レオはどう思っているんだろうな—
と、同じ戦士であるレオの意見が聞いてみたくなったのであった。
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ロークは悩んでいた。先日のフードの話を伝えるか・・・・・・・ではなく。
「どうしますかねー・・・」
デリンジャーを買いかけるか、それとも強化するかの話だった。前々からの貯蓄で、どちらも今回の報酬と合わしても可能なほどの金額が溜まっている。時間はかかるが少しでもお金を節約するか、それとも時間をを優先するか。
(この考え自体も、ただの現実逃避だとはわかっているんですがね・・・なぜあの男は私のことを知っていた?)
考えても仕方がない。ロークはそう思うと、安楽椅子に腰を掛けるのだった。
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裏山に走って行ったカレンはいつもの一連のトレーニングをしていた。一通り終わると、そのまま倒れこみ、今までの出来事を振り返っていった。幼少期の父の記憶、初めて冒険者になりたいと祖父に言った時、何度も話し、その都度祖父からやめないかと罵声が飛ぶ。そんな日常茶飯事がなくなると思うと、途端に悲しく感じた。しかしようやく長年の夢が叶うのだ。嫌なわけがない。ただ—
(少し寂しい、かな・・・でも・・・ようやくスタート地点に立てるんだ・・・!)
そう思うと、この先のことについて胸が躍った。カレンは立ち上がると、もう一度一連の修練を始めるのであった。
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「それでは今回の報酬の6000Gです!ありがとうございました!」
スペルビア王国に戻り、ロナルドと別れると、レオ達は自分たちが所属する冒険者ギルド“蒼の陽炎”に向かった。
「お~遅かったな!—ってその子はどうした?」
宿につくと、ギルドマスターであるライゴウが声をかけてきた。どうやらそろそろ店じまいらしく、片づけを始めていた。
「うちのパーティの新入りです。・・・って当の本人聞いていませんね」
ロークの言った通り、カレンの耳に入っていなかった。何しろ初めての人の多さに縮こまってしまっているからだ。
「・・・本当に腕利きか?」
「ひとまず一緒にバジリスクを倒せるほどには強いですよ」
シルヴィアが苦笑いしながら答えた。
「嬢ちゃん名前は?」
「カ、カレン カークライドです。ぼ、冒険者を目指してこちらに来ました!」
ライゴウはにっこり笑うと、手続きの書類を取りに行った。それから数分の間注意事項の説明などがあったが・・・
「・・・よし!これで手続きは終了だ。ようこそ、冒険者ギルド“蒼の陽炎”へ!これで君も冒険者の仲間入りだ!」
第12話—鍛える者—完
ステータス
カレン カークライド リカント 女 16歳
起用度:18
敏捷度:30
筋力:20
生命力:12
知力:18
精神力:15
技能:グラップラー7
スカウト7
レンジャー3
戦闘特技:≪追加攻撃≫≪防具習熟A/非金属鎧≫≪両手利き≫≪二刀流≫≪武器習熟A/格闘≫≪トレジャーハント≫≪ファストアクション≫
武器:“過敏な”パワーリスト+1
防具:アラミドコート
装飾品:ブラックベルト
所持金:5000G
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