待ち人
勝利だギューちゃん
第1話
「降り出したか」
待ち合わせの場所にきて、30分たった。
予報はあったが、雪が降りだした。
すぐに止むとおもっていた。
しかし、止むことはなく、ますますその勢いは増す。
「何やってんだよ」
さすがに、焦り始めた。
もしかしたら、この雪で事故にあったのでは?
脳裏をよぎる。
『雪は降る。あなたは来ない』
歌のもんくにあるが、まさにその通りだ。
雨になるまでまって、やってきて
「雨はいい人を連れてくるのよ」
なんて、昭和の時代のことは言わないだろうな?
「連絡してみるか?」
スマホを取り出して、電話をかける。
ラインがいいかな?
いや、気づかない可能性もあるので、電話にしよう。
『いつまで待たせるのよ』
電話口から、彼女の声がする。
「それは、こっちのセリフや。いつまで待たせるんや」
『待たせてるんのは、あんたのほうやろ?今どこにおるん』
「どこって、〇〇駅の改札口や。〇〇鉄道の」
『えっ、JRじゃないん・』
「〇〇鉄道のほうや、確認してみぃ」
少し間が開く。
『ほんまや、私鉄のほうや。ごめん今からむかう』
「はよせえよ」
彼氏なら彼女を迎えに行け?
そんな甘やかしはしない。
それに目的地は、私鉄のこの駅が便利だ。
しばらくして、雪がやんで、雨へと変わる。
「ごめん、まった」
「心配するな、ほんの、わずか、たったの、60分や」
「嫌味?」
でも、雨はいい人を連れてくるのは本当だ。
待ち人 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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