戦国と現代を行き交う、歴史小説家の星川亮司の思索エッセー集

星川亮司

第1話ぼくのヒーロー

みなさんは、アンパンマンはご存じだろうか?


あのお日様のような丸あるいお顔のみんなの味方。


「知ってるよね?」


アニメ「それいけ! アンパンマン」は1988年10月3日に初放送された。原作はさかのぼって1969年10月。さらに、初出はその1年前1966年「バラの花のジョー」にはじまる。


著者はもちろんごぞんじ やなせたかし さん。


アンパンマン登場の時代へ少しさかのぼってみよう。


1966年は、元号だと昭和43年。戦後日本は、激動の時代をむかえた。日本大学へ東京国税局が家宅捜査に入った。


使途不明金22億円が発覚したのだ。


当時の大卒の初任給が3万600円。現在が20万円前後だから、現在の価値になおすとおよそ154億円がなんの目的でつかわれたかわからなかった。


ホンマにどんぶり勘定で申しわけないが古い東京タワーくらいかな(当時のスペックで、正確ではないです)。


この使途不明金事件を発端に東京大学の学生が発起、全国の国立大学、有名私大が


「おかしいだろうよ!」


と、次々に立ち上がった。


学生運動は拡大し、”学生と国家権力との戦い”となった。


東京大学本郷安田講堂では、学生と機動隊が衝突した。


重大事と見た時の首相 佐藤栄作は、強権を発動し鎮圧した。

(まあ、このへんの出来事はWikipedia調べなので、確証ないからいい加減なもんだとおもってちょ)



そんな時代に、やなせたかしは、アンパンマンを生みだした。

(ようやくつながった)


やなせたかしは、第二次世界大戦中に政府の都合のいい主張、いわゆるプロパガンダを制作していたそうだ。


正義の名のもとに、悪者を徹底的にやっつける。その裏側では、戦時下で物資が不足し空腹と飢えにあえぐ人々を救わない現実があった。


やなせたかしは「人生で一番つらいことは食べられないこと」と政府のプロパガンダ製作しながら涙をながしたことだろう。知らんけど。

(あくまで、想像ね)



戦後、やなせたかしは50代で売れない作家になった。戦争が終わっても貧乏で


「食べものが向こうからやってきたらいいのに」


と、思ったそうだ。


戦中の政府の”都合のいい正義”と戦後の”変わらない現実”


を目の当たりにし、

”困っている人に食べものをとどける。立場や国がかわっても裏切らない

『正義のヒーロー』

それがアンパンマンだ。



で40年ぐらい前……うそ! そんなに‼ まあ、いいや。ぼくは、小学生の頃に先生が変わり者で、全教科のテストを一気にするの。オイラ、早く終わったので、図書室で本でも読んどけって行かされた。


そこで、ぼくはアンパンマンと初めて出会った。ぼくより若いみなさんは、アニメから出会ったのかな?


でも、ぼくが初めて見たアンパンマンは、丸んまる太陽みたいな顔じゃなかった。

(まじで、ちゃうので、このエッセーを読み終わった後マジで検索してみてね)


ぼくが小学生の頃に出会ったアンパンマンは、全身タイツのお腹がでっぷりとびだした小太りの中年男性だった。

(おそらく、40代かな)


公園で遊んでる小学1年生くらいの子供のとなりに、そっとならんで座って、


「デュフフ、あんぱんたべない?」


と、どっかからとりだして子供に差しだすの。


ホンマ、現代だったら完全アウトでしょう。


で、平日は、うす暗い部屋に引きこもって美少女ゲームをしている。大きめのメタルフレームの角の丸い四角メガネを光らせてるんだ。


土日になると推しのアイドルの現場に行くの。


風呂にも3日くらいはまともに入っていない。フケと脂ぎった長髪を、ハートマークのついたハチマキをして出陣。10年は型落ちのタータンチェックの上着と、下には髪の白くなったお母さんがせめて、着るもの履くものだけはと、毎日洗濯した洗い立ての丈の長いストレートのケミカルウォッシュジーンズを分厚く二つ折りにする。


その姿で、300人くらいの会場でアイドルの源しずかちゃんに会いに行く。終わりには念願の握手会だ。


「デュフフ、小生さきほど新宿のミルククレープのおいしいお店で7つケーキを買ってきたでござる。あとで、メンバーとたべてほしいのデュフ」


と、決まったぜ! クイっとメガネの角を持ち上げて鼻息を鳴らす。


それ見て、しずかちゃんの心中は……もう、やめとこ、ご時世、ホンマに怒られるわ。


現代の感覚だと、そんな中年男性がアンパンマンだったの……待てよ、それはオレじゃないか!(自爆!)


あ! どっかのアイドルに源しずかちゃんいたらゴメンね。ミルククレープのお店はあるのだろうかないのだろうか。あと、こんなファンの方はいまどきオレ以外にはおられないと思うにござるデュフフ。


で、話を戻す。令和の時代では怪しすぎる中年男性がどうして現在のアンパンマンになったか、ここからは完全に想像です。(つか、ここまでも想像だけど)話半分に聞いてね。


たぶん、やなせたかしさんの担当編集さんだったり、アシスタントさんだったり、近所のパン屋さんかもしれない。色んな人と話して気づいて今の形が生まれたのではないかと思う。


アニメ化する時も、スポンサーであったり、プロデューサー、監督、脚本家が知恵をしぼってブラッシュアップして現在に至ったのではないかと思う。ホンマ、知らんけど。


たぶん、やなせたかしさんは、


”困っている人に食べものをとどける。立場や国が変わっても裏切らない正義のヒーロー”


だったら好きにしろくらいで、みんなの善意をこめて作り上げたヒーローが、ぼくらのアンパンマンだったんじゃーねーかと思う。悪意はダメよそれは違う。



『アンパンマンのマーチ』にもあるでしょう。


♪そうだ、おそれないで、みんなのために、愛と勇気だけが、ともだちさ♪

(こういうの色々あるからさ、割愛。後で、自分で調べて聞いてね)


オープニングテーマで一番大事なことを最初に歌ってる。


みんな幼稚園、保育園だかのころ見たでしょう。少なくとも、30代のみなさんは教わってるんだよ。


♪あ、あ、アンパンマンやさしいキミは……♪


みんな、やさしくあろうよ。アンパンマンみたいにさ。


〈了〉


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