柚子ポン日記
こーの新
ミルクリゾット
アラームに起こされるわけでもなく目覚められる、1日引きこもると宣言した休日の朝。布団の中でミノムシ状態になって30分間無駄にゴロゴロするという贅沢を堪能してから、カタツムリのような速度で布団から這い出る。
添い寝をしてもらった柴犬のぬいぐるみを折り畳み式のテーブルに避難させてから掛け布団を8つ折りにして押入れに放り込む。それから敷きマットも小さく畳んで押し込む。最後に敷布団を折りたたんでそこら辺の壁に立てかけると、6畳の部屋に生活スペースが現れた。
「ふわぁ」
欠伸とともに軽く伸びをして、ダルダルのパジャマの裾を踏みながらお勝手に繋がるドアを開ける。ちょっと寒い。
冷水で顔をゆすいで、妹に押し付けられた洗顔用の泡で顔を洗う。面倒臭いけれど、タダでもらったものは有難く使わせてもらう主義だ。よほど気にいることがなければ次は買わないけれど。
顔を拭いたらテレビを点けて、適当なアニメを流す。好きなものしか観ませんけど何か?
何度も観たアニメを選んで、冒頭だけボーッと眺めたらもう1度お勝手に向かった。
休日の朝ご飯。平日なら前日の夜のうちに用意しておくけれど、休日は何もない。パンを焼こうにもパンがないし、シリアルも切らしている。冷蔵庫を覗いて見つけたのは炊いて冷蔵されていた米が1膳。
何かおかずを作ろうかとほんの一瞬思うけれど、面倒臭いが勝利した。俺の心の中にいる天使も悪魔も、俺に似て面倒臭がりな奴らだ。
タッパーに詰められていたそれを持って部屋に戻る。タッパーをレンジに放り込んで、ご飯のモードで普通にレンチン。待っている間はアニメ鑑賞。朝はギャグが良い。
レンジがピーピー騒いだら、タッパーを取り出して渋々肌寒いお勝手に戻る。ご飯を丼に移し替えて、タッパーは流しに放り込む。冷蔵庫から牛乳とマヨネーズ、とろけるチーズを1枚、それから味噌を出す。
牛乳をご飯と同じ高さくらいまで注いだら、マヨネーズをぐるっと1周。キャップを外した太い方で入れる方が俺は好き。ケチるときは細口で2周。金欠の月末だけだから。
ぶっちゃけてしまえばマヨネーズよりもバターを3cmくらい入れた方が旨い。だけどマヨネーズの方が安いから。自腹のものはケチる主義。
味噌をスプーン1掬い入れたら、棚から塩と胡椒を取って適当に振りかける。塩コショウは多めが俺の好み。高血圧は怖いけど。何はともあれぐるぐる混ぜる。仕上げにチーズの袋をくるくる外して、千切りながら載せていく。
「ピザ用チーズ買いてぇな」
ピザ用チーズは前に買ってみたときに冷凍保存しておいたら使い勝手は良かった。だけど使い切ったタイミングで品切れになっていたから、今月は四角い20枚入りのお徳用パック。
また部屋に戻ってレンジに入れようとして、ふと思いとどまる。今日は休日。外出する気も一切ない休日。
お勝手に戻ってもう1度冷蔵庫を開けて、すりおろしニンニクのチューブを取り出した。適当に1cmくらい入れたらチーズを崩さないように牛乳に溶かす。今日は息が臭くても文句ないだろう。
今度こそレンジに入れて、牛乳を温めるときのモードでレンチン。待機しながらまたアニメを観て、レンジに呼ばれたら丼を取り出す。
これでミルクリゾットの完成。お勝手にお気に入りの猫柄スプーンを取りに行って、朝食にする。
ソーセージとかハムを入れたら少し肉っぽく、野菜を入れたら健康志向になる。野菜を入れるときは先に500wから600wで1分レンチンすると大体柔らかくなっててリゾットに合う。
俺の好みは納豆を入れること。あ、入れれば良かった。ちょっと後悔。
ホクホクで食べたいならご飯と一緒に、こだわりがないなら牛乳を入れた後に入れてレンチンする。あのねばねばが牛乳をとろとろにしてくれて、結構旨い。
納豆を入れ忘れたけど、休日の朝のラクチン朝食としては美味しかった。合格。
そう、これは手抜きではない。ご飯を作る行為においては手抜きも簡単なものもないのだ。作るだけで偉い。
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