夏の話

秋のやすこ

おはようございます。

ちょっと聞いてもらってもいいですか?


夏ってのは不思議なもんで、なんだか不思議なことが起こりそうな、そんな気がしてくるんですよ。

起こったら起こったで嫌ではあるんだけど、起きても不可思議に思うことはないっつーかね。

子供の頃に見たビデオの影響なのかなんなのか、夕焼けに照らされる工場とか、緑溢れる川とか、いわゆるエモいってやつですよね。そういうのを見ていると起こりそうだなーって、そういう場所では特に思うんですわ。


なんでだろうね、冬ではそういうこと考えたことないもんで、夏だけなんですよ、そういうこと考えるの。へへへ。


でね、不思議なことって言ったらこの前体験したんですよ。

僕は今中学6年生でね。ああ、中学6年生ってのは高校3年生のことですよ?受験が頭いっぱいにあったんですけど、親が気分転換にどっか連れてってやるって言うんで、空気読めんなぁうちの親は。とか、もうとっくに過ぎてんのに反抗期みたいなことを思いながらも行ったんですよ、どっちにしろ疲れてたからね。


しっかり聞いてくださいね?


どっか連れてってくれるっつうからなんかイイとこ連れてってくれんのかなぁとか思ってたら…もう期待外れもイイとこですよ。ちょっと離れた親戚の家じゃねないかって。

夏休みは親戚の家とか回るけどもですよ。酷い話ですよね。

いやぁね、行った親戚の家はものすんごい田舎なんですよ。僕の家もそれほど都会の方ではないけど、親戚の家はもうど田舎って感じですよ。

ちょっと機嫌悪くなりながらもまぁ、半年ぶりくらいに会ったんで、会話もはずむわけですわ。


1時間くらいですかね、1時間くらい話したら外に出たくなったんで、外出たんですよ。いやぁ暑い暑い、35°超えてそうだなって、いや絶対超えてたですよ。


ど田舎ですから出ても田んぼだらけですけどね、田んぼだらけですからカカシもポツポツと立ってるわけです。カカシも目を持ってるからカラスに突かれたら大変ですよね、グチュって潰されてしまいますから。

まぁ目はどんな物にもありますからね、監視されてる時もあるんでね、へへへへ。


何時間くらい歩いたかは分かりませんけど、時計もなかったんで。

でも暗くなってきたのはわかったんですよね、目に映らなくなってきたんで。


目が見えないんでそろそろ帰らないといけないんですよ、くらいと見られてしまうので。


一本道を歩いてると後ろから歩いてくる音がしてくるんですね、カンッカンって、もう来ちまったかぁって思ってどうにか撒こうとしたんですけど、一本道なんで田んぼの中に隠れないといけないんですね。


とりあえず田んぼの中に飛び込んだんですよ、もうしょうがないのでね。

そしたらバレてたんですよ、目がずーっと探してるんですね。しかも増えてるんですよ、何もしてないのに。

多分カカシの目ですよね、カラスにほじくられてればよかったのに。

カカシの目と単体の監視の目がいるんでどうすることもできないですよ、僕の目は今使えないんで対抗できないですよ。

でも田んぼに隠れてれば、バレてても大丈夫なので朝まで隠れてましたよ、全身泥だらけで酷いですよね。


朝戻ったらすごい捜索隊に囲まれましてね、お前らも敵国か!と叫んだんですけど、どうやら親が探してくれてたみたいでね。すんごい怒られたんですよ。なんであんたら知らないんだよと、僕も怒って説明しましたけど理解されないんですね。まぁ怒って説明しても伝わらないですから、両者落ち着いたタイミングで説明したらなんとかわかってもらえたみたいでね。

ホントにうちの親とっぽりしーですよ。


そんで家に帰ってきて、怪我してるからって言って入院ですよ、どこも怪我してないのにね。


聞いてました?これが最近起きた不思議なことですよ、今喋ってみたらそんなに不思議なことでもないかな。目の数が多かっただけですからね。


いやいや、この話は今初めてしましたよ。さっきも話してませんって。

あんたも敵国?

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