◆ 光と闇の神話
村を出て初めての夜、二人は野宿することになった。
「キキ、話さなくてはいけない大事なことがあるの」
「大事なこと?」
「エルフから聞いた昔話よ。今に繋がるとても大事な話だから、よく聞いて」
前置きして、ククはキキに昔話を語るのだった。
「遥か大昔、光の神々と闇の神々との間で、世界を巻き込むほどの大戦争が繰り広げられていた。
争いは何百年何千年と続いたが、一向に収まらない。
そこで、両方の神々はそれぞれ人間を創造した。
闇の神々は、『闇の魔法使い』という闇の人間をつくり、続いてゴブリンとオークをつくった。
光の神々も、『光の魔法使い』という光の人間をつくり、続いてエルフとドワーフをつくった。
神々は戦争のルールも決めた。勝利の条件は、先に『神の聖杯』を手に入れること。これらルールの下で、神々はこの二種類の人間に代理戦争をさせた。
こうして、光と闇の戦いがはじまった。
人間は、神のしもべとして、また戦争の道具として、生まれたのよ。だから、神の命令や掟は絶対に守らなくちゃいけないの。
私たち光の魔法使いの使命は、光の神々のために闇を滅ぼすこと。神のためなら、どんな約束も絶対に破ってはならない。
戦うためには、命を犠牲にする覚悟も必要よ」
それから、ククは旅中で魔法の練習に励んだ。小枝の扱い方にも慣れ、ククの魔法は日に日に上達していった。それに対して、魔法を使えないキキはただ戦闘を見守るしかできなかった。
今日も、ククの練習するところを見ては、自分の弱さにがっかりして、キキは思わず下を向く。すると、足元には太い枝が落ちていた。
自分も小枝があれば、魔法が使えるのではないか。キキは試しにその太い枝を拾い、何度か振り回してみる。硬くて丈夫な質感で、普通の細い枝より少し重いけど、楽に振り回せる程には軽い。
しかし、振り方回し方を工夫しても、魔法を使うことはできなかった。やはりがっかりしたキキだが、いつかは使いこなせると思い、太い枝を取っておくことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます