◆対エリートコンビその二

 事は一件落着し、夜になった。

昼は明るい浅海も、夜になると深海のように真っ暗闇になり、怖い生き物がうろつくようになる。


 地上まで、あともう少し。

潜水艦は、氷面下まであと数十メートルほどに近づいた。

海を出るまでもうそんなに距離はない時。そんな時だった。


「見つけました!」

「もう逃げられないぞ!」


 危険な気配を感じてシンが後ろを見ると、再び敵の宇宙船がこちらを追って来るのが見えた。二人とも、本気で潜水艦を駆逐する気だ。


 シンはレバーを押し、最高速度を出して上へ進んだ。もちろん二人組の方も、最高速度でシンを追いかけ回した。


「地上まで……あと、少し……!」


 潜水艦が氷面下すぐまで近づいたところでドリルを出し、分厚い氷の層を削りながらどんどん上へ進む。


 泳げない魚はやはり必死にしがみついていた。だが、潜水艦が地上へ進んでいることを察すると、潜水艦から体を離す。

そして削られ崩れる氷塊につかまり、海の下から潜水艦を見送った。


 穴を開け終わると、潜水艦はドリルをしまって地上へとたどりつく。

それでも宇宙船は追跡をやめることなく、地上へ追いつくと今度は執拗に潜水艦目掛けてビームを発射した。


「逃すものですか!」

「追いかけろ!」


 必死にビームを避けながら、シンは穴から遠く離れたところへ潜水艦を走らせる。


「逃げろ、逃げろ……逃げるんだ!」


 しばらくの間、命懸けの逃亡劇が激しく繰り広げられた。

そんなあるとき突然、地表に亀裂が入り出す。

宇宙船が放ったビームの衝撃によって亀裂はあっという間に大きくなり、氷床が崩れ始めた。


「お、おっと……」

「うわっ、落ちるぞ!」


 宇宙船は氷床の崩壊から逃れようとした。しかし崩壊はとてつもなく大きく広がり、容赦なく宇宙船をも巻き込んだ。


「……ガイ様!」

「しっかりつかまれ、ガス!」


 大きな轟音の中を、二人組の宇宙船は無数の氷塊とともに海へと沈んでいった。

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