第27話 忠誠ではなく、、、愛を誓ってほしい。(最終回)

休学していた学院には、前期は全く行かないで終わってしまった。


単位は論文提出でどうにかなったので、、、後期からはタウンハウスに戻って、日常生活を取り戻そうと思う。体調も万全になったし。それに、、、


「・・・と、いうわけで、長々お世話になりましたが、そろそろ帰ります。」

「あら、、、ずっといてくれて良かったのに。」


離宮の中庭で、王太后陛下とお茶の時間に切り出す。


「で、、、、ハルとはよく話したの?」

「はい。私は、、王太子殿下に側にいることを許されたので、頑張って秘書官を目指すことにしました。冬の事務官登用試験を受けて、、、即位なさる頃までは、秘書官まで上り詰めたいな、と。学院はスキップして、春には卒業して、王城に就職する予定でいます。」

「え?、、、よく、、、話し合ったのよね?」

「え?はい。」

「・・・・いったい、、、何を話し合ってるの?あなたたち、、、」

「ハル様は、いい国王におなりになるでしょう。陰ながら支えられるように!忠誠を誓いますよ!」

「そう、、、忠誠、、を?」

「・・・それに、、、次期王妃のために、イリアから献上されたサファイヤでティアラを作られていると伺いました。ここにお世話になっていて、不要な噂話になるようでも困りますので、早々に引きこもりたいと思います。まあ、、、何でもないんですが、、噂にでも王太子の婚約者様の耳に入ったら、お嫌でしょうし。」

「・・・・・何もないのね?」

「?」




*****

「あら、お義母様、どうされましたか?」


「・・・あなた、ティアラを作ってるんでしょう?この前のサファイヤで。」

「はい。デザイン画ご覧になりますか?いいですよー!石の色も良いんです。あの子の黒髪に映えると思うわー!来年の春までには完成させるように、モーガン商会に伝えてありますわよ?カットは、ほら、イリアからの職人が手掛けてくれるので、最高の出来栄えになりますよ!楽しみですね!」

「・・・・・」

「どうされましたか?」

「・・・・・」

「ドレスも、冬の舞踏会用と、春の婚約発表用にもう頼んでありますわよ?」

「・・・・・」

「ハルが、急に黒の上着にこだわったり、タイを茶色にしたりして、、まあ、あの頃から、、、決めていたんでしょうね。うふふ。わかりずらい子だけど。

婚姻の承認欲しさに危ない橋を渡りましたが、、、結果オーライ、ですね?おかげで、国外、国内とも、綺麗になりましたし。」

「・・・・・」

「・・・お義母様?」

「・・・息子に、、、」

「はい?王に?」

「そっくりに育ってしまったわ!!」

「・・・・では、、、何も約束していない、、、と?」

「・・・・・」

「プロポーズもしていない??」

「・・・・・」





*****

「今日、議会中に母上が乗り込んできて、、、急に3日も休みを命じられた。」

「ん?」

「・・・お前、、何やってんの?」

「ほら、だんだん帰るので、荷造りですよ。長居してしまいましたから、荷物も増えてしまって、、、」

「ああ、、、どういったら伝わるんだ?側にいろと言ったよね?」

「はい。伺いましたけど?だから、頑張って秘書官になるって言いましたよね?」

「・・・冗談かと思った、、、」

「このままここにいたら、ほら、ハル様の婚約者様にも、いらぬ誤解を与えてしまいますでしょ?」

「なんでそんな話になっているんだ?」


「・・・だって、、、自分にできることを、考えた、、、から。」


荷造りをやめないナタリーの手を取る。そのままベットまで連れて行った。覆いかぶさるように、口づける。

「俺は、、、お前を妃にする。分かったか?」

「・・・無理です。」

「なぜだ?」

「私は、、、男爵家の出です。ふさわしくありません。」

「国王の許可はもう取った。問題ない。俺のことが、、嫌いなのか?」

「好きです。大好きです、、、、でも、立場が違いすぎます。王妃教育も受けていませんし、、、」

「・・・はあ、、、お前を教育したのは誰だ?」

「母と、、、ルーです。」

「じゃあ、十分じゃないか??」

「・・・・・」

「とにかく、、、逃がすつもりはない。」

「・・・それは、、、命令ですか?」


「いや、、、、お願いだ。」


ぽろぽろと、琥珀色の瞳から涙がこぼれるので、、、やさしく口づける、、、ナタリーが俺の頭を抱え込んで泣くのが愛しすぎて、、、つい、、、いや、、今までよく我慢していたと思う、、、うん。



小柄なナタリーを・・・くるっと、抱え込むようにして、、、






*****


12月の王城の舞踏会には、予定していたハイヒールではなく、フラットな靴が用意された。

ドレスも、デザインが急遽変更され、胸の下でリボンを結ぶ、ふわっとしたタイプになった。これはこれでかわいい。深いブルーに金糸の刺繍。髪も少し伸びた。ピアスと同じデザインのネックレス。

ハルは黒の上着に、金糸の刺繍。タイは琥珀色。


春に予定されていた婚約発表が時期を早めて、なされる。


栄国から、フェイロンとサーラが来てくれた。

二人共、今、後宮を閉めるのに忙しいと聞いていたけど、、会えて本当にうれしい。

フェイロンは深紅の上着、サーラのドレスは黒のシルク。すごく大人っぽいデザインだ。髪は元の色に戻して、深紅。こげ茶も似合っていたけど、やはり、綺麗だ。


ユーハン侯爵は、細身のブロンドの女性を伴なって現れた。やっぱり、、、元、国税官のお姉さんだ。社交に出るように国王に言われていたが、一人では行けない、と、泣きついたらしい。読み通りだね。ちなみに、、伯爵家のお嬢さまだったらしい。


自領からは、代替わりした兄が来た。なんと、、、ハンナを伴なっている。

父と母が、イリアに行ってしまってから、靴下の場所もわからない、と、呼び戻されていたが、、、意外な展開。けっこうお似合いです。


そして、、、アン様とウィル様。もう落ち着いている。さすがだね。


「あなた、、、ピアス、無くさなかったのね、、よかったわ。」


と、アン様がそっと囁く。はい。無くしかけましたけど、、、戻りました。


「ウィルがハル様にこき使われて、返してもらえない!」

と、、こぼしていました。すみません。



「ハロルド王太子殿下、ナタリー嬢」


ハルに手を取られて、挨拶に出る。



ハルがエスコートしてくれる。

ダンスは、、、、お医者様に止められている。


つわりが落ち着いたので、ご飯は食べれるな。



*****


「こんなところまで、、、、父親に似なくても、、、」


「・・・お義母様、、、」















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