第13話:パーティメンバーをみんな脱がします
「魔王はこの山の下で眠り続けている。唯一の進入路はこの森の奥に隠されている」
闇エルフのドリーンは、地図を指差しながら俺達に説明をした。
「扉を開く鍵はその女騎士の剣の、柄に埋め込まれている宝玉がそれだ」
「やはり、古くから我が家に伝わると聞いていたが……」
アリシアは自らの剣を見つめた。
「詳しい道はその剣が導いてくれるだろう。天井や壁が崩れたりしているところもあるだろうが、お前たちの力なら切り開けるはずだ」
「なるほど。街道沿いに進んでも数日もあればたどり着けますね」
イリスが地図を見ながら旅の目安を立てる。
「まさか、こんな大ごとに巻き込まれるとはね。でも、面白そうだからいいか」
リンまで、実に乗り気である。
「ちょ、ちょっと待った! 魔王とやらのところまで行くとして、勝てる公算なんてあるのか?」
「しかし、我々はそのために旅に出たのだろう?」
「いくらなんでも早すぎないか? もっとこう、世界を巡って武器や仲間を集めるとかさぁ」
先祖から伝わる武具を身に着けたアリシアや、そもそも体ひとつで戦うリンはまだしも、俺やイリスの装備は店で買った量産品のままである。
「我がゴーレムを一方的に破壊できるほどの実力があるのなら、まだ力を蓄えている段階の魔王にも勝てるはずだ」
「ああ、俺の能力なんだけどな。あくまで"服を脱がせる"だけなんだ。力でゴーレムをバラしたわけじゃない」
ここで、改めてこの世界に来た経緯を説明した。異世界から転移し、女神に力を与えられたということも。
「信じられないな。そのようなことが起こるなど」
「いろいろ話すより実演したほうが早いかもな。悪いけど、標的になってもらえるか?」
さて、誰に脱いでもらおうかと思ったら、仲間が3人とも俺の前に来た。
「いいのか?」
3人とも静かにうなづいたのを確認したので、脱衣の力を発動させる。
「
俺の掛け声とともに彼女たちの体が光り輝いた。イリスのローブが、アリシアの鎧が、リンの拳法着が、見えない手で脱がされるかのように剥がれ落ちていく。
「やっぱり、何度受けても不思議な感じですね」
「ケン殿が敵でなくてよかった」
「正面から見られちゃうのは初めてね」
3人とも、恥ずかしがる中にもどこか嬉しそうな様子があるので、なんだか俺まで嬉しくなる。性欲の有無とかに関係なく、女性が自ら裸を見せてくれるというのは男として本能的に幸せを感じるんだと思う。
イリスのドロワーズが、アリシアのショートパンツが、リンの紐パンが最後に脱げ落ちて脱衣は完了した。特に順番を指定したりはできないのだが、下着が最後になることが多いようだ。
「……これが俺の能力だ」
そこには3人の美女が靴だけを身に着けた状態で立っていた。華奢で小柄だが下半身はしっかり成熟したイリス、筋肉質でバストとヒップも大ボリュームのアリシア、同じく筋肉質だがよりスレンダーで引き締まったリン。みんな、恥じらいながらも体を隠すことはしない。イリスは金色、アリシアは赤、リンは黒……それぞれ髪の毛と同じ色のアンダーヘアも晒している。
「ふむ……衣服を破壊したわけではなく、ただ脱がせただけか。私のゴーレムも分解されただけで砕かれたわけではないからな」
冷静に分析するドリーンだが、彼女も裸のままである。俺に裸を見せることを受け入れた3人はともかく、彼女については長年の眠りで羞恥心そのものが無くなってしまったのか、それとも人間の男に見られることなど何とも思っていないのだろうか。
「しかし、魔王がまとう無敵の"漆黒の衣"も、その力があれば剥がせるだろう」
3人がいそいそと服を着直してる間、ドリーンはそう説明した。ゲームに例えれば、本来なら特定のアイテムとか魔法とかで無効化するような防御効果を強引に剥がせるという意味だろう。
「……どうしますか?」
「今のままでも勝てる可能性はあるのかも知れないが、やはり早すぎると思う」
確かに「漆黒の衣を剥がす」という勝利条件は手の内にあるようだが、魔王の本体と渡り合うだけの力が備わっているとは思えない。
「どうせ魔王は眠っているままなんだ。今は世界を巡って、情報やアイテムを集めることを優先すべきじゃないか」
「確かに、ケン殿の言う通りかも知れないな」
これがゲームなら都合のいい負けイベントなどが用意されていそうだが、そこまで甘くはないだろう。
「ま、私もまだまだ冒険を楽しみたいからね」
「同意見だ」
リンの言うように、俺もまだまだ未知と神秘にあふれたこの世界を見て回りたい。まおうと戦ったら、勝っても負けてもその時が冒険の終わりなのだろうから。
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