第13話 ポーション草採集。
僕はマリーさんにお礼を言って別れるとさっそく掲示板に向かった。
もちろんEランクの依頼表が貼ってあるところだ。
「あるある」
そこには街の外での依頼ばかりだった。
薬草を集める依頼を見ると、師匠に頼まれて普段集めていたものだった。
これなら簡単に見つけられるね。
そしてだよ。
魔物の依頼もたくさんあったんだよね。
「ゴブリン……が中心か」
Eランクだからね。
あんまり強い魔物の依頼はないね。
話を聞くと豚頭のオークはEランクじゃ手に負えないらしい。
だけどゴブリンの討伐依頼表を外して窓口に行くことはしないよ。
だって僕には攻撃手段がない。
できるのは転倒させることだけだからね。
だから魔物討伐をするならば、どうしても誰かとパーティを組む必要があるんだよね。
だからその日はそのまま宿「暴れ牛亭」に戻ったよ。
そしてぼんやりと考える。
ひとつは師匠のこと。
闇雲に探しても見つかることはないよね。
誰と会いにどこへ行ったのかの手がかりが一切ないんだし。
これはこの街で暮らしながら、もしくは別の町への移動をしながら探すしかないね。
だからこのことはこれ以上は考えない。
もうひとつはパーティ。
僕の魔法はとても有益だ。
特に魔物相手ではその場で足止めすることができるので戦力として期待してもらってもいい。
そこで考えることは誰とパーティを組むかなんだよね。
当然僕はこの街で冒険者の知り合いはいない。
マリーさんやペット探しで出会った人たちは論外だしね。
だとすると冒険者の誰かと組むしかない。
……そうすると冒険者組合で探してみようかな。
僕は明日、冒険者組合でパーティメンバーを探すことに決めた。
なんなら受付嬢のマリーさんに相談するのもいいかもしれないね。
■
翌日。
朝早くから僕は冒険者組合に出かけた。
師匠探しは手がかりなしないので、まずは日銭を稼ぐことが大事なんだよね。
そして掲示板を見る。
もちろんEランクの掲示板だ。
そこにはべたべたと乱雑に依頼の紙が貼り付けてあった。
「やっぱり薬草が無難かな?」
僕はポーション草の採集依頼の紙に注目する。
カゴいっぱいに集めて大銅貨8枚となっている。
ペット探しと比べると難易度が低いから安いけど、もう街の中でペットを探し回るのには飽きたからこっちの方がいいね。
それに僕は魔法使いだから、薬草の素人じゃない。
この依頼されているポーション草だって師匠から命じられてよく集めた草だよ。
ポーション草は名前の通りポーションの原料になる薬草だ。
正式な学名はもっと難しい名前だったはずだけど、みんな通称のポーション草と呼んでいる。
現にこの依頼表にもそう書いているしね。
僕は紙を剥がして受付窓口を見る。
するとちょうどマリーさんと目があったので、僕はそこへ行く。
運良く誰も並んでいなかったので、受付はすぐだった。
「マキラさん、おはようございます。今日も早速依頼ですか?」
「はい。ポーション草集めをしようと思います」
そして僕は依頼表を提出した。
「量はカゴ一杯ですね? カゴは持ってます?」
「いいえ。でも魔法収納袋があるので持ち運びは大丈夫です」
「でもそれじゃ量の目安がわからないんじゃない?」
「あ、そうか」
そうなのだ。
ただ適当に採取して収納袋に入れていくだけじゃカゴ一杯って量の目安がわからないよね。
「ならカゴを組合から貸してあげましょうか? 有料ですけど」
価格を訊くと銅貨5枚らしい。
なら借りていくことにした。
そして僕は空のカゴをローブの上に背負って街の門へと向かうのであった。
■
門を守る衛兵さんに冒険者組合の札を見せて僕は街道に出た。
そして地図を見ながら森の方へと向かう。
ポーション草は樹木の下の半日陰によく生えているからだ。
そして森に到着。
かなり深い森のようで奥の方は鬱蒼としていて暗いけど、僕はそこまで入らない。
ほとんど街道との境目くらいで収集だ。
ちょっとだけ森に入り、樹木の下を探すと蕾がぼんやりと光るポーション草の群生を見つけた。
運がいいね。
そして辺りを見回して確認する。
うん、魔物はいないみたいだね。
と、言うのも冒険者組合の受付嬢マリーさんから、森には魔物が出ると聞いたからだ。
だけどよく出るのはかなり中に入った先で街道付近ではまず出会わないと聞いたけど、念の為ね。
そして僕は群生しているポーション草を摘み始める。
コツは茎の途中から刈り取ること。
ポーション草は根があればまた生えてくるので、根だけは残すようにするのがマナーなんだ。
摘んでは背中のカゴに入れる。摘んでは背中のカゴに入れる。
そんなことを繰り返し、いくつもの群生地を回った。
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