お手紙(一部抜粋)

 リンネイへ


 突然のお手紙ごめんね、ヒカです。


 君が気になってるだろう、ヒカの元気ないのかな、ということについて伝えたいと思って、手紙を書きました。


 できたらずっと隠しておきたかったんだけど、いっそのこと全てをお伝えするね。




 二月三日の帰り、君は悩みを話してくれた。


 わたしは、君がそれほどまでに悩んでることが衝撃だったな。


 それと同時にすごく申し訳なくなった。


 君が悩んでることを軽んじてたなって。


 今までのわたしの行動や言動が君を傷つけてたんじゃないかなとも思った。




 わたしは、女の子が女の子に恋をするというのがよく分からない。


 君が、女の子だから、男の子だから、と恋をしているわけじゃないんだろうっていうのは分かる。


 だけどきっとそれは分かっているつもりなだけであって、本当には分かってないんだなって気がついた。




 君の抱えている感情をちゃんと理解したくて、色々調べた。


 でも、知識だけが増えてくだけで、一番大事な根っこの部分が分かんないままだ。


 君が、理解されないことが怖いって言ってたのに、わたしも当てはまってるじゃないかと思った。


 それが苦しかった。


 わたしは君の力になることが難しいんだなって。




 わたしは君の気持ちが分かんないから、君を傷つけてしまうんじゃないかって思った。


 じゃあ君が傷つかないように接するにはどうしたらいい?って思ったら、君への接し方が分かんなくなっていった。


 変なことを言って傷つけるくらいなら、君を避けようかななんて思った。




 でも、接しても避けても君を傷つけちゃうんだなって気がついた。


 だからどうにかして平然としていたかったのに、わたしはそこまで強くないみたいだ。


 君が心配してくれるから、その優しさに甘えちゃって、中途半端なこと言っちゃって、結局君を傷つけてしまう。




 君のほうがつらいって分かってる。


 わたしのこんな感情なんて、君の悩みからしたら大したことない。


 でも君が心配してくれるなら、長々となっても伝えなきゃなって思った。


 適当な理由つけて黙っててごめんね。


 いつもありがとう。


 ヒカ

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