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 リンネイの好きな人が誰であるか、という質問は、いい感じに正解を得られないであろう方向へと進んでいった。


「リンネイのクラスのイケメンってさ、〇〇と□□と、誰だっけ?」


 リンネイの反応はにぶくて暗い表情をしていたのに、Kは気づかないようだった。


 早く時間が過ぎればいいと思った。


 早くチャイムが鳴って授業が始まってしまえばいいと思った。


 幸い、話のメインはリンネイの好きな人が誰かではあるものの、リンネイのクラスのイケメンを誰か思い出そうとするのにかなり時間がかかって、あまり話が進まなかった。


 休み時間が終わった瞬間は、リンネイは安堵したような苦しいような顔をしていた。

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