第13話~粋な男~

七海と念通で話せてから数日は特に大きな変化はなく本当に喰って酔って寝てな日々

少し変化があったのは車椅子が来てから少し楽しいのはトイレとか少し身の回りの事が出来るようになったのと日向ぼっことか夕涼みを手を借りずに出来るようになったことかな


体力の回復って思っていたのは体の修復度な感じがしてきた

覚醒の時から目が覚める最低限まで体は修復していたけど実際はあちこちダメージを受けた状態だった感じ

ダメージ部位は体力と言うエネルギーを溜める事が出来ないので体力の総量が少ない状態

使った体力は適切な食事とか休息とか睡眠で回復というか蓄積されるんだけど溜める場所が無ければ総量は少ない

だから今は溜められる量を超えて摂取したエネルギーで体を修復してる状態だね


やはりアレがソレになって子を産める状態まで変化したのだから下腹部内臓のダメージは凄いと思うよ

下腹部の修復が終わって脚部まで行けば一気にリハビリで出来る事もすすむだと思うけど

ダメージ回復だけは私の体次第だから頑張れ私の体としかね


脊髄反射に関しては上半身だけになるけど少し意識してる

暇があれば自分の体を触れて距離感とかを出来るだけ正確に反射的に出来るようにと

異世界転生とかして女体化していきなり私最強とか行動出来る物語が羨ましい

需要なさそうな異世界転生女体化苦労日記になってくるよ最近の私は


この前の念通で七海はかなり無理をしてくれていた

私が女体化してるのだって絶対に驚いて本当なら絶句するレベルを咄嗟に誤魔化して私心の負担を減らしてくれた

水の世界に入って分かってるソレが出来るのが優秀な証だしね

私の物語を読んだのなら自分は覚醒して別の存在になってるかもの不安も絶対に感じていたと思う

でも・・・それを・・・七海に抱きしめられたい・・・唇を重ねたい・・・この変化した体で・・・その先はどうしたらいいの・・・


「居酒屋か候補があり過ぎて困るな」

”ジューシー餃子ドタバタどうかな”

「わあ私が餃子好きなのも気が付いてくれてたんだ」

学食で「餃子最高!」って定食に餃子が添えられては叫んでいた日々は!?

”まあその”

「告白するかもしれなかった人だから」

”うん”

「ありゃ素直でつまらないよぉねーさん」

「まあそれが彩美だしな」

「うん本当にコレが彩美なんだよね」

なんだかこの義姉妹には一生尻に敷かれる予感しかしないよ


餃子工房は一方通行の仲通り出口と靖国通りの交差点から少し三丁目駅に向かった場所にある数は多くないけどのチェーン店

味は平凡で可も不可もないけど尖った感じもなく安定して楽しめるお店


私と七海は二丁目近くのお店なので気にせずにドレスで出勤準備を済ませて

美香のコーデは白の軽いタイトなマキシム丈スカートに少しゆるふわな黒のニットをインせずにラフにで休日おねーさん風に

メイクは休日OLなのであえて年相応にしてロリなイメージとか本当に七海のメイクテクは変幻自在だよ


マンションを出てタクシーで目的のお店まで移動

今日はピンヒールでなくデカヒールのショーブーなので美香は歩くのも楽そうでよかった


お店の入口を開けると

「らっしゃーい!」

おっ毎度だけど威勢が良くて気持ちいいねぇ

席に通され

「お飲み物は!」

”餃子と言えばビールでいいかな”

「「はーい」」

”じゃ生三つお願いします”

「ドリンク頂きましたあー!」

「はいよー!」

威勢が良すぎて喉に詰りそうだけど暗いよりいいよね


”美香ちゃん馬肉大丈夫?”

「えっ食べた事ないよ」

”じゃあチャレンジしてみよう!”

「うん」

「ここはチェーンだけどかなり美味しい馬肉も名物だしね」


すぐに生ビールが届く

「おまちどうさまでしたー」

”注文いいですか?”

「よろこんで」

”餃子三人前と馬刺し二種を二人前と山盛りキャベツ・・・あとなんかあるかな?”

「私はお任せだよ」

「うずらの味玉もで」

「はーい」


”とりあえずぅ!”

「「かんぱーい」」

「うまぁ~」

って美香・・・一気にジョッキ空いてるよ・・・もう驚かないよ

って七海もグビグビってジョッキが空に

「ふー生き返るな」

と横目で見つつ何か今日は一つ大きな事をした安堵感から

”ぷはー”

って私もジョッキが空だ


”すいませーん生三杯お願いしまーす”

「はーい!」

すぐに生が届く


今度は各々のペースで飲みながら

「なんか居酒屋さんって思ってたより開放的でいいなあ」

”どんなイメージでいたの?”

「もっと人がギュウギュウで少し照明が暗くてオジサンがいっぱいなで酔っぱらいが頭にネクタイ巻いてたり」

”かなり偏ってるなあ”

「あとは道路まで椅子とか机が出てて店内は料理の煙がモクモクで店員さんがテーブルの隙間を縫うように料理や飲み物運んでたり」

”なんか昭和感ってそうか美香は刑事ドラマとか好きだったんだ!」

「完全に新橋烏森の安居酒屋街イメージだな」

”刑事ドラマとかで出てくる居酒屋って昭和感強いの多いもんね”

「バーと言えばオーセンティックとかだしな」

「えっなんかドラマで見る店って珍しいの?」

”珍しくはないけど二丁目とか歌舞伎町でなくもう少し西口の裏路地とか大ガードとかビジネス街に近い場所に多いかな”

「なんで少し緊張してたけど清潔感あってファミレスみたいな感じの気楽さで安心しちゃった」

「居酒屋も色々な種類あるからなミシュランレベルの高級店から大衆店と言われる美香のイメージしていた店とか」

”ここはファミレス感覚で使える居酒屋なんでファミレスみたいで当たりだよ”


「おまたせしましたー!二種は赤身とたてがみです」

キャベツと馬肉に味玉が届く

キャベツは一口サイズにカットされたのが中平皿に山盛りで中華風なドレッシングがたっぷり

馬刺しは真赤な肉と真白な脂身の二種類

うずらの味玉は七海が大好き・・・私も大好きです


「このキャベツだけど箸が止まらないよ」

そうだね無限キャベツとかの名前で出してるお店もあるもんね

”馬刺しはニンニク醤油でもいいけど塩でそのもの楽しむのもいいよ”

「馬肉・・・生だけど大丈夫なの」

「ああユッケ事件でだね馬肉は適切な工場で処理をされていれば安心して生で食べれるうれしい肉だよ」

「では赤身をニンニク醤油でいただきます」

少し口の中でモニュモニュとしてるのか飲み込むのに手間取ってる美香が可愛い

おっ噛み切れたのかゴックンって喉仏が上下する

飲み込むと同時にビールをゴクリとか完全に飲み方がおっさんだよ

「おいしい!噛み切るのに少しコツがいる感じだけど生肉って美味しい!」

”赤身は少しぷりぷりだからね”

「たてがみは塩で・・・わあ脂の塊かと思うくらいな白さなのにさっぱり味だあ」


ニンニク醤油で赤身を食べる七海を見て美香が少し悩んでる

「お店で臭いとか大丈夫なんですか?」

「最近はブレスケアと口内スプレーを使えば簡単に消臭出来るようになったので便利だよ」

「じゃあ気にせずにバクバクいけるんだね」

「食いしん坊の彩美が自分が我慢しなきゃな店はチョイスしないしね」

”ちょっとまってぇ七海だって餃子も馬肉も大好きじゃないかあ”

「ははは私も食いしん坊だったね」

「毎度ですがぁごちそうさまです」


「おまたせしました餃子です」

一人前少し大き目サイズが六個なので三人前だとボリューム感すごいけどパクパクいけちゃうんだよね

「あつつつだけど肉汁いっぱいで美味しい!」

私も一つ・・・うん特別な特徴はないけど溢れる肉汁と肉々しい感じが安心の味だよね

でえ直後に飲むビールが五臓六腑に染みわたるとか

「すいません生三個で」

しまったぁビールの残量把握を忘れて楽しんでいた

「気にしないで今日は楽しんで」

七海が耳元で囁く

ありがとう今日は美香と楽しんじゃうね


あっと言う間に餃子が三人の胃袋に消えていった大量のビールと供にね

”少し足りないかな”

「では水餃子にしようか」

”ほい!すいまーせん水餃子三人前追加で!”

美香に明日はどんな感じのリングを作る予定なのかとか質問攻めにされりしていたら水餃子が届いた

「わあー水餃子もぷりんぷりんだね」

私と七海が水餃子のスープにテーブルセットの台湾黒酢を入れて食べてると

美香もスープに台湾黒酢を入れてみてる

「わあこれサッパリで美味しい!」

「「でしょー!」」

「まったく二人にはあてられてばっかしだよ」


〆に七海と私は鳥出汁ラーメンをシェアして美香はTKG

TKGも誘惑するけどココの〆は七海とシェアするラーメンが定番コースだし

・・・なんかシェアとか特別な気分になれるしね

ふ~お腹いっぱい

「さて時間的にも丁度いいのでお店に行くか」

「「はーい」」


仲通りを少し歩いてると気分上々と書かれた提灯が見え焼台の窓越しに健坊が見えたので軽く手を上げ挨拶

そのまま歩いてお店のビルに到着してエレベーターで上がり入店

今日は美香も臆することなく入れたね

「ママ四番で準備出来てます」

「ありがとう」

黒服が席に案内してくれる


席は美香の横に私で向かいに七海

って本当はありえない並びだよ

普通ならママとダブル同伴なら七海と位置が逆なんだけど

「美香の推しは彩美だからね」

ふう~なんか変な緊張感

黒服が美香のボトルを持って来てハウスボトルを下げる

「今日は説明は大丈夫ですか?」

「うんママと彩美ちゃんは今日はラストまで指名でね」

「かしこまりました」


”美香ちゃん飲み方どうする?”

「じゃあ最初はソーダで次からストレートかな」

立ち去ろうとしてた黒服が

「ソーダすぐにお持ちします」

”よろしく”

すぐにソーダが到着し酒を作る

美香のソーダは半分半分の超濃いめ

「あっママと彩美ちゃんもね」

「いただきます」

”いただきます”

私と七海はキャストタンブラーにストレートで半分くらい

では

「「かんぱーい」」

って美香のグラスが半分くらいは無くなってる

マジで逸材ですね


「彩美ちゃん・・・その昨晩は話すタイミングなかったけど・・・徳さんから御会計の話聞いて」

セット料金以外の自爆営業の件だね

”気にしないで!酔った美香ちゃんと話すの楽しいからね”

「でも」

”無理するより回数いっぱい来てもらって浮世の一緒に時間を過ごしたいからね”

「水の世界は金銭感覚危険なくらい狂い金使いが荒くなる中で彩美はバランスよく過ごしている」

「はい」

「その彩美が友の為に使いたいと思うのであるのだから遠慮する方が失礼とね」

”まあバックと相殺部分という絡繰りもあるのでね”

「では美香は甘える事にします!」

”では色々気にせずにいっぱい飲んじゃおう!”

グラスに残った酒を各々飲み干す

って美香ぁソーダで割ってるけど飲んでるジャックの量は同じだぞ


二杯目は七海と私は同じだけど美香はロックグラスにスト―レートを半分

「あれグラスが違う」

”キャストはキャストグラスなんでね”

「これも御客様を盛り上げる演出なのかな」

”そうそう”

本当に美香は勘が良いね

ボトルの残りが少ないな三杯目は少し足りないかな


七海が軽く手を上げライターを着ける

すぐに黒服が来る

「ジャックボトルで」

「はい四番さんボトル頂きました」

ナイスタイミングって私の師匠だからね私が追い付ける日は何時なんだろうか


「彩美ちゃんって時々柔道部に行ってない?」

”週に一度くらいだけど稽古してもらってるよ柔道部の邪魔にならないように一時間くらいだけど”

「突然どうしたの!?」

”強くなりたい訳じゃないけど万が一の時に七海を守れるくらいになりたくて梶原にお願いをしたの”

「まったく気持ちは嬉しいが稽古日の夜は筋肉痛に見悶えてバタバタしてて・・・」

「見るのが辛い・・・」

「いやなんか面白いぞ」

”七海ぃ~”


丁度二杯目が皆んな空き三杯目を一口飲んだ所で

「彩美ちゃん八番テーブルお願いします」

”では行ってきます”

私が席を立つと七海が美香の横に移動する


八番テーブルに移動すると

”うわ~信さんお久ぶりです”

信さんは東北にあるかなり大規模な運送会社二代目の三十代半ばで今は専務をやってる

・・・「男は迷わず現金払い!」って財布の中には常に札場が三百万円くらいはいってる・・・なんでもお父様からの伝統らしくて

月に1回位だけど何か経営者がいっぱい集まってる会の会議で東京に来た時は寄ってくれるんだよね

「おう彩美ぃ久しぶり先月は会議が炎上して長引いて来れなくてすまん」

”無理しないでいいよ今は週末だけになるけど私はここでいつでも待ってるから”

「寂しかった~会議より私でしょ!とか普通はなんだが彩美はやっぱし落ち着くな」

”お飲み物は如何されます?”

「先月は来れなかったから今日はシャンパンいれるか!」

無理しないで・・・心配の必要ないお財布なのは知ってるので

”いただきまーす”

軽く手を上げライターに火をつける

黒服がすぐに来る

「ヴーヴと一番でかい一番でかいフルーツ盛りで」

「かしこまりました八番さんヴーヴ・クリコとビッグフルーツ頂きました」


少しだけ騒めく店内

「何があったの?」

「彩美がやらかした」

「えっ何か問題でも」

「問題ではないが今聞こえたコールでヴーヴ・クリコとシャンパンでなくワザと酒名が出たのは気が付いたかな」

「うんヴーヴ・クリコが何か分からないけど今まで聞いてる範囲だと普段はボトルとかシャンパンとかだよね」

「店で一番いいシャンパンなんだよ他の店ではもっと高いのも色々置いてる所は多いけどウチでは酔って無茶されてもなので予約が無い限りはヴーヴ・クリコまででね」

メニューを見る美香

「は・は・は・八万円にビッグフルーツ盛りが2万円!」

「両方とも滅多に出ないよビッグフルーツ盛りもね」

「それが同時で」

「そう両方共に単品でもオーダー受けた事ないキャストの方が多いからさ」

「彩美ちゃん凄すぎる」


すぐに黒服がシャンパンを持ってくる

「開けさせて頂きます」

ポンと店内に心地よい抜栓の音が響く

黒服が持って来たフルートグラスに注ぐ

シャンパンだけは黒服が注ぐルールなんだ注ぎ方にコツがいるので

アイスを詰めたボトルクーラに残りの入った瓶をセットして一礼して下がる

「乾杯」

”頂きます”

うう美味い!この炭酸の刺激が丁度良くてフルーティーのバランスも良い感じ

二人とも一気に一杯目を飲み干すとすかさず黒服が二杯目を注ぎに来る

「なあ彩美」

”はい”

「ママのテーブルにいる子は随分若いな」

”あっ浮気ぃ~”

「違う違うぞコノ店は女性一人も少なくないが若いなと思っただけで」

顔が赤くなり弁解な感じで頑張る信さん可愛い

”わかってるよ少したまにはからかってみたくなっただけ”

「まったく歳考えると将来が怖いな」

”あの子は同級生の大親友で色々特別で遊びに来てくれたの”

信さんは初回で私が高校生と見抜いたけど「俺らの若い頃は普通だったしな」って気にしないでいてくれてる

「なるほど納得」

”ママとも姉さん妹よって二人とも言うくらい仲がいいんだ”

「じゃ彩美いいかな?」

”うん”

黒服を呼ぶと信さんが少し話をする

すぐにフルートグラスを二つ持って来てシャンパンを注ぐ

グラスを持ち二人のテーブルへ運ぶ黒服


「信さんから御二人にと」

黒服がテーブルにグラスを置く

「ありがとう」

「えっこれって」

「粋な計らいって奴だね」

「私会ったこともないのに」

「さっき信さんがフルーツいれたでしょ」

「うん」

「普通は指名に関しては均等に時間で割って回すのだけど頼んだフルーツが届く時に指名が居ないとチグハグになるのでフルーツが届いて少し食べるまではテーブル移動がないから」

「その独占へのお礼みたいな」

「そうだね」

「確かに粋だあ」

「ありがたく頂こう」

二人とも軽く信さんに向けグラスを少し傾けて口を付ける

「うわあああ美味しい」


「いい子だな」

”私の大親友だからね”

「しかし今日は疲れたし会えてよかったがかなり危険だった」

”何かあったの?”

「夏にあった九州での大雨災害を覚えてるか?」

”うん”

「あれに会から追加支援で三百万円を出す事が話に出たのだが稟議ってわかるか?」

”会社とかでコレしたいって上司の許可とか取ることだっけ”

「あってるよ稟議会議で重箱の隅をつつくのが多くてな正直に会議に居るメンバーが会議の時間働けば簡単に数百万くらい稼ぐのにな」

”なんか凄い人達ばっかし集まってるんですね”

「今日も炎上して徹夜会議かとなりかかったが会頭・・・そうだな会の一番偉い人が五月蠅いのを説得してくれてなんとかな」

”お疲れさまです”

残っていたシャンパンを二人で飲み干すと黒服がすぐに注ぎにくる

信さんが黒服に何か伝えてるが小声とか珍しい


黒服が二人のテーブルに行くと何かを伝えてる

何か二人で話した後に七海が美香を連れてテーブルにやってくる

「シャンパンありがとうございました信さん」

「おう!ほら座って」

あっ二人を呼んだのか!さすが信さん

少し緊張の美香

信さんの向かいに七海が座り横に美香を座らせる

黒服が二人のグラスと美香のボトルを持ってくる

二人にもシャンパンを注ぎ下がる

「では乾杯だ」

皆んなで一気にグラスを空ける

「おっ彩美の親友は凄いな」

「美香と申します本日はありがとうございます」

「かしこまらなくていいぞフルーツ盛が食べきれないので手伝って欲しくてな」

「はい!ありがとうございます」


流石の信さんアイスブレイクも上手いね

「美香さんは彩美が大親友と言っていたので俺とも大親友なんだから気にせず一緒に楽しもう!」

理論が滅茶苦茶だけど好きだな縁の輪を広げる交流方法ってね

「フルーツお持ちしました」

黒服が三段のガラスで出来たアフターヌーンティーみたいなスタンドに「これでもかぁ」って色々なフルーツが盛られたのをテーブルに置く

まあ私はありがたい事に見慣れる事が出来てるけど他のテーブルから

「あれ何?」

「マジで?」

とか少し聞こえてくる


黒服が上手に四つの皿にフルーツ盛り合わせを作るが全体の半分以上残ってる

「ほら食べようぜ!」

保存の効く冷凍フルーツとか多めに混ぜてコスト下げる店も多いけど七海は無駄になっても毎日新鮮なフルーツをきちんと仕入れてフレッシュのみで出来てる

そのままではロストが多いけど子供とかいるキャストに痛む前にお土産として持たせて無駄にならないようにしてたりする

”うーん美味しい”

「この苺てブランドのアレな感じが」

「そうだママの店は真面目だから俺はファンになり彩美に出会って水遊びも再び良いものだと通わせてもらってる」

「あの信さんお聞きしていいのかですが彩美ちゃんってやっぱ凄いのですか?」

「決まってるだろ美香さんより若いころからコノ手の店に出入りしていたが何処に行っても接待とか部下の慰労としてでまあいいかで出入りしてたが」

「あれ私は?」

「ママも衝撃だったので常連になったが彩美はな」

”なに恥ずかしい”

「男と分かっていてママと婚約してて俺としては完全に口説く対象外なのに引力が凄すぎてな」

「まあ彩美は狙ってそのキャラやってないしね」

「そのな銀座の座るだけで・・・この店でやりたい放題より総額より高い店もよく出入りしてたが・・・彩美ほど琴線に響いたことはない」

「・・・・・」

「父の財布に現金数百万は必ずってママや彩美と出会ってわかったよ最高の判別機だったとかね」

”だって御客様には無理して何かしてもらうより少しの時間でも何回も会いに来てくれる方がうれしいし”

「まったくさ彩美ときたら最初にヴーヴ入れた時に大丈夫だ金はあるってネタで財布をドーンって目の前に置いたらさ”すごい”とか”お金持ち”でなくて”変なのに目を付けられると危ないので仕舞って”とか超リアリストと言うか金の権力が効かないとかさ・・・まあママは最初から効かないのを何となく感じてたから試した事ないけどな」

「彩美ちゃんて本当に時々超リアリストになるよね」

「その後も何も変わらずとか初めて会った彩美のままで水遊びの世界は金次第と思い込んでた俺の概念を覆してくれたんだよ」

「変わらない?」

「銀座の一流ママだと逆に冷静に見えるように頑張っても”いくら搾れる”とかオーラでるんだよどんなに上手に隠してても何か感じるが彩美は一切なかった」

”だってだって私は何も無いから・・・でもそれでも私に価値を見出してくれるなら・・・それは私が唯一出来ることだから・・・あれ何を言いたいのかな・・・”

ぽん!って信さんが頭を軽く撫でる

「だな!それでいい!彩美はそれだからママも惚れたんだろ」

七海の顔が真っ赤になる


「ママ無理承知でもしよければ今日のアフター混ぜてもらえないか」

「美香いいか?」

「喜んでです」

「じゃありがたく今日の幹事はマキかな?」

「はい」


信さんがカウンターで伝票処理してるマキに向かって行き何か話してる

「なんか信さんって別世界だなあ」

「別世界の信さんが美香を見てテーブルに呼んだコノ意味わかるか」

「えっ!?彩美ちゃんの友達枠とかで」

「そんな生ぬるい水遊びの仕方ではあそこまで粋になれないな」

「降参です」

「その潔さも一つで彩美と同じ物感じただろうね」

”数百万の財布”

「えっ別に私のお金じゃなく信さんのお金だし」

「ふっそこだよ普通は金持ちのオジサンに呼ばれたら私に気がある?とか舞い上がったり」

”財布目当ての言動が何処かに”

「夏美はそれを普通にだからな何?程度にが答えだよ」

”私も時間を経てすこしだけ分かった・・・七海が私の欲の無さが武器って・・・でも欲が無いんじゃないんだ七海とずーっと一緒に居たい・・・もっと欲を言っていいなら美香も一緒に・・・それで私の・・・限界・・・で他まで・・・”


「彩美ぃ~なんかシリアスオーラでてるけど似合わないぞぉ!」

後から信さんが抱きしめる

「う~ん!このツルペタ具合もいいな」

”信さん!セクハラ税だぁ!”

「わかったツルペタ税は覚悟してたしな」

”ツルペタってぇ将来は分からないんだから!”

「そうだなホル始めたら化けるかもだな」

”その時は痴漢税に格上げだからなあ覚悟するんだぞぉ!”

「おーいヴーヴ頼む」

「かしこまりました八番さんヴーヴ・クリコ頂きました」

「あのねーちゃんこれってお約束なの」

「・・・これが天然で出来る凄さなんだよ彩美はまったく狙ってないとか」

「私でも分かるソレ恐ろしいかも」


それから他のテーブルを回りながら信さんと美香のいるテーブルを泳ぎつつ気が付くと暗転してクラシックが流れ出す

黒服がやってくるとカードを渡して小声が聞こえる「残ったフルーツはいつもの感じで」

信さんは残ったフルーツを子供のいるキャストのお土産にと黒服に伝える毎度の優しさ

普通は残ったフルーツなんて誰も気にしないで生ごみ行き・・・だってお気に入りのキャストへのアピールだからさ・・・

信さんは「SDGsだしね」と言うけど一方的な施しは人の為ならずで言い訳を付けてるとかね感じられるようになった最近


「じゃあママと彩美!行先はマキに伝えてあるんで後程」

「信さん妹をよろしく」

「ああ安心しろ迂闊なことしたら彩美の歯形が頬について会社で言い訳が大事だからな」

”ってぇ信頼してるから私を野獣みたいに言わないの!”


オーゲスアウトから手馴れた片付けをして毎度の封筒タイム

「あの彩美」

”なーにマキ”

「イベント主でも無いのに・・・まったく」

”ゴメンなさい私なんかやった!?”

「違うよ驚きしかないだけで」

”今日は信さん来てくれたから”

「信さんはいつもより少ないよ美香ちゃんの会計被っても」

”えっ”

「まったくコノ天然がってでしょマキ」

他のキャストやスタッフは既に退店してる

「競わすとかで無く天然で皆が今日は盛り上がるぞ!って空気感を店全体にとか信じられない」

「どれくらい?」

「平均で三十%以上はね」

”でも私のバックには関係なよね”

「その半数位のキャストが馴染み以外のドリンクオーダーではバックの半分は彩美に付けてとか」

”なにそれ!?”

「まあ彩美の空気感で店が動いたとかしか言えずソレを見える有望なキャストはお礼と投資したってな」

”なんか難しい”

「まあ今は楽しめ!鈍感でも何でも最高な彩美だからな」

”何それぇ!”


お店をでたらさぁ

なんか凄い車が止まってる

その車種とか分からないけど凄い高級車ってのはわかるよ

「ほれ美香さん先に二次会会場に行ってよう」

後席に自然に乗せられたら車が動きだす

「緊張しなくていい彩美が親友という美香さんに何かなんて絶対出来ないから」

「そこまで彩美を・・・」

「性とか色々な全てを通り越して人としてあの魅力は一緒に刻を過ごせるだけで何物にも替えられないしな」

「でぇお腹の具合は?」

「超絶空腹です」

「よし今日は彩美とJK胃袋満タンが目標だな」


なんかやたら厚いピンクの封筒だぁ

明日・・・中身を見るのが怖い気も・・・・

店のクロージングを終え三人でタクシーに乗ってアフター会場へ・・・

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