異世界転移したら女になって私の書いてる小説の世界でした~無敵チート以外のご都合主義がない大変な世界~

さいび

第1話~異世界で色々現世を思い出す~

”ここ何処?”

微妙に見覚えのある部屋

石畳に石壁

二人掛けの皮張りソファーと高級感漂う木製ローテーブル

暖炉とその横に木製コーナーテーブル

コーナーテーブルの上には赤く光る野球ボールサイズのクリスタルがはめ込まれたよく分からないオブジェ

そして今

私が横たわるキングサイズのベッド

8畳位の部屋に分散して配置されたそれだけの無機質感漂う部屋

そして窓

その外に広がる世界は・・・晴れ渡る何処までも青い空と海?湖?と連なる緑豊かな木々繁る山々

あとは・・・部屋の出入り口かなの扉と窓の横の扉

窓の横の扉はきっとテラスの出入り口

最初は濃霧の中に居るような視界と頭の中が少しずつ霧が晴れてくる

やっぱし見覚えがあるんだ

この部屋

でもありえない

この部屋は現実には存在しないはずなんだ

ってことは私は夢の中なのか

でも体が感じる空気は夢でなく現実と激しく訴えている

夢では痛みを感じない・・・夢と現実の境が薄い私が今まで何回も試した方法

躊躇なく唇を強く噛み締める

これは夢だから痛みなんかないはずと目一杯の力で

”痛ぁ!”

我慢出来なく漏れた声と口の中に広がる鉄の味

”げ、現実!?”

だってこの部屋は・・・私が書き溜めている異世界小説の主人公部屋

ありえないって想像の世界の部屋にいる


よくわからない恐怖感から跳ね起きるようにベッドから立ち上がった私

ってぇなんか体のバランスがおかしくてベッドに座り込んじゃったよ

すぐにわかったバランスのおかしさ

”胸ぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”

本来ないはず

いや欲しいと死ぬほど何回も願ったけど

見下ろすと自分の下半身が見えない超巨乳とかぁ

思わず触ってしまったが偽物でない自分の肉体ってわかる感覚

勝手に手が動いて恐る恐るアソコに手がいく

”ない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”

あるはずの物がない

夢だよね

でも唇はズキズキと痛み口内には鉄の味が満ちている


これで冷静にってほど神経太くないよ

”そうだ。ここが私が思ってる部屋なら”

ソファー前のローテブル下にある棚を探す

”あった手鏡”

ってぇやっぱしここは異世界主人公部屋!?


恐る恐る鏡を覗き込むと

”あっ私の顔”

と一安心だけど手鏡なので全身は見えないけど巨乳デコルテとか完全に女性ってなにこれ


少し色々と落ち着いて考えてみよう


私の名前は「井上彩美」

彩美って名前だけど男

両親がエコー検査で女子が生まれる予定だったのに男が生まれた!

けど考えていた名を変えるのは嫌なのでってそのまま命名されたとか

中学までは名で苛めを惨く受けたけど

高校入学時の自己紹介で

”えっと名簿みて女子が一人足りないって騒いでる皆さん。私がそのバグ原因な彩美です”

って今まで嫌だった名前をインパクトに持っていけと振り切ったら

なんでか爆受け

そこからイジメられ子からクラスだけでなく学園の超陽キャ中心存在に

元々は周りからの圧迫で押し殺していた本来の性格とか考え方を受け入れられただけは私だけが理解できる状況

名は自分の存在を現生に具現化する

でも割り切ったらなんて楽しい時間が待っていたとか

もともと中性的な見た目もあり逆張りで髪を伸ばし男子制服と制限あるけど軽く着崩し女性的な感じを強くしたらバレンタインには性別問わず多く学友から両手で抱えきれないチョコを貰うとか


から真っ逆さまな私の人生

高3の夏少し前

オヤクソク

そうとしか言えない

大学も学校推薦で決まっていた幸せな未来

そのまま大学を卒業出来れば一流企業に就職して

その先は男で生きるのかは悩ましいとか考えてした幸せな日々

だけど「金」がない!!

絵にかいたような転落さ

両親は公立での進学では苛めループから抜けれないと高額な学費が必要な少し遠方の私立へ進学させてくれてた

過去のしがらみがない場所で発露できた陽キャな私

でもこれが地獄の窯の蓋を開ける原因だったとは

両親は自営業で小さなソフトハウスを経営していた

経営と言っても母が営業して父が開発をして販売するような本当の中小でもなく小企業

そんな本当ならささやかに社会の底辺で生きるレベルなのに

私の人生を変えるため一流私立に私を入れ私の学費を工面する為に多くの場所から借金をしてまでも

最後は闇金まで手を出して追い詰められて

真相は分からないがある日両親は自死した

学校から帰ると「ごめん彩美」と書かれたメモとリビングの空に揺れる二つのかつては人だった肉塊


よく覚えてない

警察の聴取

勝手にすすむ葬儀とか

保険金とかは全て差し押さえられていた

すべて借金の担保になっていた

住んでいた家さえ競売で生命保険で足りない担保として差し押さえられていて両親の葬儀を終えた日に追い出された

相続放棄で私は両親借金とはララバイできたけど

家すら奪われた私に残ったのは持って動ける身の回りの少しな物だけ

両親は保険金で借金を清算して私は自由にの予定だったんだろうけど

私のために最近追加で契約した保険「自死は契約から1年以内は保険金支払いなし」とかを見逃すほどまで追い詰められたいたのか

昔から契約してた最低限な保険しか自死はで支払われなかった結果でね


学校も夏休みが終わりの頃

休み明けは出席しないと単位不足で卒業も無理だよね

でも今の私は借金残った親族からは見放され公園暮らし


”本当に女だったら体売るとか最終手段でも”

まで考える

だけど男の我が身

住所不定でスマホすら「売れば数千円にはなるんでない」って取り上げられた身

こんな状況ではコンビニのバイトですら断れる


単位不足

学費未納で退学まで

夢見た将来が全てクリアされるまでのカウントダウンの日々


ホームレス炊き出しに並び

日によっては十数キロも歩いてでも向かい炊き出し場所で飯を食べるだけで腹を満たす

公園のベンチで寝る毎晩

夏で震えることはなくよかったけど


両親の自死が7月初旬で今日は8月30日

夏休みが終わる明日までに残り半年の学費を入金しないと強制退学

支払えたとしても残りの授業は一日も休まず出席しないと単位不足で留年

今の私に学費と100%出席で働かずに生活していくことも無理

もう考えることも疲れた

”もう今日で最後にしよう。楽しむだけ楽しんで私も肉塊になって全て終わろう”って思って最後に私が偽女でも最後の陽キャを演じられるって新宿二丁目のニューハーフバーで無銭飲食して逃げて自死して最後の人生日を終える予定だった日


本当はメイクをばっちり決めて可愛いドレス着て来たかったけど

何かの時にって持ってた最後の1000円札が一枚だけしかない

女装は同級生の女子と遊ぶ時に頻繁に要求されて女装してデートとかしてドップリはまっていた

もともと女顔で学則が緩いので軽い茶髪ロン毛ワンレン

特にメイクをしなくても服装によっては女子と勘違いされる日常だったしね

両親も寛容と言うか娘が出来たと喜び通学の時以外多くの時間を女装して過ごしていたしね

家を追い出された時に持ち出せたボストンバッグには下着とお気に入りだったショーティーとショーパンだけは捻じ込んでいた


いつもはデパコスを喜んで買ってくれていた母だったけどコレも借金だったとかお笑いだよね

その使いかけのメイク道具すら「このブランドならば」売ればいくばかになると借金とりに持ってかれたしね


千円ではデパコス絶対無理だしプチプラすら無理だよ

100均で最低限のファンデ、アイライナー、アイシャドー、アイブロウ、リップを購入で500円

残金でコインシャワーに行ってとりあえず身を綺麗にしてメイク

やっぱ100均だよね色もノリも最悪だけどスッピンよりはましかな


適当だけど目についたここでいいかと最後を決めようと入った店に入るとそこは別世界だった

気にしていたメイクの仕上がりも微妙な暗さとライティングで目立たなくて肩を撫でおろし

あとは酒を飲みテンションを上げてただその時を楽しむ会話に没頭し現の世界を忘れて「その刻」をただ楽しむ

酒は高校入学祝いから自宅であれば飲酒を許されていた酒好き両親だったので呑みなれていると思っていたけど

今晩が最後って上がるテンション

超陽キャモードになった私はキャストだけでなく他の御客さんとも盛り上がり語り歌い

気が付いたら寝落ちしていた


気が付くと少し前までが嘘のように静けさで包まれた店内のソファーに寝かされていた

「あっ起きた」

この耳に響きく少し低音だけど澄んだ声は確かママ

全身から冷たい汗が噴き出る

とっくに閉店してる

もう逃げれない

このまま警察に突き出されて無銭飲食で逮捕

少年院か刑務所かわからないけど行きで監視され自死も出来ずみじめな時を過ごすんだ

もの凄い高速で頭の中で惨めな将来が渦巻く


「彩美ちゃんって女装名だと思ってたけど本名だったのね」

って何か柔らかくて気持ちい枕だと思ったらママの膝枕!?

慌てて飛び起きるとテーブルの上に並べられた私の私物が色々

「ごめんねぇ未成年ってのは気が付いてたので親御さんにお迎えをお願いと思ってバッグの中身を勝手に見ちゃった」

”・・・・・・”

何も言葉を紡げない

ただ目の前にいる30歳位のロング黒髪美人の瞳を見つめることしか出来ない

「いいのよ無理しなくて」

その言葉と同時に豊満な胸に顔を押し付ける状態で抱きしめられる

横目にテーブルの上をみると

学生証とか何を後生大事に持ってたのか両親の死亡診断書

そして学費未納の通達と両親の残した借金の証書の一部

「悪いけど連絡先を知らべるのに色々検索しちゃった」

”・・・・・・”

「御両親の件もだけど貴方を探す学友の書き込みとかもね」

えっ私を探すってなに

スマホも借金の一部と持ってかれてネットなんて無縁だったから何もわからないよ

「御両親の件とか家を追い出された事を知った学友の皆さんが貴方を心配して探してるのよ」

楽しかった高校の日々

家に帰ればどんなに忙しくても母が作った暖かい晩御飯が待つ食卓

何でもない普通の毎日だった日々が急に頭の中を駆け巡る

押さえられない嗚咽と涙

美しい唇が私の顔に近づいて来て零れ落ちる涙をすすった

えっ!?なに!?目尻に触れる柔らかい感触が気持ち良く全身のこわばりが抜けていく

唇の感覚がなくなり目の前に美しいママの顔がアップであらわれると

それは突然だった

私の唇にママの唇が重ねられ

ファーストキスではないよデートした女子とキスはしたことは何回もあるけど

今しているキスは全然別物

ママの舌が私の唇を割って私の中に入り私の舌に絡みつく

脳がギンギンと軋むけど体の奥から湧く快感

1分にも満たない時間だったけど永遠に感じられた


ママの唇が離れる感覚からかもっともっとねだる全ての考えが空虚に吸い込まれて今の私は

「落ち着いたかなぁってちょっとショック療法やりすぎたかな」

”・・・・・・”

まだとろけた目をしたままの私

「少しまってて」

と席を立ちカウンターに向かうママ

しばらくするとグラスを二つ持って帰ってきて一つを私の手に持たす

「まあまずはかんぱーい!」

って反射的に手に持たされたグラスを傾ける私

あっ熱い!口の中が焼けるけど・・・これ美味しい

「まだウイスキーのストレートは早かったかな」

なんか色々ぶっとんでて逆に正気に戻った感じがする

”これメチャクチャ強いけど美味しいです”

からどっかにぶっ飛びたい欲求に負け誘惑に勝てずこんな強い酒を一気に飲んだらどうなるか分からないけどグラスを一気に飲み干す

”げっほ!うご!”

「どうしたの!?」

突然の一気に驚くママだけど流石はベテランママ

もう一度カウンターに戻って別のグラスと酒瓶を持ってきた

「はい水これ飲んで落ち着いたら今度はゆっくり飲み直そうね」


それから私は学校のこととか両親の借金の話をして今日ここで何をして人生を終わらせようとって話まで

ママは「うんうん」って私が言葉を紡げなくなるまで話を聞いてくれた

全てを出し切った瞬間に駄目だぁまた涙が

また柔らかい感覚で包まれる

谷間に落ちる私の・・・涙

「あら二人で一瓶空けちゃったねジャックダニエルって私が一番大好きなお酒」

ちょっとフラフラする

「これ40度あるからね眠くなちゃったかな」

なんか意識が遠のいていく睡魔とこの柔らかい安心感が久々に安息を感じながら意識が・・・

「今日はゆっくり休みさい明日になれば・・・」


気が付くと清潔な白いシーツが引かれた心地よい感覚のベッドの上だった

「二日酔い大丈夫?とりあえずシャワー浴びてきなさい」

まだふら付く足取りを支えるようにママがお風呂に案内してくれた

全体的に白を基調にした無駄な家具はないすっきりした家だなとか思いつつ風呂に到着

「お湯張ってあるからゆっくり浸かってタオルとか湯上りに必要なものは準備しとくから」


メイクを落として・・・やっぱ安物・・・ただでさえメイクして寝て超絶肌に悪いのに・・・バリバリだよ

このシャンプー・・・ママのいい匂いと同じだ・・・ボディーソープも同じ匂い

湯舟に浸ると・・・なんか色々思い出してきた・・・ヤバイ・・・また涙が・・・

でも体が温まり始めると久々の日常を感じ出す

ママの思いは分からないけど・・・自死して全てを終えようとした決意も体のコリと一緒にほぐれて消えて行く

いつぶりだろう湯舟に浸かってノンビリなんて


風呂場を出るとタオルとか着替えが準備されていたけどぉ

服は多分ママの女性物だとしてブラジャーまでぇ胸パッドもとかオイオイ

ってなんだか分からないけど感覚が日常に戻って行く

ドライヤーを借りて髪をセットして服を着る

ってぇ服はぁ私が通ってる高校の女子制服!?

なんでぇ

コンコンってノックからママ登場

「そろそろ大丈夫かな」

”ってぇなんで制服それも女子のなんですか!!”

「まあ朝ごはんでも食べながら話しましょ」

と腕を引かれてキッチン横のテーブルに

「トーストに目玉焼きとサラダって芸も無いけど」

我慢無理だよおしとやかに無理だよ

食べながら話なんて無理だよ

がっつかないとか無理だよ

最後にこんな普通の食事をしたのは何時だっけ

とめどない食欲に負けて一気食い

昨晩から一気ばっかではしたない私だななんて

「はいコーヒー」

”とっても美味しいかったです

ありがとうございます”

でも何で食い逃げ考えてた私にここまで

渡されたコーヒーを飲みながらやっと落ち着く私の思考


「他人とは思えなかったの」

ママの絞りだすような声

こんな苦しそうな悲しそうな

それでいて清々しいママの声

昨晩から初めて聞いた


「私も似たような環境だったの」

”えっ”

「そこから出会った方が支えてくれて店を出せるまでなったのよ」

”えっ”

ってさぁもう芸もない回答しか出来ない私

「まあ私の場合は女って武器を使ったけどね」

”・・・・・・”

「だから今度は私が恩返しをする番かなってね」

突然あの感覚

ママの唇が私の唇に重ねられ唇を割って入ってくる感覚

本当に一瞬だけど脳がスパークして・・・

「ふふ御免ね」

”いえ私にそこまで何で”

「はいコレ」

一枚の紙を手渡される

よく見ると学校への「学費支払い領収書」とかぁ

「明日から卒業まで頑張るのよ」

”どうして”

「彩美ぃ貴方ぁ!華あるね。卒業したらうちでキャストにならない!」

はい!?何この展開?

「学費人質みたいでゴメンでも貴方を心配する友達と私の気持ちから昨晩に聞いた彩美の気持ち」

なになに!?

「全てを満たすにはぁ高校卒業して私の店で働くって私の答えでね」

”でも私は何もママに出来ないのに”

「えっ。ここに存在してくれれば十分な報酬なんだけど」

・・・・・・パニックです

「だからぁ彩美に惚れたの!それだけ!その理由だけじゃダメ?」

見た事ない乙女な・・・軽く涙を浮かべた・・・その・・・ママの表情・・・

いいよね

私は脳は白く染まり・・・ただママの唇に唇を重ね・・・今度は私がママの唇を割って・・・

何も考えられずただ貪るだけの時間

息が続かない・・・ゆっくりと自然に離れる二人・・・

「ふふ明日からはちゃんと学校に通うのよ」

”って女子制服なんですがぁ!?”

「あっあそこの学園長ってうちの上客で私にゾッコンなの」

”はいぃぃ!?”

「で彩美ちゃんは女ってことで復学させて!ってね」

あのかなり無理ある設定なんではぁ

「から学園内で教員会議で彩美ちゃん女子編成編入稟議やったらしいのよ」

ってぇなにそれぇ

「そしたら全員一致でオッケーってなったって」

そのぉそのぉ全てぶっ飛んでるよ思考が追い付かないです


そこから超乙女な表情をしたママにベットへ連れられ・・・私は初体験をした

日差しが傾く頃に粘っこく残った気持ち良いが疲れが体を満たし寝起き

「あっ起こしちゃったゴメンね私はお店いくから」

”・・・・・・”

「夕飯準備出来なくてゴメンねカードそこに置いておくからデリでも好きな店でも行ってね今日は手抜きゴメンね」

からバタバタで出て行くママ

ママってまだ名前すら知らないレベルなんですが

何気なくカードをみるとNANAMI

そうかママの名前はナナミなんだ

なんか凄い安心とこれぇ夢じゃないよね

でぇ唇を全力で噛み締める

”痛ぁ!”

思わず漏れる声と口の中に広がる鉄の味

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