第40話
とりあえずミラのお父さんの屋敷でドンパチをするわけにもいかないので、屋敷は出させてもらうことにした。
お世話になったので後でミラのお父さんには何かプレゼントでも贈っておいた方がいいかもしれない。
「どこでやるんですか?」
俺は王都には不案内なので、場所の選定は任せてしまうことにした。
エレオノーラが向かっても大丈夫で暴れられる場所なんて、まったく心当たりはないし。
「王城の近くにある詰め所に行こう。あそこなら衛兵もいるし、姫様が向かっても安心だ」
というレオニスさんのアドバイスに従い、俺達は王城の近くにある兵士達の詰め所へと向かうことにした。
主に王都にいる衛兵達が利用している場所らしい。
「それなら私が案内しますね」
語尾に音符とかがついていそうなほどにノリノリで、エレオノーラが先導して歩き始める。
すいすいと歩き出すその様子は、俺よりよほど慣れていそうだ。
てっきり馬車で移動するかと思ったんだけど、まさか徒歩だとは。
彼女はもしかすると、俺がイメージしているよりずっとアクティブな子なのかもしれない。
「……」
何も言わずに黙々と、エレオノーラの少し後ろをついていくレオニス。
こちらに無防備な背中を晒しているにもかかわらず、一切の隙がない。
今このタイミングで襲いかかったとしても、まったく相手を倒せるビジョンが浮かばなかった。
こんなことは、フェリスと戦っていた時以来だ。
(これが『剣神』か……)
試しに使ってみたが、当然のように上位鑑定は弾かれている。
相手のレベルはわからないけど、ディスパイルより下ということはないだろう。
万物知覚で感じ取れるレオニスさんの反応は、強いとかそういう次元ではない。
当時は魔力感知とだから少し勝手は違うかもしれないけど多分……フェリスより強いんじゃないだろうか。
付与魔術の身体強化を使い視力を強化してみると、全身からうっすらと白いオーラみたいなものが立ち上っているのが見える。
これは……魔力なんだろうか?
なんにせよ、レオニスさんはまず間違いなく今の俺より格上の相手だ。
俺はエレオノーラについた悪い虫とかではまったくないんだけど……ここは素直に胸を借りさせてもらうことにしよう。
自分よりはるかに強い相手とせっかくの実戦の機会だし、この機会をふいにしたくはないし。
王城の近くの兵士の詰め所は、跳ね橋より手前側の外縁部にある。
当然ながら事前の告知なんかもなかったので、彼らからするといきなりこの国の第一王女がやってきたことになる。
迎え入れる準備がまったく整っていなくてあたふたする場面があったり、見られていないからと明らかに怠けていた様子の兵達はその場で減俸と配置換えを言い渡されたりする場面もあったのには流石に少しびっくりした。
模擬戦は詰め所のすぐ真裏にある練習場ですることになった。
一緒にやってきたエレオノーラやミラは当然のことだけど、レオニスさんが見学の許可を出したせいで衛兵さん達も結構な数が観戦にやってきている。
ひ、人の目が多くてなんだかやりにくい……。
ルールは単純。
スキルや魔法の制限無し、時間制限も無し。
勝負がついたと思ったらそこで終わりという至ってシンプルなルールだ。
模擬戦とはいえ全力を出せるように、得物も模造刀ではなく真剣だ。
レオニスさんも自分が持っている魔剣を使うし、俺も当然カルマを使わせてもらう。
「ふぅ……」
戦いが始まる前に、一旦自分の現状を確認しておく。
現状の俺のレベルとスキルは、こんな感じだ。
マルト・フォン・リッカー
レベル46
攻撃C
防御C
魔攻B
魔防C
俊敏C(A)
スキル魔法 レベル3
元素魔術 レベル7
系統外魔術 レベル7
上位鑑定 レベル3
剣豪 レベル6
不撓不屈 レベル5
全耐性 レベル4
暗殺者 レベル7
万物知覚 レベル6
与ダメージ回復 レベル4
火魔法 レベル5
水魔法 レベル4
風魔法 レベル6
土魔法 レベル4
光魔法 レベル5
闇魔法 レベル5
氷魔法 レベル5
雷魔法 レベル5
呪術 レベル5
封印術 レベル6
剣士 レベル3
剣術 レベル4
双剣術 レベル6
槍術 レベル5
投擲術 レベル10(MAX)
夜目 レベル10(MAX)
マジックバリア レベル2
物理障壁 レベル2
言語理解 レベル10(MAX)
祈祷 レベル3
タフネス レベル5
体力増大 レベル5
肉体強化 レベル4
攻撃力増大 レベル4
防御力増大 レベル3
敏捷増大 レベル3
精神力増大 レベル6
魔法攻撃力増大 レベル5
魔法防御力増大 レベル2
ステータスの方は魔防が一つ上がったくらいでほとんど変化なし。
そして一度使ったスキルポットを再出現させることができるようになったことで、剣術スキルや魔法スキル各種ステータス増大系のスキルを再出現させている。
そのせいでスキル欄がすごいことになっているけれど、まあそこはご愛嬌ということで。
そういえばスキルには敏捷増大はあるけれど、ステータスにも鳴っている俊敏増大はない。 俊敏と敏捷って一体何が違うんだろう。
――って、今はそんなことを考えている場合じゃないか。
「では――行くぞッ!」
「はい、よろしくお願いしますッ!」
こうして俺は王国最強の男へと向かっていく。
今の自分の力が、この世界で一体どこまで通用するか――試してやるッ!
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主人公を煽り散らかす糸目の悪役貴族に転生したんやけど、どないしたらええと思う? ~かませ犬なんてまっぴらごめんなエセ関西弁は、真っ向勝負で主人公を叩き潰すようです~
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