周回
『Sランク報酬……』
これは当然だな。
『報酬一覧』
・STR+4、MND+4、LUK+6
・スキル[馬鹿力]
「ステータス上昇はいいとして……馬鹿力?」
このダンジョンでは固定報酬でスキルは無かったはず。という事は、隠しクリア条件のクリア初回ボーナスのスキル抽選に当たったってことか。
ブレイブダンジョンクエストでスキルを得るには、ダンジョンの初回クリアボーナスで手に入る固定報酬でというのが一般常識であった。しかし、他にも方法が無いわけではなく。
・ダンジョン隠しクリア条件のクリア初回ボーナスの内部抽選でスキルを当てる。
・レベルアップ時にスキルを手に入れる。
・スキルブックと呼ばれる、本を読むだけでスキルがゲットできる本を手に入れる。
等のスキル取得方法がある。
それで今回のスキル獲得は一つ目の内部抽選でもらったものだな。
内部抽選は非常に低い確率でスキルが当たり、この確立を上げるにはステータスのLUKを上げる必要があるのだが、LUKが少し上がったぐらいではどうにもならないから今は無視でいいだろう。
蓮はスキル[馬鹿力]を選択し、効果を読み始める。
スキル[馬鹿力]――数秒の間、力が増大。
「へー。初めて見るスキルだけど中々に使えそうだな」
ブレイブダンジョンクエストには万のスキルが存在すると言われている。いくら蓮が廃人の如くやり込んでいたとしても、見たことも無いスキルがあって当然である。
「お次は……ステータスオープン」
報酬一覧のウィンドウを消した蓮は、直ぐにステータスウィンドウを表示する。
どれどれ……一体レベルはどれだけ上がったのか。
名 :冥利蓮
性別 :男
LV :1→6
HP :10→38
STR:5→10[+14]
DEF:5→11[+8]
INT:5→9[+4]
MND:5→10[+14]
DEX:5→8[+3]
AGI:5→14[+10]
LUK:5→10[+10]
スキル:疾走、馬鹿力
「一体倒すだけでレベルが5も……」
蓮はレベルの上り幅を見て、だらしなく顔を緩ませる。
ステータスは一般人らしい上り方だが、AGI(素早さ)が他と比べて成長してる。やはり、ある項目のステータスに依存する行動を繰り返しているとその項目が上がりやすくなるな。
俺を例とすると、毎回ダンジョンを攻略するのに走り回っているから、ステータスもAGI(素早さ)が上がりやすくなっているように。
他にも遺伝などがあるらしいが、俺にはあまり関係ないだろう。
こうして蓮はステータス確認を終えた後、帰還ポータルを開き、ダンジョン攻略を終えた……はずだったのだが。
~~~
「馬鹿力……フンっ!」
何故か木漏れ日の森ダンジョンにもう一度入り直し、重い岩を押して湖に落としている姿が。
『レベルアップ』
慣れた手つきでレベルアップを表示したウィンドウを素早く閉じて、目の前に現れたポータルへと入って行く。
『ロード中……。NEW RECORD! おめでとうございます! グリード様のお名前を殿堂へと記録しますか?』
蓮は無言でウィンドウをスライドさせ、次の画面へと移る。
『記録 19分23秒』
「あれから随分記録が伸びたな。えぇと、今回の攻略で……20回目か?」
平気そうな表情で、この世界の住人が聞いたら発狂するレベルの事を言ってのける。
あれから蓮は何食わぬ顔で木漏れ日の森ダンジョンを周回し始め、もう既に20回目の攻略成功。しかも、スキル馬鹿力を手に入れ、更にレベルアップによりステータスが伸びたことも影響し、攻略スピードが速くなっていた。
安定して20分を切れるようになってきた。いい調子だ。
「まだ、殿堂に記録するのは置いといて、どれだけレベルが上がったか見てみよう。ステータスオープン」
名 :冥利蓮
性別 :男
LV :6→13
HP :38→81
STR:10→19[+14]
DEF:11→18[+8]
INT:9→13[+4]
MND:10→18[+14]
DEX:8→12[+3]
AGI:14→23[+10]
LUK:10→18[+10]
スキル:疾走、馬鹿力
「よしよし、順調順調」
これまた短期間であり得ないレベルの上がり方をしている蓮のステータス。
基本的にこの世界の住人は1日1回~2回のダンジョン攻略で生計を立てており、1日に3回以上の攻略をする者は非常に稀である。
そんな中、蓮はこの世界の常識を覆す20回攻略。しかも、自身のステータスに見合わない大物狩りをしている為、この様にあり得ない上がり方をしている。
今日1日の成果としては十分。明日もここでレベル上げをして、レベル15過ぎになったら難易度3のダンジョンに挑むために他の難易度2ダンジョンを9個クリアしよう。
「報酬画面っと」
『報酬一覧』
・グランスライムの核
・湖水花×3
「やっぱ報酬は美味しくないな」
前世基準でいくとグランスライムの核は一個2500ポイント。湖水花は一個150ポイントって言ったところか。
これらのアイテムは前世では常に有り余っており、初期のレートに比べ、何倍も値段が下落していた。
そりゃあ、需要と供給が釣り合ってないんだから仕方ない事だが……
「目標の20回は終えたことだし……ひとまずは手に入れたアイテムを売りに行くか……」
こうして蓮は帰還ポータルに入り、ダンジョンを後にするのであった。
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