初ダンジョンに挑まんす
「ステータス、オープン」
名 :冥利蓮
性別 :男
LV :1
HP :10
STR:5
DEF:5
INT:5
MND:5
DEX:5
AGI:5
LUK:5
スキル:無し
「まぁ、最初はこんなもんか」
俺はステータスを一つ一つ確認し、小さく頷く。
一つずつ順に説明しよう。
上からプレイヤー名。性別。そして、強さを示す指標の一つであるレベルと続く。レベルは敵を倒したりすると、その敵の強さに応じて内部経験値が溜まり、ある一定の量の経験値が溜まると自動でレベルが繰り上げられる。基本的にレベルが上がるとステータスが上昇するから、上げておいて損はない。特に、上位ダンジョンになると高レベル必須だからめんどくさがらずに序盤で上げておこう。
STR――力。物理攻撃力に影響を与え、この数値が高いほど重い武器を簡単に持ち上げられたり、アイテムを多く持つことが出来たりする。
「力があれば怖くない」 by 筋肉ムキムキさん
DEF――防御力。物理攻撃に耐えやすくなる。
「防御こそ真なる攻撃なのだ」 by 盾の極みさん
INT――知力。魔法スキルの威力に影響を与える。
「ふふっ。貴方に魔法の何たるかをお教えしましょう」 by メインさん
MND――精神力。魔法防御力に影響する。また、回復魔法や補助魔法の効果にも影響する。
「賢者へと至る道」 by カラカラ空手さん
DEX――器用さ。命中率に影響を与える。また、ダンジョンの罠解除。宝箱を開ける時の成功率にも大きく関係する。
「俺にかかれば百発百中さ」 by 一発さん
AGI――素早さ。行動速度や回避率に影響を与える。
「避け続ければ負ける事は無い」 by カミアさん
LUK――運。クリティカル率上昇や宝箱と巡り合いやすい。モンスターからのアイテムドロップ率上昇等がある。
「人生博打のようなもん。なら、運を上げるっきゃないでしょ」 by 裸の王様
スキル――プレイヤーが使用できる特殊技。身体能力が一時的に上昇したり、特別な技を打ち出せたりする。これらにはクールタイムと呼ばれる、使用した後にすぐに技が出せない時間が設けられており、効果が強いスキル程クールタイムが長い仕様となっている。
少々、余計な言葉(その分野のスペシャリストたちの有難いお言葉)も混じっているがそれは無視してくれて構わない。
以上が各項目のステータスの説明だ。
俺は一通りステータスを確認した後、ウィンドウを閉じ、ある場所へと向かう。
~~~
「いらっしゃいませ! 本日のご用件は何でしょうか」
「冒険者登録をお願いします」
「かしこまりました」
ここはダンジョンを入るにあたって必要な冒険者ライセンスを取得する場所。冒険者ギルドだ。
冒険者ギルドの中は凄い賑わいをみせ、受付は慌ただしそうに仕事に追われていた。
「ここにお名前と項目に沿って回答をお願いします」
俺は受付の言うがままに回答を進めていく。
「お名前は……グリード様でお間違えないでしょうか」
「はい」
本当の名前とブレイブダンジョン時代に使っていた名前で悩んだが、ゲーム時代を共にした愛着のある名前にしておいた。
「では、こちらで発行いたします。手短にライセンスカードの説明をさせていただいてもよろしいでしょうか」
「お願いします」
「それではまず……」
内容はゲーム時代とほとんど変わらなかった。
まず、ダンジョンを攻略するとその攻略タイムに応じてポイントがライセンスカードに溜まる。そのたまったポイントは現金とそのまま交換する事もでき、またその貢献度に応じてライセンスカードのグレードが変わるそうだ。まぁ、ゲーム内通貨などは全てライセンスカードを通じて行われていたから、この世界でもいちいちお金を持ち歩かなくても、ライセンスカード一つで購入が出来るのだろう。
また、グレードは誰でも1から始まり、10が最高らしい。そして、ライセンスカードを紛失するとかなりの金額が請求させるから注意とのこと。
あぁそうだ。この世界のダンジョンに入るにはライセンスカードが必須らしいから、そこも注意だな。
「ありがとうございましたー」
こうして俺はダンジョンに入る最低限の準備を終え。
「ついにダンジョンRTAが出来る!」
悪そうな笑みを浮かべ、最初の餌食……じゃなかった。晴れある最初の攻略に選ばれたダンジョンへと向かうのであった。
~~~
「よしっ。次……次!」
俺はとあるダンジョンの入場待ち列に並んでいた。
「その次!」
とうとう俺の順番が回ってきたらしいな。
蓮はやっとかという表情でライセンスカードを手に持ち、ダンジョン前の受付で立ち止まる。
「ライセンスカードを。確かに……うん? 装備も身に付けずにダンジョンに入るつもりか?」
ライセンスカードに描かれた本人証明と俺とを見比べていた受付だったが、全く装備と言っていい物を付けていなかった俺を見て、ため息をつく。
「そうですが」
「悪いことは言わん。せめて最低限の装備を身に付けてからダンジョンに入れ」
「……装備するかどうかは個人の自由ですよね?」
少々口が悪く悪いと自覚しつつも、受付の助言を無下にし、入ろうとする。
「これだから出稼ぎ組は……死んでも知らんからな」
何か出稼ぎだと思われているらしいが、ダンジョンに入れるなら問題ない。
俺は冒険者ライセンスを差し出し、無事受理されたのか、冒険者ライセンスが返される。
「一応だが、ダンジョンをクリアした後はどうなるか知ってるのか?」
「ポータルが生成され、その中に入ると地上に戻される……ですよね?」
「そうだ。よし、いけ」
俺は無言で頷き、ダンジョン入り口の黒いモヤがかかった場所へと足を進めていく。
黒いモヤを突き進む俺。黒いモヤには触感は無く、空気に色がついたモノなんだなと勝手に解釈した。
ゲームでは待機画面に飛ばされてから、ダンジョンの簡単な説明と最速ダンジョンクリア時間が表示されたんだが……
いきなり始まってもいいように、細心の注意を払って先に進んでいく。
結構歩かせるんだな。
体感数十秒、あてもなく真っすぐ歩いていくと突然。
「うわっ!」
目の前にステータスを表示したウィンドウと同じモノが現れた。
『始まりのダンジョン』
危険度:1
初回最速クリアタイム:1時間43分51秒
最速クリアタイム :23分22秒
クリア条件:フィールドに隠されている扉を発見する。
「びっくりさせんなって……」
内心、動揺しまくりだったが、始まりのダンジョンに免じて許そう。
「始まりのダンジョンか……うへぇ」
やばいやばい。ダンジョンRTA出来るのが嬉しすぎて顔が自然と緩んできてしまう。
蓮は頬を軽く叩き、冷静さを保つ。
それにしても、始まりのダンジョンか。最後にクリアしたのはもう何年も前だが……ちゃんと攻略法は頭に入ってるもんだな。
俺は自分の記憶力の良さに初めて感謝する。
そうだった。補足として軽い説明を。
ダンジョンは危険度が1~10までの十段階あり、今回の様な危険度1は駆け出しの初心者でも簡単にクリアできるようになっている。
そして、一番大事なのは最速クリアタイム(俺にとっては一番大事)ももちろんそうだが、一般の冒険者にとっては何と言ってもクリア条件だろう。
今回は発見ミッションだが、あるモンスターを一定数討伐するミッションや何時間も死なずに逃げ続けるミッション等、その種類は多岐にわたる。
まぁ、危険度が低いダンジョンは大抵が発見ミッションだけどな。
「ふぅ……」
俺は一瞬、目を閉じ。今回攻略する始まりのダンジョンの最速クリア方法をもう一度頭の中で振り返る。
よし。行ける。
そして俺はもう一度前を向き、いつの間にか表示されていたウィンドウを確認し。
『ダンジョンRTAを開始しますか?』
「あぁ、始めてくれ! さっさとクリアして次のダンジョン行くぞ!」
この世界のダンジョンRTA王者に君臨する為の最初の一歩を歩き始めたのだった。
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