第31話 あぶなすぎる森

結局あの後やることも思いつかずギルドに立ち寄った。今はだいたい16時くらい。18時くらいには帰るとして…2時間か。適当な暇潰しできそうな奴を探そう。

そう思って掲示板を見てみた。


『アニムの森のマタンゴ討伐 55銅貨』

『洞窟に住み着いたミノタウロス討伐 300銀貨』

『沼地に潜むヒュドラ討伐 9000金貨』

『魔法の実験 要身体が丈夫な人間 500銀貨』


最後怖すぎるだろ。現代社会を生きてたひよっこの俺じゃ絶対無理なやつだ。あ、現代といえばだな。異世界攻略法として知られている現代知識無双をこの前しようとしたんだけどそもそもそんな知識とかあるわけないし意外に似たようなものがこの世界にもごろごろあったりしたからだめだった。なんて過酷な世界!


他は…ヒュドラはこの前討伐したからミノタウロスかマタンゴかなぁ。

でも洞窟は暗いし怖いし狭いしそもそも専用の装備とかないからマタンゴでも適当にやるか。


マタンゴ討伐クエスト。これ、まだあったんだ。マタンゴはオークとほぼ同等とかそんなレベルの強さだけど、報酬が渋すぎて誰もやってなかったやつだ。銅貨55枚は昼食代にしかならんし。


とりあえず俺はこのクエストを受けることにした。まあ、アニムの森はここからだとちょっと遠いがファラクに乗っていけばすぐ着くだろ。そんなことを思いつつ、俺はギルドを出た。



土飛沫を上げながらファラクに乗って移動すること15分。俺たちはアニムの森に着いた。


「ここがアニムの森、一見ただの森に見えるけどな」


「ゴァー」


この森、どうやらめちゃくちゃ広いらしい。その広さ、ラグナロク1個分。頭おかしい。


「どうやら奥地に行けば行くほど危険な魔物がいるとかいないとか」


ミノタウロスとかが群れ組んで襲いかかってくるとかなんとか。頭おかしい。いやまあ、今のこの仲間たちなら多分勝てるとは思うけどさ。確か…森の入り口付近はマタンゴ、スライム、リザードマン、サーベルベア、マンドラゴラ、ワーウルフ…とかそんなもんかな?入り口付近の魔物はクロム草原以上アカタキ砂漠以下って感じ。これだけ聞くと初心者冒険者もそこそこ来そうな感じがするのだが…


問題は奥地に住む魔物たちだ。奴らが入り口付近までやってくることも少なくはない。確か奥地は…ミノタウロス、虐殺ゾウ、ブラッドドレイク、バジリスク、コカトリス、サベージタイタンなど危険な魔物たちがわんさかいた気がする。ドラゴンも稀に出てくるらしい。だが、そのいずれもこの森の頂点ではないらしい。この森の頂点は…


「三怪物の一角、チハイザメ。だっけ?」


さらに奥地に進むとチハイザメの出現区域に入るらしい。なんてことだ。チハイザメはサメみたいな体をしているとか、ムカデの体を持つーとか言われてる。なにせ住む場所が魔境すぎてチハイザメの外見の資料すら全くないのだ。だが、一つ共通していることがあるらしい。それは


「移動がゴキブリ並みに速いとかなんとか」


サメならともかく、ムカデみたいなのが高速で近寄ってくるとか地獄すぎて嫌なんだけど。


「まあ本格的にこの森を攻略するのは明日だし、今日はマタンゴ適当に狩って奥地の魔物の素材剥ぎ取って帰ればいいか」


明日仲間たちと共にチハイザメを討伐するつもりだ。まあ、剣聖のファルコだけは忙しくて来れないらしいけど…


俺はカルキノスのアクベスに騎乗して寄ってきた魔物たちを狩っていく。アクベスってゴツゴツしてて乗れなさそうに見えて実は普通に乗れるんだよね。なんかロボットに乗ってるみたいでカッコよくて好き。サバルやドクカゲも出しながら森を行進する。この森のスライムは酸攻撃を扱ってきて厄介な存在なのだが毒に弱く、ドクカゲが放つ毒でワンパンされてる。


「マタンゴとか近くにいないかなー」

「シャ」


アオの熱探知レーダーでマタンゴを探しているが、意外に数が少ない。マタンゴの胞子には昏睡作用があるらしいので集めておきたいんだけどな。




「キァァ!!」

「ゴァー!」

血の狂気に取り憑かれた竜種が、焦土の王であった砂漠鰐と対峙する。


「ブモォ!」

「グォ!」

凶悪な牛の魔物が斧を振り下ろし、山の覇者であったマンティコアを叩き割ろうとする。


そんなこんなでいつのまにか奥地についてしまった。ブラッドドレイクとかミノタウロスとかにもそこそこ遭遇するようにもなってきたしそろそろ帰ろうかと思っていた頃だった。

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