第3話 新しい力の発見
カイラは少女との初めての会話を思い返していた。少女の名前はエリナと言い、その眼差しは火のように燃えていた。彼女の話し方は直接的で、この厳しい環境にもめげず、強い意志を持っていることが伝わってきた。
「ねえ、あんた、ここには何しに来たの?」エリナが尋ねたとき、カイラは少し戸惑った。自分が何者で、何をすべきか、まだはっきりとは答えられなかったからだ。
「私は…まあ、新しい始まりを求めてるのかな。ここで何か役に立てればって。」カイラは控えめに答えた。エリナはじっとカイラを見つめ、その目はまるでカイラの心の奥を見透かそうとしているようだった。
「役に立つって、どういうこと?」エリナの問いに、カイラは自分の内に湧き上がる新しい力の感覚について話し始めた。それは風の動きを感じ取り、それを操るような不思議な能力だった。カイラは手を挙げると、小さな竜巻を作り出した。周囲の枯れ草が舞い上がり、エリナの赤い髪が風になびいた。
「わぁ…それ、本当にやったの?すごいじゃない。」エリナの声には驚きと興奮が混じっていた。カイラも笑顔になり、自分の新しい力に自信を持ち始めた。
「でも、これがどう役に立つかは、まだ分からないんだ。」カイラは正直に言った。エリナは考え込むように眉をひそめた後、何かを決意したように頷いた。
「分からないなら、一緒に考えようよ。私も、この村のために何かしたいんだ。でも、一人じゃ限界がある。あんたの力、きっと何かの役に立つはずだから。」エリナの言葉に、カイラは心からの感謝を感じた。二人はまだ知り合ったばかりだったが、この厳しい環境の中で互いに力を合わせることの大切さを感じていた。
カイラは、エリナとの出会いが、この新しい世界での自分の役割を見つけるための第一歩になると感じていた。これからどんな困難が待ち受けていても、二人で力を合わせれば、きっと乗り越えられると信じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます