第46話 ついに動き出したノベルシカ王国の宣戦布告。
アツシ兄上から定期的に砂糖を購入している俺は、もう少し砂糖が欲しいと頼んで多めに砂糖を購入した。
砂糖と水だけで作れる甘味を思い出したからだ。
そう――『べっ甲飴』である。
老人人材センターで働きたいというお年寄りが多い事もあり、それならば『べっ甲飴』を作って貰う事を考えたのだ。
元魔法研究所ではアイスクリームを作っているが、まだ半分は場所が開いていた。
そこに来て貰ってべっ甲飴を作って貰う事にしたのだ。
作り方は簡単で、鍋に砂糖水を入れてグツグツと中火くらいで煮詰め、色が着いたら爪楊枝を入れた小さい型に流し込んで冷やすだけと言う簡単作業。
お年寄りでも簡単に出来る作業と言う事もあり、俺が作り方を教えると直ぐに覚えてくれた。
べっ甲飴を作る型は俺がロストテクノロジーで作ったので大量に型はある。
注ぎ口のある鍋を用意したので、皆必死に作っている。
出来上がったべっ甲飴を最初に食べた老人達は「甘い!!」と感動していた。
べっ甲飴の部分の型をはがさずで包み込んで、余り使いたくなかったが、入れた物の時間が止まる俺の作った『アイテムボックス』に5本組で赤い飾り紐で括りつけて入れて貰い、大量生産が可能だった為、一部は甘味カフェで売り、残りは輸出する事で決まった。
何の変哲もない『べっ甲飴』だったが飛ぶように売れ、また前世で言うペロキャンディーのように食べれる事から子供や幼児にも食べられる、その上喉が痛い時に丁度いいという事で更に売れた。
また、『塩飴』も同じように作り方を教えると作られ、暑い地域であるシュノベザール王国では最も気に入られ、これまた飛ぶように売れた。
こちらは爪楊枝の色を青にした為、べっ甲飴との違いが分かりやすくしたのだ。
包み込むその作業も簡単な為老人達はサクサク作業を流れ作業のようにしてくれた。
『塩飴』は青の飾り紐で括りつけて貰ったので間違いもない。
本当に俺が考えられる甘味はこの程度だが、使い方次第ではフルーツ飴も作れる事を伝えるとお年寄りたちはフルーツ飴が作りたいと言い出し、その作り方も教えて尚更飴の種類が増えて行った。
無論アツシ兄上にも献上し、「その為に砂糖が必要だったのか!」と驚かれたが、リンゴ飴やイチゴ飴を食べて貰うと「懐かしい。出店の味いだな」と嬉しそうにしていた。
「飴は簡単に糖分を摂取するには丁度いいものです。輸出でも人気が高いですね」
「これは俺も考えつかなかったなぁ。是非ジュノリス大国でも売ってくれないか?」
「是非に!」
「しかし塩飴も美味いな」
「バランドス王国は果物も多いので、レモンも作っている為レモン汁を入れてるんですよ」
「なるほど。それに塩か」
「ええ、塩は我が領でも作れるのでレモン味の塩の効いた飴ですね」
「これは熱い地域や塩が高価な地域には良いだろうなぁ」
「そうですね。輸出で塩はよく売れるので『飴』に関してはとても売れる商品となっております」
「その上で働ける老人達を集めてってのが良いな。お年寄りでも金は欲しいだろうし、自分達が作ったものが飛ぶように売れていると分れば、やり甲斐もある」
「そうですね。後は燻製も作れるくらいには鶏が増えてきたので、もう少しと言った所でしょうか」
「楽しみだな」
「ええ」
そう言ってアツシ兄上に応接室で飴を舐めて貰いながら話をしていると、「ネバリ王国との勉強会はどうなっている?」と聞かれたので、俺の教えられる範囲で教えている途中だと伝えた。
――そう、あのお披露目会からネバリ王国の国王は週一で箱庭師経由でシュノベザール王国にやって来ては、俺から国内供給や国外供給など、輸出に輸入、経済の回し方などを教えているのだ。
正に目から鱗だとばかりに驚くネバリ王だったが、羊皮紙に事細かに記載しており、俺も出来るだけこの知識が後世に伝わるようにと教科書のように記載している。
無論弟であるシュリウスも参加しており、羊皮紙に書き記し勉強している所だ。
その上で、各国の強みや長所を生かした輸出も大事だという事になり、話し合いは熱を怯えることも多かった。
すると――。
「ノベルシカ王は参加しなかったのか」
「ええ、発展途上国に聞くことは何一つない。と言う回答でした」
「全く……。だから発展しないのだという事が分からないだろうな」
「別段教える義理もありません。発展途上国と言う事はまだまだ発展する余地があるという事です。完結してしまえば国はそれ以上成長する事が出来ないのと同義」
「確かにそうだな。神々の島はある程度発展し終わった後だから、後はのんびりとしているが、延々と発展し続けるという事もまた難しい事なんだよな」
「そうですね」
「成長している間は楽しいぜ? でもある程度終わったら後はソレを継続していく力が必要になってくる」
「継続は力なり、とも言いますしね」
「ノベルシカ王国は今で発展が終わったと思ってるんだろうが、実際はどうなんだろうなぁ」
「分かりかねます。あの国は閉鎖的ですから」
「閉鎖的?」
そう、ノベルシカ王国は閉鎖的で外に情報が余り流れてこないのだ。
秘密が多い国ともいえるが、『魔道具が発展した国』と国王は豪語するが、その魔道具さえも輸出される事が滅多にない。
国内で全て終わっているのだ。
「国外輸出までは全く考えていない……って感じか」
「そうですね。国内で完結していると言って過言ではないですし、その魔道具も一般市民にまで広まっているかと言うとそうでもないようですね」
「と言うと、一部の貴族相手の魔道具が多そうだな」
「後は付与師も多いと聞いたことがあります」
「付与師か」
「それくらいですね」
「なるほど……謎の多い国ではあるな。そう言えば国王が変わったばかりなのだろう?」
「ええ、とても元気だった国王だった筈ですが、急でしたね」
「国内で何か起きたのかも知れないなぁ」
「可能性はあるかと」
そう言うと前国王は種なしだった為、子が作れなかった事を伝えると「それで血が濃い者を後釜に沿えたって感じか」と驚いていたが、「その後釜と言うのがアレでは駄目だろう」と語っていたその時だった。
「失礼致します!! 大変です!!」
「どうした」
「ノベルシカ王国がネバリ王国に宣戦布告致しました!!」
「「なに!?」」
「三国で和平協定を結んでいた筈だが、それをノベルシカ王国は放棄したのか!?」
「その様です……。急な宣戦布告で兵士の準備がネバリ王国は遅れているそうです。どうなさいますか?」
「我が国のネバリ王国との国境を警備していた兵士をネバリ王国に送り出せ! 多少でも時間稼ぎが出来るはずだ。和平協定を放棄したというのなら、我が国はネバリ王国に着く!」
「はっ!!」
「ノベルシカ王国の国境は封鎖せよ! 民が逃げてきたら難民として受け入れろ! 近くのオアシスに簡易テントだが送り届ける」
「畏まりました!」
そう言うと慌ただしく羊皮紙にネバリ王国に書簡を書いて王国の印を押し直ぐに届けさせることになった。
無論箱庭師を使っての迅速な動きでだ。
「きな臭くなってきたな」
「ええ……しかし何故急に」
その答えを知っているのは――今は、ノベルシカ王国のゼフェル国王だけだった。
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