第28話 ドライフルーツ用のガラスハウスを作って貰い、銭湯もお願いしてからの話は。

ぼんやり緑の線が出て来たなと思った途端、カッと光った次の時には既に6棟もの建物が出来上がっていた。

これには圧巻で、流石の俺も口を開けて驚いた。



「もう手慣れてくるとさ、1棟ずつ作るのが怠くって」

「な、なるほど。流石神の島に選ばれた異世界人ですね……羨ましい力です。直ぐ集まっていた者たちに説明をして来ます」

「おう、俺も様子を見ようかな」



そういうと集まっていた1棟10人態勢の60人、内6人は調理師だが彼らに作り方をノートに書いていたので見せて教える。

簡単は簡単なのだが、衛生面に気を付ける事や必ず手を洗う事など当たり前の常識が無い者がたまに居る為、徹底してそこは教えて行く。

また、シュノベザール王国の新たなる財源ともなる為、頑張って貰いたいと伝えると全員が気持ちいい返事で返してきた。



「確かにこの国は果物が多いですからね」

「それに野菜チップスなるものも作れるんですね」

「野菜に関してはカボチャやニンジン、インゲン豆がお勧めと……」

「インゲン豆は市場でもよく見ますしね」

「シュライ」

「はい」

「オーブン使えば一発で出来るだろう? 何でハウスに拘ったんだ?」

「確かに力を使えば簡単にできて大量生産は出来ますが、それだと俺の力を子供が受け継がなかった場合が怖いので、それなら自然にできうるものをと言う考えなんですよ」

「確かに、次の世代に受け継がれるかは運もあるか」

「ええ、そうなんですよ」

「でも、このカラッとした空気に合う商品知ってるぜ」

「何でしょう」

「燻製だ」

「なるほど!!」

「木材で色々取り揃えられるなら、燻製もアリだとおもうね」

「ふむ……燻製器なら簡単に作れる部類ですし、考えてみましょう」

「その際には是日神々の島まで輸入をお願いしたい」

「出来上がれば是非に」



確かに燻製は盲点だったな。

カラッとした湿気の無い場所なら燻製は作りやすい。

燻製の事は後で調べる事となり、続いて民間の広い場所に移動していく。

北には城があり、西は貴族や貴族相手の商売をする店が多い。

その為、東と南に大型銭湯を作って持ったのだが、こちらも既に人を手配していた為、出来上がった銭湯に驚きつつ中に入って貰い、アツシ様から説明を受ける合計12人は真剣な表情だ。

ついでに幾ら使っても消えないウォーターサーバーまでおいて貰い有難い限りだ。


そして前もって作って置いた石鹸や垢すり桶にタオルと言った物を「セット販売」と「個別販売」出来るように売店に置くと、「これは売れますよ!!」と喜ばれたので良かった。

値段も抑えていた為、何とかなりそうだ。

バスタオルだけは少し高いが、庶民でも手が出る値段でもある。

水風呂がメインだが、ぬるま湯も用意されていて汚れはよく落ちるだろう。


衛生面が気になっていただけに、これで一つ安堵した。

そしてそのまま一旦城に戻り、城用の風呂場を男女で作り直して貰い、そこでも石鹸や垢すりに桶とタオル、バスタオルの販売も行うようにした為、これで一つは安心だ。

すると――。



「シュライ達も風呂は入りたいか?」

「入りたいですねぇ……ただ、王族用の風呂場ってなるとお値段が高いのでは?」

「今回は色々頑張ってるシュライに応援を込めて無料って事で。風呂入りたいだろ? 日本人なら」


「日本人なら」と言う言葉は小さく耳元で囁かれたが、無論是非と答えるとニカッと笑い王族の風呂も変えて貰った。

此処にはボディーソープやシャンプーにコンディショナーを置いてリゼルを美しくさせようと考えたのはいう迄も無い。



「これで毎回拠点にお風呂に入りに行くことがなくなりましたね」

「ははは! 拠点の風呂も気持ちいいからな」

「ええ。支払いは本当に金貨200枚で宜しいので?」

「ああ、同じ同郷価格って奴でかなり安くしてるぞ」

「ありがとう御座います! ただ、燻製は出来上がって2~3日が消費期限ですので、冷蔵冷凍でのお届けになりますが」

「それでもいいよ。それを食べつつ酒を飲むのが今から楽しみだ」

「ははは」

「それに、燻製には価値を付けて販売する事をお勧めするね。この国ならではの製法で作ってる訳だし」

「そうですね……そうしてみます」



こうしてホッと安堵したのも束の間、移動の際に自分用の箱庭師を連れてきて良いかと伝えると、無論OKを貰えた。

寧ろ8人乗れるのだから弟の箱庭師も連れてきたらいいと言われた為、それならばと言う事で連絡を入れることにする。



「こっちだと避暑地もあるんだよ。シュライの所もいいオアシスが出来たら避暑地っていうかリゾート地作ったらどうだ?」

「そこは検討中ですが、まだそこまで国民が多い訳ではありませんからね。国民もカツカツ状態で今は動いてますよ」

「移民とかあると良いんだけどな。日差しは強いが過ごしやすい場所だと俺は思うけど」

「冷凍冷蔵馬車を多めにまた注文した場合は、もっとやりやすくはなりますが」

「お、買っちゃう? 値引きしてやってもいいぜ?」

「冷蔵冷凍の魔石も定期的にお願いします」

「寧ろ婚姻祝いだ。少し値引きしてやるよ」

「いいんですか!?」

「その代わり、夫婦仲良くな?」

「ありがとう御座います!!」



こして、婚姻祝いに更に冷蔵冷凍の馬車と普通の馬車を贈って貰える事になり、只管頭を下げて喜んだ。

アツシ様も「俺も妻と結婚した時は色々貰ったし、色々あったからなぁ」と口にしている。



「俺も婚姻は早かったんだが、国内が安定するまで何かと忙しくてな。苦労したんだ」

「そうなんですね……」

「ついでに今日は男同士で風呂に入ろうぜ。色々話し合いたい事もあるだろう」

「と言うと?」

「ほら、直ぐ子供出来ると大変だろう」

「ああ、なるほど。お願いします」



その後晩餐も終わり、拠点にてアツシ様と風呂に入りながらサイズがどうのとか話し合い、異世界では一度はドラッグストアなどで見かけた某避妊具を沢山貰い、恥ずかしく思いながらアイテムボックスに仕舞いこみ、「またなくなりそうになったらお願いします」と真っ赤になりつつ頭を下げたのは――秘密にしたい。


その翌日、俺達は砂漠用の馬車に乗りアツシ様が用意した船に乗るべく俺とリゼル、シュリウスにファルナ、俺専用の箱庭師であるロスターニャに、シュリウス専用の箱庭師、そして宰相のサファールと共に三日かけて移動し、なんとも懐かしい船に乗る。

移動用の高級な船と言う感じだが、全員が乗ると早い速さで一気に進む。

雄叫びを上げるサファール宰相だったが、俺達は速さと気持ち良さに笑い合いつつ、30分程の移動で春の国ノスタルミア王国に到着し、既に待っていたアキラ様と一緒に今では懐かしいキャンピングカーに乗って移動となったのだが――。




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