第24話 色々やる事はまだまだあるが、国が豊かになった証を感じる。

多くのスキル持ちを国が召し抱え、更に働かせることで国は少しずつ豊かになった。

だが、完全に豊かになった訳ではないのが辛い所だが、アツシ様のお陰で貴重な【胡椒】や【コンソメ】も出回るようになり、仕事休みの【調理師】たちが『料理教室』を開講。

一般市民向けの『料理教室』で、参加費は取られるものの、ちゃんとした使い方を教えて貰えると言う事もあってかなりの人気振りだ。

週末の主婦で城仕えが無い人は『調理教室』と言うのが定着するのも近いかも知れない。

そのお陰で美味しいものを食べられるようになったことは国民の幸せ指数を大幅に上げた。


――そこに更に国全体を何とか賄うだけの【砂糖】の登場だ。


初めての砂糖と言う甘味に触れた国民は感動した。

『甘い』と言うのは幸せなのだ。

砂糖は高い部類だが、それでも高級食材とまでは行かず、少しずつ浸透し始めた。

更に『弟のシュリウス第二王子が新たなる甘味を用意するべく奮闘している』と噂になればあっという間に広まった。



『シュライ国王陛下だけではなく、第二王子のシュリウスまで国民の為に頑張ってくれている』

『緑化も進んでいるし、きっとこれから先は安泰に違いない!』



そんな声が聞こえるようになってきた。

国民の幸せ指数が上がったことによる嬉しい言葉だった。



そうなると、俺は更なるアイテムを作るべく仕事が終われば箱庭に入って作業を行う。

そう――魚を新鮮な生のままで食べる為の【製氷機】を作り、冷たい冷房が出る氷の魔石を使った魚を売る為のケースを作って行く。

ケースの中に氷を敷いて、その上に籠やそのままの魚を置き、売ると言う方法だ。

無論買えば直ぐに作らねばならないが、その分昼や夕食時の為にドンドン魚の搬入が出来るようにしようと思っている。


更に言えば、釣りをしているエリアに小屋を作り、更に巨大な製氷機を作り、釣った魚を氷水でしめて大人しくなったころで、氷の中にぶち込んでいく方法も考えた。

無論魚の捌き方を知らない者たちの為に、何時も魚を捌いている5名ほどを魚屋に置き、昼時、夕食時の魚の購入の際にワタ等を取り除いたりする為に言って貰う事にして貰った。


出た魚の生ごみは俺が魚屋の中にゴミ箱を設置することで解決させることにした。

俺のロストテクノロジーで作ったゴミ箱は中身が何処に行くのか分からないが、魔素になるようだ。

この国でも魔素が増えれば緑化も増えるはず。

魔素の多い土地は緑も多い傾向にある事は、最近の研究で分かってきた事らしい。

つまり『緑の手』の持ち主とは、植物の成長を促す魔素を作り上げる事が可能なスキルでもあるのだろう。

植物は太陽、水、土、そして魔素があれば早く成長する。


事実、弟がシュノベザール王国に居た時の方が緑化は進んだ。

今は『緑の手』の持ち主であるシュリウスと、その相棒と言うべきか、バランドス王国の第二王女ファルナのお陰で、当時大干ばつに陥れた国はあっという間に緑で溢れかえった。

夜こそこちらで寝止まりするシュリウスだが、そのわずかな時間でもシュノベザール王国にて『緑の手』の力を使ってくれる事は有難かった。



「取り敢えず今の段階で俺に出来るところはここまでか」

「それでも大分国民の生活は変わりました。食糧事情は更に改善され、国民自らが豊かにと動いている所もいいと思います」

「そうだな、両親たちの時代ではその動きすらなかったからな」

「一夜干しから始まり、干物も商家が今では馬車を使って国内を回っていると言います。国民が商売を始める程にこの国は潤ったんですね……なんて感慨深い」

「ああ、国内流通はその商家に任せようと思う。だが国外への輸出は国が行おうかと思うんだ」

「国外への輸出ですか」

「ザバーン商隊に頼るのではなく?」

「ああ、アツシ様が近々お越しになるだろう? その際に冷房冷凍完備の馬車を数台寄贈してくれるらしい。それと普通の馬車も使って、国として国外輸出をしたいと思ってる」

「「ほお」」

「差し当たって最初の国外輸出相手はバランドス王国からだが馬車を動かすには少々砂漠地帯では時間が掛かる。国内の商隊の馬車は作りが違うだろう? だから、ここも箱庭師を使っての輸出を考えている。箱庭師に道を作って貰い、箱庭経由で短い距離で素早く輸出できるようにしようと考えている」

「箱庭経由で」

「ああ、差し当たって輸出国はまずバランドス王国、そしてネバリ王国を最初の目標と定める。俺が婚姻式にいっている間に二つの国を回って貰い、馬車を使った輸出をする為に馬車が出入りできる土地を購入して貰い定期的に輸出が出来るようにしたい」

「「なるほど……」」

「外交大臣ハーレスと共に箱庭師を連れて行って貰い、交渉を頼む予定だ。国内が安定したのなら国外へ……そう思っていたからな」

「分かりました、直ぐにハーレスを連れて参ります」

「頼む」



こうして外交大臣ハーレスが呼び出されると、これまで俺が話したことを伝え、直ぐに箱庭師を連れてバランドス王国とネバリ王国に一軒家を購入して輸出がスムーズに行くようにしてくれるらしい。

また、使う事のほとんどない石畳みで出来た個室を冷凍部屋に俺が作り替え、冷蔵庫部屋も作り替える。

輸出用と、城で使う為の食料を置く場所を用意した。

すると――。



「それからもう一つ国民と城で働く者たちからの要望で、水風呂を作り替えて欲しいと言う要某が来ております」

「水風呂か……」

「城で働く者も、国民にとって生活魔法や水で身体を流して洗い清めるくらいしか今は方法がありませんからね」

「ふむ、それも大きな改造になりそうだ……外貨に余裕がある今、アツシ様に相談するのもいいかもしれない」

「アツシ様に、ですか?」

「アツシ様のいる場所では、自由に風呂が使える『銭湯』と言う施設があるらしい。それをお金を出してお願いしようかと思っている」

「「おおおおお」」

「身体を綺麗にするものに関しては、俺のロストテクノロジーで何とかなりそうだが。そうだな、豊かになってきたからこそ身体の匂いとは気になるだろう。と言う事は国内で動かすお金も増えて来たということ。次なる段階に行っていも良いかも知れないが、段階がある」



女性なら化粧、男性なら違うものと色々欲しいものは変わってくる。

婚姻式が終わってからその辺りは考えて行って良いだろう。



「国が豊かになった証拠だ。実にめでたいじゃないか!」



俺がこの国を動かすようになって早3年と少し。

まだまだ改善は必要だが、やるべき事を更に進めていくのだと決意を新たにした、その日の夜――。




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