第10話 ネバリ王国からの商隊との契約と、魚ギルドとの契約を果たし、次へと進む!

ネバリ王国は最も友好国でもあり、酪農が盛んな国でもある。

作物はバランドス王国には負けるものの、それなりの作物は充分にあり問題は無かった。

しかし、此処で我が弟であるシュリウスが力を見せつけたのだ。



「この苗とこの苗ひと箱は駄目ですね。植えても直ぐ枯れます」

「え、あ、えっ!」

「質の悪い苗を持ってこられたのでしょうか? それとも水を与えるのを一日忘れたんでしょうか?」

「そうです、一日与えるのを此方は忘れてしまって」

「元気になる事はもう無いですね……。こちらの苗と後三つ程の苗箱は買っても無駄かと」

「そうか、それではその苗を退かして貰い、他に良さそうな苗を見繕ってくれるか? 出来るだけ多く種も買いたい」

「種は問題なさそうです。蚕の餌となるのも十分でしょう。作物の苗ならば先ほど退かした以外は全て元気そのものです」

「宜しい。それで纏めて買う場合割引はあるんだろうか?」



そうネバリ王国から来た商隊のリーダーであるバリスに話しを付けると、呆然としながら日本で言う算盤の様な道具を弾きながら「金貨200枚になりますが」と言って来た為、それならばこの前オークションで売れた財宝二つ分で買えるのだが「もう一声」と口にすると悩んだ挙句「金貨180枚でしたら……」と言う事で即購入する事を決めた。

我がシュノベザール王家にそれだけの金があるとは思っていなかったのだろうが、直ぐに財務大臣に伝えると恭しく頭を下げ、暫くすると金貨180枚入った麻袋を手渡し、ネバリ王国からの商隊のバリスは目を見開き驚いていた。



「シュノベザール王国はお金がないと聞いておりましたが」

「無ければ作ればいい。だが、作物に関しては元が無ければ作れない。これからもネバリ王国からの苗や種を期待している。是非今後も運んで来て欲しい」

「それでしたら、是非我がザーバン商会に連絡を! 直ぐに手配致します!!」

「ほう、国同士のやり取りではなく、商会が間に入る……と言う事か?」

「はい、我がザーバン商会はネバリ王国きっての商会です。決して損はさせません」

「ふむ……何れは我が国の品も買い取ってくれる……と言う事だろうか?」

「追々はそうなります」

「良いだろう。是非そうしてくれ。ネバリ王国には通達は必要か?」

「一言お言葉を添えて頂ければと」

「分かった。今後はザーバン商会と懇意にしよう。ネバリ王国の陛下にはくれぐれもよろしくと伝えておいてくれ」

「承りました!」

「また、こちらから売りたい品がある時は声を掛けたい。その時も頼むぞ」

「はい!」



そういうと苗を箱庭師達が運びながらモザーラが一つずつ触って調べており、箱庭師達に指示を出しながら植える箱庭師を決めていたようだ。

また、蚕は家持ちである箱庭師が持って行き、餌となる葉となる作物の木々も別便で運んでいた。

今回欲しかったのは作物の苗だったので他の物は頼んでおらず、ザーバン商会とのやり取りは財務部の者たちに任せ、ホッと一安心だ。


執務室に戻ると今度はドアをノックする音が聞こえ、魚ギルドの部隊が到着したと言う連絡を受け、直ぐにそちらに向かう事になった。

早い到着だったが、飲み水となる雨を昼は小雨で、夜はそれなりの量で降らせていたので早めに来れたのだろう。



「初めましてだな。俺がシュノベザール国王シュライだ」

「お初にお目にかかる。この度シュノベザール王国に派遣された魚ギルドマスターのヘリオスだ。箱庭を使った漁業をしていると聞き、急ぎ馳せ参じた」

「その通りだ。その様子だと既に市場を見てきた様子だな」



そう、あれから一夜干し等の魚の開きを市場に卸し、売りに出している。

売り上げは上々、昼には売り切れる勢いで、場所をもっと広くして欲しいと言う嘆願書も届いているが、その為にはもっと漁師となる者たちを雇ったり、船を使った網漁もしなくてはならなった。

だが、網漁をするにしても肝心の網が魚ギルドしか扱っておらず困っていたのだ。

木材は廃村に日照りを常に浴びさせている為、乾燥は早く船を作る事は可能なようで、今日の朝連絡が来ていた。

直ぐに船を作るよう指示を出しているが、現在木材を運んでいる最中だろう。



「一度箱庭の中の漁業と言うものを見せて貰いたい」

「ふむ、それは構わない。それで納得して頂けたら網を売って欲しいのだが?」

「それは構わない。沢山の網も無論持って来ている。だが出来れば魚ギルドでも魚を降ろしたいと考えている」

「その契約は後で行うとしよう。一か所に魚を売る場所が集中するのも良くないからな」



こうしてヘリオスを連れて漁業をしている箱庭の中にはいると、釣りをしながら魚を得ては後ろで天日干しや一夜干しの為の作業をしている女性陣を見て驚いているようだ。

実際に目にしてみなければ、箱庭で漁業が出来るとは思わないだろう。



「これは……」

「嘘では無かっただろう?」

「いや、これは本当に驚いた……箱庭師による革命が起こりますぞ」

「そうだろうな。箱庭師に聞いたところ、箱庭にいる魚は枯れる事は無いらしい」

「なんと!?」

「つまり一年中魚を得ることが可能と言う訳だ」

「……」

「我が国シュノベザール王国は土地がない。砂漠に覆われた土地だ。故に箱庭師の箱庭とは俺にとっては魅力的に見えた。その中にこそ求めて居たものがあるのではないだろうかとな。それで国を挙げて箱庭師を雇い一人ずつ調べた結果がこれだ」

「素晴らしい着眼点ですな」

「魚が摂れることで国民の飢えを多少は和らげることが可能になった。だが国民全員とまでは行かない。そこで魚ギルドが欲しかったのだ。どうだろうか? 網を多めに卸して貰う事は可能だろうか?」



そう告げるとヘリオスは強く頷き「これなら納得です! 直ぐに網を卸ろしましょう!」と言ってくれたので助かった。

また、魚ギルドでも漁業がしたいと言う事だったので、この土地の特性を話した上で生魚は禁止と言う事を伝えると納得して貰い、一夜漬けや天日干しでしっかりと水分の取れた魚を売りに出す事で合意。

国が得るマージンも話し合い、一通り決まり事が終えると外に出てしっかりとした契約を結ぶ。



「これからシュノベザール王国が発展するのを見るのが楽しみだ」

「まだまだ飢えには苦しむだろうが、少しずつ、だが着実に一歩ずつ進んでいる。これからの発展を是非その眼で見て欲しい」

「必ずや!」



こうして魚ギルドマスターであるヘリオスもこの国に住む事になり、魚ギルドも直ぐに用意された。

無論一夜漬けを売る為の箱も用意され、魚は二か所で売られるようになっていく。

また、網漁が出来るようになり更に魚を売る事が可能になり、国民の飢えは少しずつ改善していきつつあった。

動物性たんぱく質は大事だからな。


こうなるとやはり炭も欲しくなる。

次は木材を使った改革が必要だ。

ドンドン伐っては水分を飛ばした木材をたんまり作った事もあり、次の一歩へと進んで行く。


国民の家の改築工事だ。

これにはネバリ王国から木材で作る家作りの業者を呼び寄せ、数年単位は掛かるだろうかと思われながらも住民たちの家の建て替えが進んで行く。

それと同時に、炭師も国で雇い入れ、林業の盛んな箱庭の中で炭を作って貰い、夜の暖や炎の魔石が買えない者たちにとっての代用品として広がって行くのに、そう時間は掛からなった。



「さて、次なる改革に進もうか」



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